表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

いつか叶う約束:ファラシア×カイル×ノア×ゼン

「ねえ、ファー! 僕、ファーから欲しい物があるんだけど……いい?」

 唐突に言い出したのは、カイルだ。しょっちゅうおねだりをする彼は、時々、とんでもない事も要求するので、少々警戒気味にファラシアは問い返す。

「――何?」

「そんなに身構えなくたって、いいのに。あのね、この地域特産の『チョコレート』ってお菓子」

 意外に普通な返答に、ファラシアはホッとしながら頷いた。

「何だ……明日でもいい? 旅支度を整えるついでに買ってくるから」

「ダメ。今日がいいんだ」

「? 何で?」

「あのね、ここいらの風習で、今日は大事だと思っている人にそのお菓子を贈る日なんだってさ」

「え、そうなんだ……じゃ、早く買ってこなきゃ!」

「でしょ? 待ってるよ」

 ファラシアの反応に、カイルはご満悦の様子だ。バタバタと慌しく出て行く彼女を、手を振りながら見送った。

   *

 夕食後。

「あ、カイル、これ……」

 そう言ってファラシアが差し出したのは、綺麗な紙で包まれた手のひらに乗るほどの大きさのものだった。

「ありがとう!」

 カイルは喜色満面で受け取る。だが、次の瞬間、肩をがっくりと落とした。

「あ、ノア。ノアも……あと、ゼンもね」

 彼女は、続いて取り出したものを、女傭兵と山猫の変化にも差し出したのだ。

「これは……?」

「『チョコレート』ですって。大事な人に贈るものなんだって」

「――そうか」

 いつも表情を変えることのないノアの口元が微かに緩むのを、ファラシアが嬉しそうに見つめる。

「あ~あ。そんなことだろうとは、思ったけどさ……」

 カイルのボヤきは、温かな空気に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ