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お茶会

読んでいただきありがとうございます。お楽しみくださっていれば嬉しいです。

 お茶会当日になった。実はあれから侯爵家に帰っていなかった。デートも王子宮から出かけた。宮殿の方が警備がしやすいと言われ帰るタイミングを失っていた。多分侯爵家でも万全の警備に抜かりはないと思う。けれどシメオン様の腕の中はとても安心して眠れるのだ。あの日以来そういうことはしていない。同衾するだけだ。相変わらず口付けはしっかりされている。










王太子妃殿下と色違いのペアのドレスにした。妃殿下が青色でロザムンドが薄桃色だ。シメオン様がちょっと拗ねていたのが可愛かった。今度ペアリングを作ろうと思う。なんと侍従に変身して側にいてくれるらしい。不届きなことをしたら直ぐに国へ返すと息巻いていた。

婚約者が可愛すぎて辛い。可愛いなんて言うと叱られるかもしれないけど。



侍女達に宮殿でもエステをしてもらっているのでお肌が艶々だ。シメオン様が

「吸い付くような肌だ」

と褒めてくださるが何もしなくても陶器のようなすべすべな肌のシメオン様のお側にいる為の努力は欠かせない。


侍女たちに磨き上げられたロザムンドは五割増の美女だ。侍女のお化粧のテクニックは凄い。


宮殿の庭園にその場所は用意されていた。風もなく丁度大きな木が木陰を作り過ごしやすい午後だった。参加者は妃殿下とロザムンドと王女様だ。侍従に変身したシメオン様が側にいてくださるから安心だ。王女様ははっきりした黄色のドレスだった。私達のペアドレスに驚かれたようだ。

「良くおいでになったわ、少しの間ですがたのしみましょうね」

「お招きありがとうございます。ペアのドレス素敵ですわ。わたくしも妃殿下とペアドレスを作りたいです」


(あー完全に無視されたわ、なんなのこのお姫様常識ないわね)

「お茶をどうぞ、苦手な御菓子とかはございますの?」

「いえ、何でもいただきますわ。美味しい紅茶ですわねアッサムティーですか?」

「朝摘みのダージリンですわ」

(お茶の名前くらい知らないの?本当に王女なのかしら)

「お食事はお口にあっていまして?」

と妃殿下が聞くと嬉しそうに

「大変美味しく頂いています」

と答えた。


「結婚祝いにガラス細工の置物をいただきありがとうございます」

とロザムンドが言った。


「壊れやすいものをお持ちしてしまいごめんなさいね」

(こんな場面でに壊れるなんて言う言葉を言うなんてお里が知れるというものだわ。どういう教育をしているのかしら)これは二人の心の声。

「とんでもございませんわ、沢山贈り物が来ていますので分かりやすくて助かりましたわ。あれはクリスタルガラスという種類の物でしたかしら」

「そうですの、我が国の職人技ですわ」

「アルク王国は他にはどんな名産がお有りですの?」

「主に畜産業ですわ、牛や馬を売ったりもしてますの」

「美味しい物が食べられそうですわね。他には何かありますの?」

「特に存じませんの。ドレスや宝石を見るほうが楽しいかと思いますわ。王太子妃様もそう思われませんこと?」

「お肉を売ったりバターを作ったりチーズを作ったり卵でお菓子を作ったりはされないのですか?」

「民がやっていることですから」

「興味がお有りにならないのですね。残念だこと。そうですか、ではこれで解散いたしましょう」

「えっ何故でしょうか」

「時間の無駄でしたわ。もっと有意義な時間を過ごせるかと思いましたのに残念ですわね」


ロザムンドは贈り物のお礼を言っただけで口を挟みたいとは思わなかった。シメオンもそう思ったらしく可哀想なものを見る目で王女という生き物を見ていた。



帰り際に王太子妃に聞こえないように

「貴方の義兄が殿下の側近らしいじゃない。それで近づけたの?その貧相な身体で籠絡できたのかしら」

「殿下の方からのお望みでしたので、お疑いでしたら御本人にお聞きくださいませ」


その途端変装を解いたシメオン殿下が目に入った。氷のような冷たい目で王女を睨みつけ

「今言ったことをもう一度私の前で言って貰おうか。国へお帰り願うのはもちろんだが」

「な、何も言っておりませんわ」

「ロザムンドには魔道具が付けてある。証拠は録音させてある。そこの騎士、王女を部屋に送り届けておけ。部屋から一歩も出すな。国際問題にしたいのか?戦争を望むのか?国へ帰ってもそれでは戦争の前に首が落とされると思うが」

プルプル震える王女を騎士が二人で両脇を支えながら部屋に送っていくのが見えた。


「あまりいじめると可哀想ですよ、お馬鹿さんなんですから」

「馬鹿は嫌いだ。国のことも民のことも何も考えていない。厳重に抗議をして送り返さないと。馬鹿のくせにロザムンドを馬鹿にした、許せるわけがないだろう」

王太子妃もあまりの酷さに呆れ返っていた。



王太子がアルク王国の王子を呼び出してどう思っているのか尋ねた。


「この度は大変申し訳なく思っております。あれは間違いなく馬鹿なのですが、矯正が出来ないところまで来ておりましてお恥ずかしい限りです。国王が可愛がりすぎて誰も口出しできないのです。こちらで恥を晒せば問題なく処分出来るかと思い連れて参りました」

「ほう、我が国が何とかしてくれると考えたのか、話にならんな」

「そう言われますと言葉もございません」

「で、此度の対価は何を用意してあるのだ」

「鉄道の技術をご用意しております。魔法も便利なのですが庶民には魔力の無い者も多く交通の便利さは国を栄えさせると考えております」

「貴殿の国はそのような物は無かったはずだが」

「これは私の国の天才が考えたことでございます。しかしそれを実現させる財力が残念ながら無いのが現実です」

「その金を出させようとしているのか、虫が良すぎると思わないか」

「こちらの国に天才を連れて参ります。鉄道はこちらで先に作っていただければ良いと考えております。納得していただければ技術料を払ってくださると良いと思っております。それが我が国の財政の助けになるかと」

「気に入れば投資をするということだな」

「必ずお気に召していただけると思っております」

「王子殿下が賢くて助かったよ、あれは連れて帰ってくれ。義妹を貶めたと弟が今にも首を落としそうなのだ。証拠は預ける。ただしそれとは別に本物はこちらにあるから変な気は起こさないように」

「分かっております。お祝いに水を差しまして申し訳ございませんでした」



その日の内にアルク王国の二人は城を出て行った。



頭が空っぽの王女様が退場しました。国での扱いがどうなるのかは不明です。

次で最終回になります。

誤字報告を有難うございます。訂正しました。

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