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アイテムボックスに転生しました  作者: Aurea
序章 魔導都市崩壊
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3

 私が頑丈で何でも入る布袋になってしばらく過ぎた、気がする。

 気がするというのは、このアイテムボックスに物を出し入れするタイミングでしか、外のことを伺えないからだ。

 このアイテムボックスでは時間が停止されるが、それは私自身には影響しないらしい。もし私も時間停止の影響を受けるなら、常に物の出し入れに忙しくしているはずだ。


 だが、同時にどうも私自身の時間間隔がひどく曖昧になっているということにも気づいた。

 私の持ち主、この部下を何人も率いる魔術師の思考や五感を読み取るところによれば、明らかに先程までは朝だったのに(どうやら日が昇り、沈むというように太陽があるようだ)、ほんの少し間が空いただけで夜になっていることがある。

 かと思えば、私がこのアイテムボックスに入れられた本を百冊以上も読んだというのに、彼の思考を読んでもほとんど前回の出し入れから間が空いていない、ということもある。

 どうにもひどく曖昧な時間の流れのようだ。これもまた、一種のアイテムボックスとしての本能なのかもしれない。アイテムボックスが本能を持つような生物なのかは別として。


 そう。それから、私は本が読めるようになった。正確に言えば、このアイテムボックスに入れられた全てのアイテムを管理する機能から派生的に導かれたものだ。

 つまるところ、何が入れられたのか私自身がわかっていなければ、持ち主に何を取り出してあげればよいか、わからない。けれどもそれではアイテムボックスとして困るので、逆説的に何を入れられても全て理解し、記憶できるということだ。

 また、ここには神からもらった何でも学べて忘れない能力も関係しているようだ。

 本来はアイテムボックスの中から取り出されたら、そのアイテムに関する情報を忘れてしまうが、この能力のおかげで、情報を覚えておけるようだった。


 魔導書ばかり入れられたから、魔術に使われている言語と、魔術の解説に使われている言語の両方を習得することができた。

 アイテムボックスが持つ、内部に入れられたものについて理解して一時的に記憶する能力と、どんなことでもすぐに学べて、しかも忘れないという能力は非常に相性がいいようだ。

 


こうして私は日々知識を蓄えていった。


そして気づけばおよそ十年の歳月が過ぎていた。


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