15.Sランクへの昇格?
俺達は、100階層のボスを倒しキリの良い所なので、一度、地上に戻る事になった。
戻る道中に、これからダンジョンに探索・依頼を受ける冒険者や一部の住民達から、いつも以上に好奇を含んだ目線と畏怖を含んだ目線を感じた。
どうやら俺達の決闘と模擬戦の事を知っているようだ。というか......。
「おい、あいつらだろ?あのSランクパーティーである雷狼牙同様に、90階層を突破したって言う新人のパーティーは?」
「あぁ、あいつらだ。確か冒険者登録をして直ぐにDランクになったんだろ?しかもここのギルマス本人に認められるほど。」
「なんだよそれ、凄いどころじゃないぞ。」
「で、でも、聞いたところでは、決闘を仕掛けた相手を完膚無き程まで叩きのめし、心を折ったそうじゃないか。」
「あっ、その話、私が聞いた所では、一週回って改心させたと聞いたんだけど。」
と、こんな感じに話が広まっていた。というか90階層突破って、つい先程だったんだけれども!?
話を聞いていた俺とローナは、その話の内容と噂の広がり具合に戦慄し、冷や汗をかいた。
あまり目立ちたくないなぁ~、面倒事になりたくないなぁ~と嫌な予感をしつつも、それを強引に何でも無いかのように思い込み、早速ギルドへと向かった。
「「.........。」」
俺達はギルドの中に入り、直ぐに言葉を失い、その場で氷結の魔術で凍らせれたかのように固まってしまった。
目の前の光景には、先程であったSランクパーティーの雷狼牙のメンバーの5人を筆頭に、冒険者ギルドの何人かの受付嬢を含んだ職員の全体の何割かと、たまたま時間が空いていたと思われる冒険者達と、ここの支部のギルドマスターであるローグが受付場の近くにいて、俺達が冒険者ギルドの中に入ると一斉に目線を向けてきた。
「おう、ユージ、ローナ嬢戻ってきたか!!それで一つ聞きたいんだが良いか?単刀直入に聞くが、......お前達、現在何階層まで行った?」
と、その集団の中で代表するかの様に俺達に尋ねてきた。
「あぁ、そ、それはだな...」
さすがに100階層まで行きました。と、素直に白状したら噂が更に広まるなと思い、一瞬、嘘で適当な階層を答えようとするが、確か虚偽報告は重罪となるなと思い、まぁ誤魔化す事もできるが、素直に白状する事にした。勿論、念話で、ローナに素直に白状すると言った。
それでも、一応確認するかの様に、一度ギルマスに確認した。
「......、言わなきゃ駄目か?」
「駄目だ。勿論場所を移して、情報を秘蔵にしたいと言うなら場所を変えるが...。」
「......この状況を見て内密にするって言ってもだなぁ~、ある意味嵌められたものだ。」
そう、この状況で情報を秘蔵すると言っても、恐らく、ほぼ多くの者が感づくだろう。先に帰還したSランクパーティーが90階層を路破した事を、冒険者ギルドに報告しているんだ。嫌でもSランクパーティーよりも記録というか成果が上だと理解するだろう。というか、気付かないほうが、余程、頭の中がお気楽の者達だろう。
「別に嵌めた訳じゃないんだが...、すまないな。」
「別に良い。悪気はなさそうだし。それで?聞きたいのだろ?」
「あぁ、俺も含め、ここにいる全員が聞きたいからな。」
「100階層だ。」
「.........もう一度言ってくれないか?聞き間違いをしたと思う、100階層って聞こえたのだが...。」
「100階層だ。」
「マジかよ...、ローナ嬢、マジか?この報告は。」
「はい、本当です。100階層を路破してきました。」
「.........ベルは?」
「鳴っていません。事実です。」
「ボスはなんだった?」
「90階層同様でレアポップでして、S+ランクのエンシェント・ウルフが3体でしたよ。」
「と、言っても、ちょっと見た時の見た目よりも、...ちょっと...その、弱かったですし。」
「............ベルは?」
「......鳴っていません。......事実です。」
「はぁ~、わかった。お前ら、この前の模擬戦の時に言った、Cランクへの昇格の兼はあれは無かった事にしてくれ。...あぁ、いや正確には、Cランク昇格試験を受けた後に、直ぐにAランク...、いや、Sランクへの推薦を、ここの国と数カ所の他国の上の方達に申請をするからな。勿論、パーティーでは無く本人達だ。最低でもBランク冒険者の推薦は通すようにする。...まあ、お前達しだいだが...。て、言ってもなるべくなってくれ、頼む。」
と、俺達は、路破した階層と100階層ボスの魔物を報告すると、Cランクへの昇格ではなく、Sランクへの昇格の話をギルドマスターから聞かされた。
その事に、やはりか~と、思う気持ちと面倒になったなぁ~と心の底から疲れたような気持ちになった。
それはローナも同じで、俺と同じようにげんなりした表情をしているが、少し、ランクが上がった事に対して喜びが顔に出ていた。
「なんやかんやで嬉しそうだな、ローナ。」
「えっ!?あ、はいそうですね。確かに面倒事になるかもしれないけれども、冒険者ギルドの最上位の証・称号と言っても良いくらいですからね。」
と、俺はローナに尋ねると、ローナは少しウキウキとした様子で返答した。
俺はその様子を見て、Sランク冒険者になる事にし、ギルマスの頼みというか提案に乗る事にした。
「わかった。じゃあ俺達は、Sランク冒険者になる事にするよ。...て、言っても、申請するんだろ?申請が通ったらの話だがな。」
「お、おう、ありがとう。なるべく申請が通る様にするから。」
「はぁ~、無茶はするなよ?」
「まかせとけ!はっはっはっはー!」
見た感じに不安しか感じないのだがなぁ~はぁ~。
「所で、聞いておきたいのだが...。」
「ん?なんだ?」
「ダンジョンコアはどうした?あぁ、勿論、放置してほしいのだが、説明もしてないし罰則にしないつもりだが。」
「ん?何で、ダンジョンコアについて聞く?」
「そりゃあ、最終階層である100階層を路破してきたんだから見かけただろ?」
「何言ってんだ?あのダンジョンは1,000階層だぞ?」
その俺の一言に、ローナを除き、周囲全体が凍った様に固まった。
「...何て言った今?あのダンジョンが1,000階層と聞こえたのだが、冗談だろ?べ、ベルは?」
「......鳴っておりません。事実です。」
「...おおう、マジか。...わかった、お前達に一つ聞いておきたい。どの位の難易度だ、残り900階層は?」
「およそで良いか?」
「ああ、構わない。」
「100階層事に区切られていて、1から100階層よりも数段魔物の討伐難易度が上がっているが、何よりも特徴てきなのが、環境変化だ。」
「環境変化?」
「あぁ、簡単に言うと、ダンジョン内が1~100階層みたいな洞窟・遺跡内部のような所では無く、100階層事に森の中や水中のような自然環境がフィールドとなっていて、それに対応するかの様に置かれている魔物も変化する。他のダンジョンにもあるだろ?」
「確かにあるが、そんなに大規模な自然環境だとな~。ここのダンジョンてかなりヤバイ?というかなんで知っているんだよ、そんな情報。」
「俺の...まあ、能力なようなものだ。」
と、俺は、ここのダンジョンについて(正確には、ソールが調べた情報で知られても何の問題にならないやつ)ギルマスに教えた。
「はぁ~、わかった。ダンジョンについてはまた今度聞く。今は、大量にあるAランクの魔物の素材を換金しようか。勿論、Sランクの代物になると、ここでは換金する事ができないから、今度開催されるオークションにでも出品しろ。そっちの方が儲けがでるぞ?」
「オークションか?それはどのような物で、そしていつ頃なのか?」
「あぁ、オークションの詳しい事については、今度にじっくり説明するが、基本的に全ジャンルの比較的高価な物だ。そしてオークション開催日は、今から3週間頃?1ヶ月頃か?忘れちまった。後日、伝えるわ。」
「おい、覚えとけよ。まあ良い、取り敢えず魔物の素材を換金してくれ。」
「わかった。おいヘレン、こいつらの報酬と案内とか頼むぞ。」
「わかりました。ではお二人様、いつもの所へ。」
と、ギルマスに変わってヘレンさんが案内をし、いつもの所と言ってもたった数日だが、倉庫へ行き素材をストレージ(アイテムボックスと偽って)から取り出した。
結果から言うと、かなりの金額というか、もう一生分普通に暮らしていけるような金額をもらい、かつ、一部のA+・S-・Sランクの魔物の素材は、S+ランクのエンシェント・ウルフと同様に、状態が良すぎるため(一撃だったので損傷が限りなく少ない)オークションに出す事になった。
俺達は、報酬をもらった後(精神的に)もの凄く疲れていたので、直ぐに泊まっている宿に帰り、早めに就寝についた。
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