エピローグ③
「え、あ、あれ?どうして眞城さん達がここに?みんなでカラオケに行ったんじゃ……」
アリスの質問に、奈々衣が答えた。
「私の家で体育祭の打ち上げをしようって話になったんですよ。ここにいる五人だけで。兄さんから聞いていませんでしたか?」
「いえ、聞いてないです、けど……」
「織羽志のことだから、國乃を慰めようとしてたら言うタイミングを逃したってとこだろ。まぁ、慰めるにしてはちょっとやりすぎだとは思うけどな」
俺達が組んでいる腕を見ながら牧村が言うと、アリスはすぐさま距離を取った。
眞城はそんなアリスを見て呆れたようなため息を吐いてから、俺の名前を呼んだ。
「織羽志」
「なんだ?」
すると眞城は、俺の背後に立って勢いよく背中に蹴りを叩きこんできた。
「え、ちょ、おまあああああああああああああああああああああああああああああっ!」
ごろんごろんと坂道を転がり落ちる俺。
勾配が緩く草がクッションになってくれるので危ないことはないが痛いものは痛い。
そんな俺を見たアリスが笑い声をあげる。
「ぶはははは!ざまぁみろってんだ!あたしの気持ちを弄ぶからそうなるんだよぉっ!」
「國乃」
「はい?」
すると眞城は俺にしたのと同じ蹴りをアリスにも入れた。
「え、ちょ、ふぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!」
ころんころんと坂道を転がり落ちてくるアリス。
丁度俺の真上に落ちてきて余計なダメージを追う羽目になった。
「せ、先輩はともかく、なんであたしまで……!」
「俺はともかくってなんだてめぇ。ていうか重いんだから早くどけ」
「お、重いって言うなぁ!あたしは四十一キログラムだぞ!?」
「知るか!重いもんは重いんだよ!」
アホなやり取りをする俺達には目もくれず、眞城はさっさと歩き出していた。
そんな俺達を見ながら笑っていた牧村も眞城の後を付いていく。
「兄さんもアリスちゃんも、早くしないと置いていっちゃいますよー!」
「あ、待ってください奈々衣さん!」
「ぐぇっ」
アリスが俺を踏み台にして坂を駆けあがっていく。
とんでもない野郎だ。
そんな文句を内心で垂れ流しながら立ち上がろうとすると、アリスが俺に向かって手を差し伸べていた。
「ほら先輩。早く行きましょう」
そんなアリスの姿が屋上で友達になってほしいと言ってきた時の姿と重なる。
あの時は取らなかった手。
でも今は、この手を取ることに躊躇いは感じなかった。
俺はアリスの手をぐっと掴むと、そのまま勢いよく後ろに引っ張った。
「え?ちょ、ちょっと先輩引っ張りすぎいゃあああああああああああああああああ!」
俺に引かれた勢いのまま、アリスは再び坂を転がる。
その様子を見て、自然と笑い声が出た。
「馬鹿が!簡単に人を信用するからそうなるんだよ!」
「かばねぇええええええええええ!貴様ぁああああああああああああ!」
そんなアリスのうるさい叫びを背に受けながら、俺は逃げるように帰り道を急いだのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
『隣のアリスちゃん』ひとまず完結となります!
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