紅茶の中の流氷
寒空の下 車を走らせ
彼女との待ち合わせ
弾む胸を抑える様に
ペットボトルの紅茶をひとくち
だけどもう ふたりの恋は終わっていた
彼女が溜めた不満に気づけず
僕は途方に暮れるだけ
車の中に置き去りにされた
ペットボトルの紅茶は
夜通し 僕の涙と一緒に凍る
紅茶の中の流氷
真っ白なその姿は
純粋だったあの日のふたり
まわりを流れる 紅く濁った濃い河は
いつの間にか
甘えと願望に 淀んだ流れ
翌朝 涙に腫れた目をこすり
仕事を終えて帰る夜
見つけた紅茶には まだ流氷が残っていた
この街は寒すぎる
この街は……寒すぎる