願いことは一つ
もしも一つだけ願いを叶えられると魔人に言われたら
僕はなんで答えるんだろうね
ある日、たまたま道を歩いてたら
黄金のランプが落ちてて
試しに擦ってみたら
魔神と名乗るおっさんが出てきた
『お前の望みを一つだけ叶えてやろう』
だなんて威張っているから
何で三つじゃないの?
って聞いたら
よそ見して誤魔化された
いきなり願い事なんて言われても困るな
沢山のお金とか
可愛い服なんかもいいし
美味しいケーキやパフェもいいかな
だけどもし過去を変えられるなら
どんなに願ったって叶わなかったこと
今更だからってお願いしようとしたけど
喉の先で止まった声は
その気持ちはたぶん、後悔じゃない
ある種の成長なんだろう
あの過去はあっていいんだってわかったから
少しばかり不機嫌そうに
空中をぷかぷか漂う魔人さん
いい歳して何してんだろうね
どうして魔人になったんだろうね
『もっと叶え甲斐があるものを願え』
だなんてさ
いちいち文句言わないで欲しいな
どうにも難しいよね
不死身とか不老不死も
病気にかからないのも捨てがたい
亡くなった人にもう一度会うのも
予想できるわけない世界だから
受け入れられないことばかりだよ
それでもなんとか月日が経って
忘れていくことも悲しいけれど
まだたまに泣いてしまったり、元気にしてるのかなって空を見上げたりして
想っていることがあるのなら
願うことなんてないんだよ
このランプが僕じゃ無くて
もっと困っている人や、責任ある人が拾ってたら
有意義に使ってもらえるんだろうな
1番の正解は世界を救って欲しいという願いなんだろうね
決して叶えられないことがないのなら
僕だけじゃなくて、全ての人が幸せになれればいいんだろう
でも僕は自分に傲慢にいたい
少しだけ自惚れていたいから
まだ自分に自信を持ちたいから
だからもしも一つだけ願いを叶えてくれるなら、僕はこう言うよ
ほんのちょっとだけ僕に勇気をくださいと
僕の歌で世界を救えると信じられる勇気を
こんなに悩んだ末の答えなのに、魔人は首を傾げていた
僕が不満気に見つめると
魔人は渋々こう言った
『すでにあるから、叶えられない』と。
そしてその後に照れながらこう言った
『頑張れよ』




