セリナの家計画
「ん~。レシスの淹れる紅茶は美味しい~」
今日も私はレシスの家にお邪魔し、一生懸命魔道書と睨めっこしているシャルロットを眺めながら、私は再び紅茶を啜る。
あーあ。真剣に魔道書を見ちゃって……ホント、昔の私とそっくり。
「あの……セリナさん」
思い出に浸ろうとした瞬間、レシスが紅茶が入ったポットを持ちながら、私の向かいの席に座る。
「ん? どうしたの? レシス」
「藪から棒で申し訳ないんですけど……そろそろセリナさんの家を建てませんか? あ、迷惑とかそんなのじゃないんですけど……」
レシス……きっぱり言って良いんだよ。迷惑だって。
「人も増えて、里も発展しているのに、里長が家なしなのは……ちょっと」
「確かにそうね……レシスや他の人の家を転々としてきたし、そろそろ真面目に考えようか」
すると、話を聞いていたのか、魔道書と睨めっこをしていたシャルロットが目を輝かせて私に駆寄る。
「え!? セリナさん、家を建てるんですか!?」
集中して魔法の勉強していたんじゃなかったの? 何で聞き耳立てているの?
「まあね。レシスの言ったとおり、いつまでも家なしって訳にはいかないからね」
「はい! はーい! 私、一緒に住みたいです」
何故そうなる。と言うか、同居を求めるって言ってないよね?
「同居するかどうかは置いといて、取り敢えず、建築士に話をしてみましょうか。レシス。付いてきてくれるよね?」
「はい」
「え~! 私も~」
駄々をこねようとするシャルロットの頭を容赦なく鷲掴む。
「先日問題を起こした貴女は1週間の謹慎を命じたはずよ」
「ヒィッ!?」
「同居の件は考えてあげるから、留守番していなさい」
あれ? 笑ってなだめているはずなのに、シャルロットが無言で何度も頷いている。
「わ、分かれば良いのよ。それじゃあ、よろしくね」
「は、はい……」
返事を聞いた私は、足早にレシスの家を後にする。
「……シャルちゃん。恐かったね」
「レシスお姉ちゃん……私、動けない。恐いよぉ……」
「金縛り!?」
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私の故郷の人たちがバトルラビットたちと共に造築作業を行っていた。懸命に働き、汗を拭いながら手を動かす。
そんな彼らを眺めながら私は一歩踏み出し、声を掛ける。
「あの……忙しい中、ちょっと良いかな?」
「あ、セリナさん! それにレシスさん。いえいえ、全然大丈夫ですよ」
指示を出していた建築士が近くの石段に腰を下ろし、私の話を聞いてくれた。
「急な話なんだけど私、家を建てようと思っているんだけど」
「家ですか……良いですね~、と言いたいところ何ですが……」
突然、建築士の表情が曇り、私とレシスは同時に首を傾げる。
「今建てている家に最後の資材を使ってしまって……コンクリートは数日中に準備できるのですが、何分人手不足で、木の準備が出来ていないんです」
ああ、なるほどね。
「伐採には人手も必要ですからね……どうしましょうか」
「それに加工するとなると、時間がかかって……」
レシスと建築士は頭を抱え、あれこれ意見を出し合う。
その時、視界の端にある人物が写り込み、私の脳内にある考えが浮かび上がった。
「ちょっと待って……あ、丁度良いところに。おーい、ベルフェ!」
私の声に気づいたベルフェは爽やかな笑みを浮べて近づいてくる。
「これはこれはセリナ殿。それにレシス殿も。如何なされましたか?」
「ベルフェ。貴方にお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「はい! 何なりと」
「実は私の家を建てようと思っているんだけど、木が足りないみたいなの。人手が欲しいから手伝って欲しいなぁって思って……」
私が言葉を言い切る前にベルフェが動く。
「お安いご用です! 早速人足を集めてきますので、しばらくお待ちください!」
「あ、ちょっと!! あ~、行っちゃった……」
「ベルフェさん。セリナさんの事になると行動が早いですね~」
私とレシスは苦笑いを浮べ、建築士に家の建築を依頼した。
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数時間後。私の家のためにベルフェはバトルラビット10名ほど引き連れ、木の伐採に向かう。
力仕事は専門外だが、自分の家のため、ベルフェに無理を言って同行させてもらった。
バトルラビットたちが力自慢なのは知っていたが、段取りも良く、普通の人間が伐採するよりも数倍早い時間で事が進んでいた。
「おお……結構スムーズに進んでいるね。これなら必要な木材は今日中に揃いそうね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。みんな!! ペースを上げていくぞ!! 運ぶまでが仕事だ!!」
『はい!!』
ベルフェの言葉で活気づくバトりラビットたち。
かつて里を襲った物騒な彼らは、今では里のため、みんなのために動いてくれる。そんな姿を見て、思わず私は涙を流しそうになった。
作業が着々と進んでいく中、乱入者が現れる。
作業をしている場所以外から木が倒れる音がし、私は目を細め、バトルラビットたちは作業を中断する。
「微笑ましい光景に浸っているのに、邪魔するなんて……最低」
ついに一番近くの木が倒れ、乱入してきた者が姿を現す。
「大きいカマキリの魔物だねぇ……結構魔力を蓄えてしまったようね」
魔物は奇声を上げ、自慢の鎌を研ぎながら私たちに近づく。
バトルラビットたちの邪魔をさせまいと1歩前に出た瞬間、魔物に向かってベルフェが飛んでいく。
「作業の邪魔だ! ブレイズ・フィスト!!」
炎を纏ったベルフェの拳が、魔物の頭にぶち当たり、魔物は動きを止める。
ベルフェが着地したのと同時に魔物が倒れ始め、大きな地響きが起きる。
「流石ベルフェさん!」
「一撃、お見事です!」
周りのバトルラビットたちがベルフェを称賛し、見守っていた私は思わず拍手してしまう。
「凄いね! ベルフェ、貴方魔法使えるようになったの!?」
「はい。かじった程度の魔法なので、セリナ殿やレシス殿には劣りますよ」
「それでも、持ち前の腕力に炎魔法を組み合わせて威力を増幅させたのは良い考えだよ!」
「褒めすぎですよ、セリナ殿。それに、セリナ殿のお役に立てるようになるにはまだまだですよ」
まだ強くなるつもりなの?十分でしょ?
「おっと、作業が中断してしまいましたね。みんな! 再開だ!」
ベルフェの声によって再び作業が再開され、中断前よりも、みんなの表情が明るかった。
そんな彼らに、私は作業の対価を与える決意をした。
「決めた! 伐採作業が終わったら、私が手合わせしてあげる」
『え!? ほ、ホントですか!?』
ベルフェ含め、バトルラビット全員が目を輝かせる。私が笑みを浮べ、嘘でないことを知ると、バトルラビットたちの動きが加速する。
「うおぉぉ!! セリナ様と手合わせできるなんて!!」
「どんな作業でもきやがれ!! 全部片付けてやる!!」
やっぱり戦闘特化の魔物。本能には逆らえないか……あれ?私、勢いで言っちゃったけど、バトルラビットって何十人いるんだっけ?
体力持つかな?
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