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デート

読んでいただき有難うございます。楽しんでいただけましたら嬉しいです。

 今日のデートは街歩きだと聞いていたので薄い黄色のデイドレスにした。

午前中に迎えに来ると連絡があったのでホットタオルで温めてもらい簡単なマッサージをしてもらった。これだけでも顔のむくみが取れたような気がする。

周りは十七歳のロザムンドには関係がないと思っているのだが、お相手が超絶美形の王子様なのだ。気になるお年頃なのだと侍女たちはお嬢様可愛いと生温い目で応援していた。



玄関にお迎えがきたようだと家令から連絡をもらい急いで降りていくとキラキラ王子様が白いシャツに水色のジャケットとパンツという爽やかな格好で立っていた。

「シメオン様、お待たせいたしました」

「今日も僕のロザムンドは美しいな。ドレスもよく似合っている。菜の花の妖精のようだ」

「シメオン様も素敵です。目立ちすぎませんか?誰かに取られないか心配です」

「大丈夫だよ、君しか見えていないから。では行こうか」


馬車の中でシメオン殿下は手を自分の前に当てるとごく平凡な容姿に変身をした。

「驚いた?これで誰にも気が付かれずに君とデートが楽しめる。変身は得意なんだ。この頃忙しくて会えていなかったからロザムンドを補充させて」

「凄いです、お姿が違うので違和感はありますが声が同じなので大丈夫です。お名前は何とお呼びすればいいですか?」

「ケントと呼んでほしい。シメオン・ケント・フオン・レスタリアが正式な名前なんだ。ロザムンドのことはロザと呼んで良いかな?」

「嬉しいです」

「隣に座るよ。ああこの香りだ」

体をぎゅっと抱きしめ肩に頭を乗せてスンスンと匂いを嗅いでいる。耳元で囁かれると身体が熱くなる。真っ赤になったロザムンドに気がついたのか


「耳が弱いの?それとも僕の声が好き?」

「どちらも好きです」

「嬉しいな、いいことを聞いた。お願いをする時に使おうかな。公爵になることが決まった。それでこの頃忙しくて会いに来る時間が取れなかったんだ。母上がロザムンドを王子妃にって聞かなくて手こずったよ。自分が毎日会いたいためだったんだけどね」

「良いのでしょうか?」

「良いに決まってるよ、母上に独占させるつもりはない。僕のロザムンドなんだから」

「ご無理をしていただいて有難うございます。お礼の印にこれを持ってきましたの」

「刺繍入りのハンカチじゃないか。嬉しい、大切に使うよ。こんなに沢山くれるの?」

「会えない時が辛くてシメオン様のことばかり考えて沢山になってしまいましたの」

「なんて可愛いんだ。行く先は王家の別荘に変更する。君を食べてしまいたい」


馬車の中で初めて口付けをされた。小鳥が啄むようなキスを額から頬、瞼、唇に何度もされて髪を撫でられ熱のこもった目で見つめられ、口付けは深いものになった。変身魔法はいつの間にか解けていた。

何度も深く口付けられロザムンドは身体の力が抜けるのを感じた。初めての口付けはとても気持ちの良いものだった。



ロザムンドは元々綺麗な少女だった。色は白く金髪もサラサラとして光を放っていた。黒い瞳は大きく縁取る睫毛は長く手足もほっそりとしていた。胸もそこそこ大きかった。それがこの頃侯爵家の侍女たちによって磨かれているらしい。

現に今日の彼女は綺麗さに拍車がかかった様に美しくなっていた。恋の魔法がかかっているのを二人は気がついていない。


サニーからその理由を聞いたら、シメオン様に相応しくなりたいというのだから、悶え死ぬかと思った。


そしてこのハンカチのプレゼントだ。結婚式を待たなくて良いのではないか?

いやいやウエディングドレスは綺麗なラインで着て欲しい。理性と悪魔がシメオンの中で戦っていた。



シメオンは腕の中で真っ赤になっている婚約者を抱きしめながら、理性をなんとか動員することに成功した。キスだけで蕩けそうになっているロザムンドを膝の上に乗せることにした。


触れるだけの口付けを髪の毛や首筋に何度もし、細い指を一本ずつ舐めてみた。

やばい、このままではもっと先まで行ってしまいそうだと思ってロザムンドを見れば、許容範囲を超えたのか気を失っていた。



やりすぎたと反省したシメオンは別荘まで連れて行き客室のベッドにそっと寝かせた。

ロザムンドが気がついたのは気を失ってから半時ほどしてからだった。

ベッドの側で見守っていたシメオンはロザムンドの様子に

「ごめん、やりすぎた。許してくれる?」

と情けないくらい身を縮めて謝った。


「シメオン様が謝られることなんてありません。慣れていないのでもう少しゆっくりとしていただけると」

「ロザムンドが可愛すぎて歯止めが効かなかった。気をつけるよ。嫌だった?」

「嫌ではありません。く、口づけがあんなに気を失うくらい気持ちが良いものだと知りませんでした」

ここで頑張って本音を言わないともう触れてもらえなくなるかもしれないと思ったロザムンドは真っ赤になりながら小さな声でなんとか言葉を紡いだ。

「本当に?」

ぱあっと笑顔になったシメオンがロザムンドを優しく抱きしめた。


シメオンの頭の中は初心な婚約者を自分色にゆっくり染める楽しい計画が渦巻いていた。




イチャイチャシーンいかがでしたか?

ひたすら愛を捧げるシメオンと戸惑いながら受け入れていくロザムンドです。


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