19.Cランク昇格試験の説明会2
「取り敢えず近くの席に着け。......座ったようだな。まずは、私の自己紹介をする。私の名前はアルだ。短い間だがよろしく頼む。では、これよりCランク昇格試験の内容や規則などを説明する。...まずは、今回の昇格試験の内容は、盗賊を殲滅...殺す事が目的だ。先に言っとくが、Cランクに昇格すると護衛依頼や盗賊の殲滅の依頼が受けられるようになる。その時に人殺しをする場面が必ず訪れる。その時に躊躇せずに殺るかどうかで、依頼主も自分自身の身を守る事に繋がるから、この試験はCランクになるための必要最低ラインだ。何かここまでの話で聞きたい事は?」
「「「「「「「「「「......」」」」」」」」」」
「無いようだな。じゃあ次に試験日と言っても、明日の早朝の6時を知らす鐘の音が鳴る頃に正門に集合し、1週間を予定している。準備は各自で行うように、そして、一時的にここにいる10人で大型パーティーを組んでもらい試験に受けてもらう。連携に直結するので、後にお互いに模擬戦をして、お互いに実力を把握してもらいたい。...というか名前聞いてなかった。取り敢えず右から順に軽い自己紹介をしろ。」
と、俺達は冒険者ギルド職員に説明してもらい、自己紹介をする事になったので、早速やることにした。
「そこの2人には、先程自己紹介したがダイダートだ。青華のパーティーに所属しておりリーダーを務めている。前衛のタンクを担当している。」
「リンだ。ダイダートと同じく、青華に所属している。前衛のアタッカーを担当している。」
「ケイリです。私も青華に所属しています。後衛のヒーラーを担当しています。」
「僕はフェルトです。青華に所属していて、後衛の魔術師としてサポート兼アタッカーを担当しています。」
と、青華のパーティーが自己紹介する。その所属パーティーと名前を聞いた職員のアルさんは、自分の手元にある資料らしい紙束を確認するかの様に見て、青華のパーティーに対して関心の表情をした。
「...ほう、君たちか。ここ数ヶ月間の依頼達成度が100%で、依頼人や冒険者やギルド職員から注目を浴びているパーティーとな。かなり有名だぞ?」
「へぇ~そうなんですか?」「凄いですね。」
「ま、まぁな、へへっ。」
と、ギルド職員や俺達が賞賛すると、ダイダートは満更無さそうに照れる。他のメンバー達も周りから認められた事に対して、少なからず照れていた。
「で、次だ。」
「あぁ、俺は赤き爪のリーダーを務めているゲリオスだ。前衛のアタッカーを担当している。」
「俺は、赤き爪に所属しているゾームだ。前衛のタンクをしている。」
「俺も赤き爪に所属していて、バッドという。俺も前衛のアタッカーを担当している。」
「僕は、赤き爪に所属していて、エピルと言う。後衛の弓でのアタッカーを担当している。」
その自己紹介に、青華のパーティーとローナが顔を顰める。ギルド職員は、手元の紙束の書類を確認しながら、赤き爪の顔を見て確認する。
書類を見ながら確認している中、一瞬、眉をピクッと上げる。
どうやら何か、問題事があるようだ。
しかし、その書かれている内容を、赤き爪の連中に確認する事は無かった。
「で、次だ。」
「あぁ、俺の名前はユージだ。パーティー名はまだ無いが、俺の隣にいるローナと組んでいる。担当は...まぁ、基本、前衛後衛何でもできる。」
「先程ユージが言っていましたけれども、私の名前はローナです。基本、後衛のヒーラーを担当していますが、護身の心得はありますので、ある程度(ユージが相手じゃなければ)は自分で守る事ができます。」
そのあやふやな自己紹介に、一部の者を除き不信の目線を向けたり、侮る様な目線を向けてきた。勿論、不審な目線は、俺達の事を知らなかったダイダートとケイリで、侮る目線は赤き爪の連中だが。
だが、俺達の噂を知っている青華のリンとフェルトは、噂がある程度真実で、目の前の人物達では無いだろうかと思っている。と、言っても、情報が足りないようなので、少し疑う程度だったが。
そんな中、職員は手元の紙束の書類を確認しながら、俺達の方に目線を向けている。
だが突然に、ギルド職員の動きが固まった。どうやら、あの紙束の書類には、これまでの依頼の記録やここのダンジョン到達階層なども書かれているようで、その内容に固まったみたいだった。
「ちょっと2人、これを確認してくれないか?」
「その紙束の書類をですか?」
「あぁ、そうだ。勿論、冒険者ギルドが管理している個人情報だから、他人の奴は見せられないけれども。」
「.........。」
「ここに書かれている事は事実か?」
「あぁ。ローナの方もしっかりと記録が記載されているか?」
「はい、大丈夫でしたよ。」
「おおう、マジか。...本当に虚偽はないのか?」
「ああ。なんだったら、受付嬢達やギルマスに聞いてみれば良い。というか噂は聞いたことが無いのか?」
「いや、あるけれども、まさか君達だと思わなかった。」
その俺達の会話に、他の人達は疑問に思っているが、ギルド職員は驚いて、すっかりと威厳やベテランの風格が消え去っていた。
「ま、まあ、取り敢えずこれから、模擬戦をするために訓練場に移動する。」
と、ギルド職員が言いだし、俺達は会議室を出て訓練嬢へと移動した。
訓練場は、お昼ということもあり、少ない人数しかいなかった。
「都合が良いな。じゃあこれより模擬戦をお互いにやってもらう。くれぐれも怪我をしない程度でだ。なので、体力が5割を切ったら自己宣告し、場外に出てもらう。良いな?ではまずは、そうだな...チーム戦として青華と赤き爪のパーティーでやってもらおうか。勿論、チーム戦だ。」
「分りました。」「分ったぜ。」
「では各パーティー、位置につき戦闘準備...。」
と、青華のパーティーと赤き爪の連中は、自分の武器を手に持ち、戦闘態勢へと入った。
「では、これより青華のパーティーと赤き爪のパーティーの模擬戦を開始する。あくまでもこれは、互いの力を確認するための模擬戦だ。くれぐれも気を付けてくれ。では開始する。...始めぇっ!」
と、ギルド職員の合図と共に、お互いの前衛が走り出し、それに続くように後衛も自分自身の役割は果たす様に、魔術を組み立てるために詠唱したり、弓を引く。
赤き爪の面々は、己の胸元を極僅かに赤黒く光らせながら。




