旅立ち
スタートロイは小さな国。そのため外交を含めてよく国の外に出ることもあった。小さな村や街もある。マモリたちも例外ではない。
だからマモリはいつものようにお使いに行って帰って来るつもりだけのつもりだった。
「まあ…色々もらっちゃったけど、呪い解いたら…すぐ帰ってくるから!」
「…そうね…待ってるわ、マモリ。」
アイリはまた泣きそうになっていた。
「気をつけてな。」
「マモリ!…私がついてってやろうか?」
ジードは以前からマモリのことを意識していたが、今のマモリを見て一層離れるのが不安になっていた。
「なんでだよ。すぐ帰ってくるからジードは残って嫁さん探せって!」
「ぐっ!」
「そうだぞジード。明日には同盟国のメザーレイアから姫君が訪れる。お前がおらんでどうする。」
「…わかった。マモリ、すぐに帰ってこいよ!」
ジードはしぶしぶマモリの出発を了承した。
「じゃあ母さん、オレやっぱり娘になる気もないし、父さんの武器もっと使えるようになりたいから…行ってくるよ!」
「ええ…行ってらっしゃい。マモリ…」
こうしてマモリは部屋を、城を、そして国を後にした。
持てるだけの食糧と、ある程度のお金を持って。
慣れないスカートのまま。
たった一人で…。
「…予言が、当たってしまいましたな。」
「はい、まさかこんな形で…こんなに急に…」
さっきまで堪えていた涙を流し、城の窓から娘の姿をした息子を見送るアイリ。
「新しい英雄の誕生となれば良いが…」
「きっと…あの子なら大丈夫です。どんな困難も乗り越えますよ。…彼女がついているし、何より…あの人の息子だから…」
第1章読んで下さってありがとうございました。
主人公のマモリはまだ旅に出たばかりですが、これからもいろんな格好させられたらいいなと思っています。
いろいろと参考にしたいので、一言二言でも感想を書いていって頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。