37.第二次人魔大戦前哨戦前
遅れてしまって申し訳ございません。
...アレ?連続で遅れてない?
「分かった俺は出陣しよう。ローナはどうする?」
「私も参加します。」
「本当に良いのか!?」
「ああ、別に構わないというか寧ろ俺的には戦争に参加し、殲滅しておきたい。」
「...何故とは聞かないでおこう。...報酬はかなり色を付けさせて貰う。」
「いや金は要らん。」
「ん?何が欲しいんだ?」
戦争に参加する事になった俺は、アルテルナ伯爵にとある提案をしてみる。
その提案は実際に現実味が無く、アルテルナ伯爵本人が思わず聞き返す程の物であった。
「俺達が魔族の軍勢を殲滅するよ。だから俺達の後ろ盾になってくれ。」
「もう一度言ってくれ。今、お前が殲滅させると聞こえたのだが...。」
「ああ、俺が魔族の軍勢を殲滅するから、俺達の後ろ盾になってくれ。」
「お前が何を言っているのか分かっているのか?凡そ5万の軍勢を相手にすると言っているのだぞ?」
「そうだ。」
「確かに俺の軍を手加減して勝った事で実力は認めている。だが相手が魔族の大軍だと話が変わる。俺達人族よりも全体的にステータスが数倍上で、尚且つ相手には空中から攻撃可能な者達もいる。通常の人族同士の戦争とは訳が違うのだぞ?それを踏まえた上で言っているのかお前は?」
アルテルナ伯爵は魔族との戦力差を話し、いくら何でも無謀だと俺達に告げてくる。
だがアルテルナ伯爵は、実際の黒幕の事を把握しておらず相手の戦力差を正確には把握していない。
黒幕である悪神の加護の所為で数倍所の話では無くなってきている。
と言っても、俺達からしたら脅威でも何でも無い。それどころか少し加護があり上昇した所で、全然差が埋まらない程である。
というか自分達は手を汚さず達観し、人の不幸を喜んで見ている奴等には反吐が出そうだ。
まあ、だから自分の手で潰してやるのだけれども。
「大丈夫だ。たかが5万程度で俺達が止められるのなら寧ろ見てみたいさ。」
「...ははは、まあユージなら出来ますしね...。というかユージがやるのでしたら、私要りませんか?もしかして...。」
「まあ、信用なんないと言うならば、俺達を先陣にし後ろで軍隊を待機させておけばいいだろ?」
「...確かにそうだな。...分かった、ではこの件が無事終わったら、先程の報酬の件を呑もう。良いな。」
「ああ、それで良い。」「はい。」
「じゃあ済まないが、今見ての通り忙しくてな。悪いが退出してくれないか?」
「分かった。じゃあ当日は宜しく頼むよ。」
「寧ろこちらが礼を言いたい。助かる。」
アルテルナ伯爵が頭を下げて礼を言ってくるが、礼を言われる筋合いは無い。
確かに戦争をしだしたのは魔族の一部の強硬派の野心による物だが、切っ掛けを作ったのは悪神達だ。
それを阻止する目的があるため、お礼を言われるのは何かちょっと気まずい。
「ま、まあ、こちらの都合もあるんだ、気にするな。」
それから俺達は伯爵家の屋敷を出て冒険者ギルドの方に行く。
やはり先程と変わらない様子が都市中に見えた。
伯爵家の屋敷から歩いて十数分、冒険者ギルドに辿り着き中に入った。
冒険者ギルドの中の様子は、都市中同様いつもと違った様子が見られる。
冒険者は勿論、ギルド職員まであちこちに動き回り、書類整理や戦争に出陣する冒険者の一人一人の能力を確認しつつ何処に配属させるかを決めているみたいである。
そして冒険者達は、己の武具の手入れをしていたり偵察している者達からのリアルタイムでの情報を確認していたりしている。
取り敢えず無事に帰還した事を俺達の専属受付嬢のヘレンさんの受付場に行く。
ヘレンさんは他のギルド職員と同様、せっせとあちこち移動し書類を処理していていた。
そして俺達に気付くと、ハッとして俺達の方へと向かって来た。
「ユージ様、ローナ様お疲れ様です。無事に今回のCランク昇格試験を達成しました。...ギルドカードを提示してください。」
「ああ、分かった。...やはり大変か?」
「そうですね...。やはり突然の宣戦布告ですから。...こちらをお返しします。」
俺達はヘレンさんにギルドカードを渡すと、ヘレンさんは俺達のギルドカードと近場の魔道具を操作して、情報を書き換えて俺達に返してきた。
俺達のギルドカードを見てみると、ランクがDランクからCランクへと書き換えられていた。
「おめでとうございます。...と、素直に言いたかったのですが、現在の状況がかなり深刻な事態なので...。」
「気遣い助かる。が、俺達に気遣いは無用だ。自分がCランクに昇格して戦争に参加する事は自分で決めたからな。」
「そうですよ。そんなに落ち込まないで下さい。」
「そう言って貰えると助かります。」
落ち込んでいたヘレンさんを案ずるなと言った俺達は、本来聞きたかった事を聞いてみることにした。
「それで済まないが、今現在高ランク冒険者及びパーティーと何人かのギルド職員で会議はしているか?それに参加したい。」
「貴方様達程の実力者なら参加出来ると思います。分かりました。会議に参加出来るようにギルドマスターに直談してきます。少々お待ちを。」
ヘレンさんが受付場から急ぎ足で離れ、ギルマスがいる会議室へと向かった。
それからほんの数分、ヘレンさんが戻って来て、ギルマスから参加しても良いというか寧ろ参加してくれと伝えられたので、ヘレンさんの案内の元早速会議室へと向かう。
「第一・第二・第三防衛壁には誰を置く?」
「いや各箇所に分散させるのは不味いだろう。魔族達はこの都市に一直線に向かってくるんだ。確かに戦略面で見れば薄い場所を叩いた方が良いが、この都市に他の所を堕とさずに来ていることから余裕だと油断して分けずに来ている可能性がある。全戦力を第一防衛壁に置いた方が良い。」
「いやそれだといざと言う時に対処出来なくなる。最低限は置いておくべき。」
「所で、今魔族達はどの辺に居るのか?」
「進行速度からして、後4日程で第一防衛壁に辿り着くもよう。」
と、会話をしているみたいだ。...何で防音の部屋である会議室の会話の内容がわかるかと言うと、俺らには意味の無い防音の建物の材質と魔術であったと言っておこう。
「済みません、ユージ様とローナ様を連れて来ました。」
「入ってきてくれ。」
ヘレンさんはコンコンとノックして中の人達に俺達が来たことを告げると、中からギルマスの返事が聞こえて来たので、早速入る事にする。
会議室にはギルド職員らしき人物が十数名と高そうな防具や武器を携えた冒険者が二十数名程いた。その中には緋翼のパーティーやSランクパーティーの雷狼牙のリーダーもこの場にいた。
そしてその者達は、かなり長期間議論していたからか見ていて疲労困憊の様子であった。
ギルマスが入ってくる様に促し俺達が入って来たことで、皆の視線が一斉に俺達に集まる。
「何だ?ガキか?」
「でも身のこなしからしてかなりやると思う。」
「でも魔力が感じられないわね。隠滅しているのかしら?」
「でもガキだろ?何でギルマスが入るように言ったんだ?」
と、俺達を見るなり好き放題言っていやがる。ああ、勿論魔力を察知されないように完全に隠滅している。
取り敢えず、この会議を仕切っている中心人物であるギルマスに尋ねる。
「ギルマス。今回の戦争に関してどうするつもりだ?」
「未だ未定だが、Cランク以上のほぼ全冒険者を戦力として投入予定だ。明日には最前線である第一防衛壁に向かって行く。着いてから大規模戦術魔術の準備や武具の最終手入れ・調整をし魔族達を迎え打つ。戦略に関しては今決める所だ。」
「そうか、分かった。...俺とローナに最前線を任せてくれないか?」
「何?」
「ちゃんと伯爵に許可を取っている。」
その俺の発言で場一体は喧噪に包まれる。
第三者から見ると、まだ成人したてである男子と女子の2人が戦争の最前線に行くと言う無鉄砲な事を言っているからだ。
勿論、雷狼牙のリーダーであるカントはそれ程驚いていなかったが。
「おいガキッ!戦争は遊びじゃねんだぞ?」
「そうだ、寝言を言っているんじゃねえぞ!」
と、どうやら俺達の事を知らなかったらしき荒くれの冒険者の何人かが、俺達に暴言を吐いてくる。
取り敢えず俺はその冒険者達をサクッと無視しつつ、ギルマスに向き直る。
「伯爵様に許可を取っているのか?ユージ...いや、異常者のユージとローナ。」
その二つ名っぽい呼び名でギルマスが俺達を呼ぶと、ギルマスを含めた俺達の顔を知っている者達以外の殆どが驚きの表情を浮かべていた。
そう、俺達がこの都市に来て少しの間に噂になる位だ。情報収集を怠っていない者達がその二つ名を聞くだけでどのような人物であるか理解できる。
...ちょっと待て。
「俺達っていつの間にか二つ名・異名が付けられたのか?」
「気付いて無かったのか?お前達が冒険者登録して僅か数日で付けられていたぞ?...ギルドカードをしっかり見ていなかったのか?」
「...おおう、マジかよ。ローナ見ろよ、本当に記載されていたぞ。」
「...かなり恥ずかしいです。」
「確かにお前らは、二つ名通り異常者だからな!」
どうやら二つ名はいつの間にか付けられていたようです。通りでCランク昇格試験前に、変に注目を浴びていたんだよな。まあこれで納得した。
「ギルマス!こんな舐め腐ったガキが二つ名持ちだと!?いい加減に『黙れお前、それに止まっておけ迷惑だ。』......!?」
「ギルマス。こいつ鬱陶しいから黙らせたぞ。」
「あ、ああ、分かった。」
その一連の様子を見て、周りは押し黙る。どのようなの事をしたのか理解出来なかったからだ。それに、ここに集められている冒険者である以上かなりの実力者でもある。その者が何一つ出来なかった事から相当な実力者である事を裏付けている。
まあ、俺には関係無いし無視する事にする。
「で、結局、俺達は最前線に行くが良いか?というか先陣で俺達が出て戦争を終わらせるから任せろ。」
「無茶だろ...。相手の戦力を把握して言っているのか。」
「当たり前だろ。...無理そうなら、後ろで戦力を配置させておけば良い。なっ?簡単な事だろ?」
「...良いのか本当に?」
「ああ、大丈夫だ。というか俺の事情もあるからな。」
「分かった、ではユージ達に先陣を任せる。」
その後、俺達以外の事で一つ一つ決めていき、そして会議が終了する。
その次の日に、冒険者総出で第一防衛壁に向かって出発した。
戦争まであと僅かである。
今回もこの作品を読んで頂きありがとうございました。
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次回は出来れば早めに投稿します。
次回もこの作品を宜しくお願いします。




