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二度目の婚約

あんまり甘々に出来なかったと反省しています。もっと甘々にさせたいと思っています。

 シメオンは両陛下の所へ行き婚約を結んだことを報告した。そして婚約許可証にサインを貰った。次男がこんなに嬉しそうにする様子を見た両陛下は親として息子の婚約を喜んだ。次男は感情を顔に出さない、昔から手のかからない子どもだった。


王太子は周りを包み込むおおらかな気性だが、非情さを持ち合わせていたのでトップに立つのは間違いはないと思っていた。それを支えたいと常日頃から口にしていたが、何処か諦めたようなところがある次男が親としては心配だった。



親としてやらなければならないことは、侯爵夫妻と令嬢を呼び出し、婚約を正式なものとすることだ。令嬢のサインは息子に任せるとして、公のものとして発表しなければならない。王子妃教育も始めなければと王妃の頭は目まぐるしく動いていた。




シメオン王子はまずヒギンズ侯爵家に先触れを出し、婚約の申し込みをすることにした。いずれ侯爵夫妻とロザムンドに王宮に来てもらうとしても今取り仕切っているのは姉夫婦だ。夫は側近なのだが。けじめはつけなければと思っている。


メイドたちに磨かれたロザムンドが淡い桃色のプリンセスラインのタフタのドレスで出迎えた。横にいるのは紫色のタフタのAラインドレスの姉だ。サミーは後から帰ってくることになっている。華やかな姉妹だと感心してしまった。



「ロザムンド、女神のようだ。義姉上もお美しい。美人姉妹で目の保養になる」

「殿下も素敵です。天上から降りてこられたようです」

「もう少ししたら夫も帰ってきますでしょう。お茶でもいかがですか」

「では待たせてもらおう」


侍女がお茶を淹れて去って行った。ロザムンドとシメオン殿下はお互いから目が離せないようだ。リリエルは微笑ましくなった。今度は上手くいくに違いない。

そうこうしているうちにサミーが帰って来た。


「殿下、お待たせして申し訳ありませんでした」

「美しい花を見ていたから大丈夫だよ」

「左様でございますか。では率直にお伺いしますが殿下は王子様のままで義妹と結婚されるのですか、それとも公爵になられて義妹と結婚されるのかお伺いしたいと思っておりました。義妹の心構えと教育がかかっておりますので」

「公爵になるよ。兄上の補佐はそれで出来るしロザムンドに無理はさせたくない」

「シメオン殿下はそれで良いのですか?」

とリリエルが尋ねた。

「ロザムンドと早く結婚したいんだ。王子妃教育なんて何年もかかるんだよ。待てないよ」



あらあらと姉夫婦は思った。普段感情を出さない王子様が自分を出していらっしゃる。ロザムンドを可愛がっていただければこちらは言うことはない。同じ敷地に住まわせるつもりでいたが多分離宮に住まわれるつもりだろう。王宮の中より住み心地は良いだろう。殿下が使用人を気を付けて選んでくだされば何よりだ。


侯爵家の息のかかった使用人は勿論連れて行かせる。妹が舐められるなど我慢ができない。そんな気持ちを隠してリリエルは問う。


「両陛下は王族を離れることを許可してくださいますでしょうか?」

「側近と妃が同じ家から出るのは良くないだろう?ロザムンドもサミーも手放したくないんだよね。納得していただくよ」


リリエルはシメオン殿下の腹黒さを垣間見た気がした。これでないと王族や高位貴族はやっていけないと安心をすることができた。


「ではその方向でお願いいたします。ロザムンド、せっかくだからお庭でも案内して差し上げれば良いわ。殿下ごゆっくりなさってくださいませ」

「ありがとう、お姉様。シメオン様参りましょう」

「ではゆっくりさせてもらおうか。お手をどうぞ僕の姫君」

「恥ずかしいですけど嬉しいですわ」



「やっと二人になれた、気が利くよね義姉上は。僕達は婚約者になったんだよ、両陛下が大喜びだった。ロザムンドを離さなくていいなんて夢のようだ」

「幸せすぎて夢のようです。でも王族を離れることができますでしょうか?」

「僕は手のかからない子どもだった。初めて我儘を言ったのがロザムンドとの婚約だ。君は先の騒動で我が国を救ったんだよ。胸を張って良いんだ。二人合わせてもささやかな報償だと思うんだよね」

「特に何もしてはいないと思うのですがシメオン様がそう言ってくださるのでしたらそういうことにしておきます」

「可愛い。このまま連れ帰ってしまいたい。本当は毎日顔が見たいしこうして触れていたい。

側にいると良い香りがする。ロザムンドの香りだね。ずっと嗅いでいたい。もう少しで帰らなくてはいけないなんて残念だ。


これから臣籍降下と婚約発表もしなくてはいけないから夜会を開かなくてはいけないんだけど大丈夫かな」


手を恋人繋ぎされ、空いた手でもう片方の手を軽いタッチで撫でられているロザムンドは真っ赤になりながらなんとか言葉を紡いだ。


「はい、頑張りますわ。シメオン様ばかりに無理をお願いするのは嫌です」

「頼られると頑張りたくなるんだよ、ロザムンドのためなら。

ドレスは発注しておこう。近い内にドレスメーカーが屋敷に来ると思うからそのつもりで。ウエディングドレスはどんな感じが良いか考えておいて」

「はい、有難うございます」

「可愛い、式はなるべく早く挙げたい。大教会は押さえるよ。楽しみすぎるよ、待ち遠しいな」


上目遣いで指先に口づけを落とされただけで全身に衝撃が走った。


なんて色気があるのかしらとロザムンドは初めて思った。




読んでいただき有難うございます。甘々頑張りました。いいね ありがとうございます。励みになっています。

誤字報告有難うございます。早速訂正しました。

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