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隣のアリスちゃん  作者: sazamisoV2
第一章
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第十九話 ぼっちと日常⑥

 電話してからものの五分くらいで教室の扉がノックされた。


「失礼します」


 そう言いながら扉を開けて入ってきたのは妹の奈々衣だ。

 急いできてくれたらしく、若干息が上がっていたが、深呼吸して息を整えるとふんわりとした笑顔を見せる。


 奈々衣は見た目からして優しそうだし、性格も穏やかなので練習相手にはうってつけだろう。俺と違って友達も多いのでいいアドバイスをくれるはずだ。

 昨日の夕飯の時にアリスに会わせるという約束もしていたので丁度いいだろう。


 ひとつ問題があるとすれば、アリスの本性を知った奈々衣ががっかりしてしまうかもしれないということだが、関わればいずればれることなのでそこは仕方ない。奈々衣は他人に喋るようなこともしないのでそこも問題はないだろう。


 事前に電話でアリスがいることは伝えておいたので、奈々衣はアリスの前まで歩いていくと丁寧に挨拶をした。


「初めまして。織羽志奈々衣といいます。いつも兄がお世話になっています」


 アリスはどんな反応をするのかと思って見てみると、スンとしたすまし顔になっていた。


 こいつ、猫被ってやがる。


「はじ、お世………………………こんにちは、國乃アリスです」


 何かうまい返事をしようとしたが結局諦めたらしく、無難な挨拶に落ち着くアリス。


 そして、「織羽志さん、ちょっと……」と、俺の服を引っ張って教室の隅に連れていく。


(誰なんですかあの人は!?)


(俺の妹だよ。兄がお世話になってますってさっき言ってただろ)


(いやそうじゃなくて!先輩にあんな可愛くて優しそうな妹さんがいるなんて聞いてないですよ!目も死んでないし!)


(どこ見て判断してんだてめぇ)


(ど、どうすれば!?あたしはどうすればいいんですか!?話しかけてもいいんですか!?奈々衣ちゃんって呼んでもいいんですか!?それともななちゃんのほうがいいですかね!?)


(とりあえず落ち着け。あと突然馴れ馴れしいのやめろ)


 アリスの謝罪の練習のために呼んだのに、その奈々衣に対してどぎまぎしているようじゃ全く意味がない。

 大体なんでこいつはこんなに興奮してるんだろう。女子同士だし、年齢的に言えば同級生なのに。


(お前の練習相手になってもらうために呼んだんだ)


(練習って、告白の!?)


(謝罪のだよ!)


(え!?誰に!?)


(眞城だろうが!すっとぼけてんのかてめぇ!)


(いやでも、あんなに可愛いんだから告白しないと失礼になりませんか!?)


(俺はお前が何を考えているのかさっぱりわからないよ)


「あの、兄さん?」


 アリスと馬鹿なやりとりをしていると、奈々衣が不安そうな顔をしながら俺達を見ていた。

 自分が来たことによって何かよくないことがあったのかと思っているのだろう。


(とにかく猫を被る必要はないから普通にしてろ。奈々衣はお前の本性を知ったところで何とも思わないから大丈夫だ)


(で、でもぉ……)


 渋るアリスの首根っこを掴んで元の席に座らせた。ついでに奈々衣もアリスの対面に座ってもらう。


 せっかくなのでアリスに説明させようと目配せするが、やはり抵抗があるのか話しかけられないでいた。そんなアリスに気を使ったのか、奈々衣が先に口を開く。


「あの、國乃先輩」


「あふんっ」


「あふん?」


「……いえ、なんでもありません」


「あ、すみません。会ったばかりなのに先輩なんて、馴れ馴れしかったですよね」


「……そ、そんなことはありません。好きに呼んでください」


「ほんとですか?それじゃあ……アリス先輩って呼んでもいいでしょうか?」


「んンッ……!い、いや、先輩は、ちょっと……学年は違いますけど、同い年ですので」


「そうなんですか?なんだかすごい親近感湧いちゃいます。でも、いきなりアリスちゃんって呼ぶのはさすがに馴れ馴れしすぎるし……」


「……そそそ、それでも別に私は構い構いかまかま構いませんけれどね」


「うーん、やっぱりしばらくはアリスさんって呼ばせてください」


「あ、はい」


「私のことは好きに呼んでくださいね」


「それなら、ななちゃ……奈々衣さんで」


「はい。これからよろしくお願いしますね、アリスさん」


 ひとまず安心したのかほっと息を吐いたアリスに、不意打ち気味に奈々衣は言った。


「でも、アリスさんが私の事を友達だって思ってくれた時には、アリスちゃんって呼ばせてください」


 それを聞いた瞬間、俺の服を掴んだアリスに再び教室の隅に連れていかれる。


(いちいち連れ出すな鬱陶しい。今度は何だ)


(あたし、口説かれてるんですかね!?)


(はぁ?)


(だって、聞きました?『友達だって思ってくれた時には』って、これもうあたしの事友達だと思ってくれてるってことでしょ!?)


(社交辞令だろ)


(早速奈々衣さんにアリスちゃんって呼んでもらってもいいんですかね!?)


(突然馴れ馴れしいのやめろって言っただろ。それといい加減猫被るのやめないと痛い目見るのはお前だからな?)


 ところどころやりとりが怪しい部分はあったが、ひとまず自己紹介を終える二人。

 奈々衣相手にこんな感じでは、果たして眞城を相手にしたときアリスは正気を保っていられるのだろうか。

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