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隣のアリスちゃん  作者: sazamisoV2
第一章
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第二十七話 ぼっちと陽キャ⑥

 嬉しさのあまり、柄にもなく牧村とうぇいうぇい意味のわからないテンションで拳をごつごつぶつけあっていると、突然俺のスマホの着信音が鳴り響いた。


 画面を見ると、そこに表示されていた名前は國乃アリス。

 いつもなら出ずに留守電にするのだが、このあとかけようと思っていたので丁度いいと思い躊躇いなく出る。


「よぉアリス。丁度かけようと思ってたところなんだ。今駅前のファミレスにいるんだけど、ちょっと出て来れるか?」


『…………』


 しかし、アリスからの応答はない。


「アリス?聞いてるか?」


『…………』


 電波が悪いんだろうかと思って画面を見てみるが、アンテナは一本もかけることなく表示されている。通話が切れているわけでもない。何度か声をかけてみるが、やはり返事は返ってこない。

 間違ってかけてきたのだろうか。一旦切ってかけなおすしかないかもしれない。


 このまま店の中で電話するのもマナー的によくないと思って、牧村と眞城に身振り手振りで外に出ることを伝えると、店の出口へ向かった。


 扉を開けて出ようとしたところで、すぐ目の前にいた背の低い誰かにぶつかってしまう。


「あ、すみませ……」


 咄嗟に声をかけようとして、俺は動きを止めてしまった。なぜなら、


「…………」


 目の前でスマホを耳にあてた状態のアリスが、死人のような顔を浮かべながら俺の顔をじーっと覗き込んでいたからだ。怖い。


「あ、アリス?お前、家に帰ったんじゃなかったのか?」


「コンビニで夕飯を買ってたら先輩たちが歩いてくのが見えて……」


 そのまま付いてきたということらしい。というか、夕飯コンビニ……?

 ともあれ、あらかじめ伝えようと思っていたことを口にする。


「眞城と話してみたんだけど、お前の謝罪、聞いてくれるってさ。よかったな!」


 努めて明るく言ったつもりだったのだが、まるで聞こえていないかのように無反応。少ししてから、ようやく掠れたボソッとした声が返ってきた。


「先輩、あの人たちと随分と仲良くなったみたいですねぇ……?」


「仲良く?いや、全くそんなことは……」


「嘘だっ!」


 突然アリスが叫ぶ。呆気に取られて何も言い返せないでいると、アリスは捲し立てるように言った。


「そうやって先輩はあたしの知らないとこで友達作って、あたしの居心地悪くさせて、最終的に居場所なくして、徐々にフェードアウトしていく気なんだ!あたし、知ってるんだから!」


「何を言い出すんだお前は」


「先輩はあたしが邪魔になったんでしょ!?面倒くさくなったんでしょ!?だから新しい友達作ろうとしてるんでしょ!?」


「それは違う」


 まくしたてるように言葉を並べるアリスの肩に手を置いて遮る。


「え?」


 きょとんとした顔になったアリスに向かって、俺はゆっくりと、はっきりと、言い聞かせるように言った。


「お前は最初から邪魔だったし、面倒くさかった。まるで最近になってそうなったかのように言うのはやめろ?」


「そっちかよ!?上げて落とすタイプが一番きついんですけど!?本音っぽいのがなおのこときつい!」


「勘違いするなアリス」


「そ、そうですよね。いくら先輩と言えど、さすがにそんな酷いこと言うわけが……」


「本音っぽいじゃない。本音だ」


「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 すると、アリスは堰を切ったように泣きじゃくり始めた。愉快な奴だな。


 そんなことをやっているうちに、俺の背後から『ありがとうございましたー』という間延びした店員の声が聞こえてくる。


 店から出てきたのは眞城と牧村だった。俺がいつまでも帰ってこないから会計を済ませて出てきたらしい。


 二人の姿を認めると、まるでそんな事実なかったとでも言いたげにぴたりと泣き止むアリス。どうやってんのそれ。


 眞城はアリスを見た途端に固まっていた。眉間にしわを寄せ、鋭い目をさらに細くさせてアリスを見つめる。


 傍目から見れば憎しみを込めて睨みつけているようにしか見えないのだが、内心『どうしよう……』とか考えているんだろうと思うと微笑ましく見えてくるから不思議だ。

 睨みつけられていると思っているアリスにしてみれば恐怖でしかないだろうが。


 とにかく、役者もそろったのであればさっさと眞城とアリスに話をさせて誤解を解いて終わりにしてしまおう。

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