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見破られた力

「うーむ……」


 建築士がベルフェたちが伐採した木材を見て、顎に手を当てる。


 私を含めた全員が固唾を呑み、木材の診断結果を待つ。


 数分後、建築士がニッコリと笑みを浮べて結果を伝える。


「うん。健全な木材だ。家を建てるには申し分ないほどだ。ラビットたち。お疲れ様。有難く使わせてもらうよ」


 ベルフェたちは自分の事のように嬉しがり、所有予定の私は完成図を想像する。


 おっと……想像の前に。


「ベルフェ……みんな。ありがとね」


 突然の感謝の言葉に戸惑うベルフェたち。


「いえいえ! 頭を上げてください! セリナ殿! 自分たちは当然のことをしたまでです! それに里長なんですから、一々お礼なんて……」


「里長だろうが何であろうが、手伝ってもらったんだからお礼を言うのは当然だよ。戸惑わないで受け取って」


 私が笑みを浮べると、ベルフェたちは目をウルウルさせて、その場に跪く。


「それじゃあ……この後やる気ある?」


 私が拳を作ると、ベルフェたちは嬉しそうに笑みを浮べ、勢い良く立ち上がった後、頭を下げる。


『はい! よろしくお願いします!』


 意気揚々と里の外に出て、私と模擬戦をするが……。


「フフフ……魔力を持って、動きも鋭くなったけど、私に拳を当てるのはまだまだだね」


 ものの5分も掛からないうちにバトルラビット全員がダウンし、ベルフェは震える体を無理矢理起こしながら、私を見る。


「ん? まだやれる?」


 笑みを浮べると、ベルフェは何を感じたのか涙目になり、「いえ! ありがとうございました!」と感謝を述べて勢い良く頭を下げる。


 ちょっと……やり過ぎたかな?




 ======




 我が魔王、デューク様の命令により、俺は消え去ったグラン国跡地を訪れた。


「これは……綺麗さっぱりだな」


 更地を歩き回り、国の中心部であった場所に手を付ける。そしてソッと目を閉じ、神経を手に集中させる。


「……これは、魔力? いや、魔力も感じるが……まさか」


 地面から手を離し、ポケットから水晶を取り出し、デューク様とコンタクトを取ろうとする。


「自分です」


 水晶にとある人物の顔が浮かび上がり、俺は目を細める。


『どうした? 何か発見でもあったの?』


「ハープ……何故お前が」


『貴方のことはデューク様から聞いている。安心しなさい。他の幹部2人には内密にしている』


「……そうか。デューク様は?」


『お隣にいる。貴方の声は聞こえているわ。そのまま話して』


「分かった。報告します。グラン国跡地から魔力とは別の物を感じました」


『別の物?』


 ハープは眉を吊り上げ、報告の続きが気になったデューク様が「ほう」と呟く。


「清く、穢れなき力……恐らく、神竜の力だと思われます」


 ハープは驚きの表情を浮かべた後、水晶はデューク様を映し出す。


『その報告、本当か?』


「はい。微かですが、間違いありません」


『間違っていようが、本当だろうが危険因子を見逃すわけには行かない。手間をかけるが、命令を下す』


「なんなりと」


『その力を辿ることは出来るか?』


「はい。ですが、かなり時間が経っているため、辿り着くには時間がかかります」


『構わぬ。いくらでも時間を費やせ。絶対に危険因子を見つだせ……ティル』


「はい……デューク様」




 ======




 里に戻った私はベルフェたちと共に食事を楽しんでいた。


 戦いに関するアドバイスや、雑談をしていたが、とある人物が訪れる。


「あ、ジャック!」


「食事中に申し訳ない」


「大丈夫だよ。ところで、私の前に来たって事は……」


 武器の完成を予想していたが、ジャックは首を横に振る。


「いえ。まだ完成はしていません。ですが、試作段階までは到達したので、一度見に来てください」


 私の返答を聞く前にジャックは立ち去り、私は慌てて食べ物を口に入れる。


「せ、セリナ殿。もう少しゆっくり食べては……」


「大丈夫! ご馳走様!またね!」


 ベルフェたちは呆気にとられ、私は全力でジャックの工房に向かった。工房に着いた私は、好奇心を抑えられずに試作品を求める。


「まあ、そう焦らないでください。キース」


「はい! 師匠!」


 ジャックが工房の奥にいるキースに声を掛け、試作品を持ってくるように指示する。


 試作品の剣を抱えて現れたキースを見て、私は思わず目を輝かせてしまう。


「おお!!」


「セリナさん。どうぞ」


「え? 触っても良いの?」


「もちろんだ。触れてもらうことが目的だ」


「そう? それじゃあ、遠慮なく……」


 了承をもらった私はキースから剣を受け取り、軽く握る。


 すると、私の魔力に反応した剣が紅いオーラを纏い、数秒後に沈黙する。


「あれ?」


「試作の意味が分かりましたか?試作の意味が分かりましたか? まだ魔力を安定させて纏う持続力がないのです。ですが、魔法石とキースのサポートがあって短期間でここまで仕上げたので、感覚を掴みがてら、早めにお披露目させていただきました」


「凄い……触っただけで良いものだって分かるよ」


「そう言ってもらえると自分たちも剣も嬉しいです。しかし、完成品はもっと驚くと思いますよ?もうしばらくお時間をいただけますか?」


「うん! 全然大丈夫だよ! 楽しみに待っているから……」


 その時、里の外から異様な魔力を感じた私は工房の外に目を向ける。


 ジャックも感じたのか、キースに試作品を持って工房の奥に行けと指示する。


「……セリナさん」


「嫌な感じ……でも、真っ直ぐこっちには向かってきていない。森を彷徨っているみたい。ちょっと見てくる。ジャック。みんなを……お願い」


「承知しました。ですが、無理はしないでください」


 心配するジャックに笑みを送り、私は森へと向かう。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!

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