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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大変です!魔王様が人間の勇者に攫われました!?

作者: 奈々子くん

人気あれば連載やってみまふ

魔王城。ここは人間が住むテリトリーとは別の場所。

その中心部であり、魔王【アルディライト・ヘリオス】治める魔族が住むテリトリー、国家である。


「大変だぁぁああ!」


ある日、そこに人間の勇者が現れた。

魔王の側近であり、魔族の最強の戦士4人、通称【魔王四天王】は地に平伏し、血を吹き出し臓物が飛び出ている者すらいる。


「なんだこの状況は!?」


我、ヘリオス・アルディライトが辺境の魔族の集落をどう統合するのか考えていた時である。

なんの情報も来てないぞ!?


魔王城があるこの街に勇者なんかが来る時には必ず連絡が来るはずである。

そもそも今は人間とは友好条約を結んでいるはずで、昔はたしかに勇者と戦っていたが今はもうやっていないはずだ!

我が生まれる前、私の先代の魔王の時に友好条約を結んで両国にお互い被害を出さない、困った時は助け合うと言う決まりがあるはずだ……。


何があった?

もしや我が国の者が人間に手を出したのか?

いやそれだと人間側の法律で裁いても問題ないようになっているはずである……。


「魔王ヘリオス・アルディライト!」


甲高い声。今世代の勇者は女性であるようだ。

もしや勇者として魔王を倒しに?

勇者は歴代魔王、強いては魔族を毛嫌いしていたと聞く。

もしかすると魔族を独断で滅ぼそうとしているのかもしれない……。


我と歳はあまり変わらない……この世に生を受けまだ19年ほどだろうか……。

頼みの先代魔王の父上はただ今、旧友と遊びに行っていて不在である……。


「流石に勇者を捕らえて即死刑……なんてできないし……」

「魔王!」


え?


目の前には勇者が立っていた。

我が考えているうちに魔王城に入り、手下どもを倒し我、魔王がいるこの魔王の座まで来てしまったらしい。


「ゆ、勇者よよく来たな!」


とりあえず魔王っぽい事を言っておくことにした。


「勇者よ、貴様……ずいぶん汚れているようだな?」

「これ?あぁ、なんか絡んできた奴全員切ってきたからかな?」


かな?じゃないよ!それしか考えられないでしょ!?

でも……機嫌悪くして我までやられるわけにはいかんしな……。


実は我は大して強くない。実は四天王の方がかなり強い。

決して他の魔族より弱いわけではないのだが、それでも歴戦の戦士と比べたら弱いほどである。

ここで勇者に立ち向かったら確実に我はやられる。


「ゆ、勇者よ……せっかくの可愛い顔が汚れている。風呂を沸かそう。入ってくるがいい!」


少しでも時間を稼ごう。

四天王はやられていたがまさか真正面からではあるまい。

条約で手を出せなかっただけのはず……多分……。

勇者がお風呂に入っている間に回復術師に頼んで回復してもら────


「か、可愛い!?」

「ど、どうしたいきなり!?」


勇者が突然叫びだす。

もしかして癇に障ってしまったのだろうか?


「何かあったのなら我が謝る!だから先に風呂に入ってきてくれ!」

「さ、先にお風呂って!?ま、魔王!?や、だって……でも……うん……………」


勇者は自問自答した後、下を向き、顔を赤くしたまま近くにいた従者に案内され風呂へと向かっていく。


「な、なんとかなったぁ〜!」


勇者が見えなくなった後、安堵のため息が出る。

とりあえず、四天王を復活させなければ……。


まず初めに我は回復魔法が使える従者を連れて四天王を治しに行った。


「大丈夫かお前ら?」

「すいません魔王様……私……勇者にやられて……」


四天王の一人、人一倍責任感が強い四天王兼魔王城のメイド長の【従魔】アルガー・セルルカが泣きながら謝ってきた。


「四天王としてお恥ずかしい……」


四天王の一人、【賢魔】アッシュ・ハーメルンは悔しそうに地を見つめそれ以降黙っている。


「ガッハハ!あの嬢ちゃん強かったなぁ!」


負けても豪快に笑うこいつも四天王の一人。【豪魔】ハザラーク・ライオネル。魔族一の戦闘狂である。


「たしかに強かったですねぇ〜」

四天王の一人、【善魔】ハルバート・ハルゼリートは既に次戦う時のために計画を立てている。


「皆、我のための命をかけて戦ってくれた事、感謝する」

「して、今勇者はどちらに?」

「今勇者には風呂に入ってもらっている。しばらくの時間稼ぎだ」


「なぜお風呂かと言う疑問は置いておいて、魔王様、現在魔王城に勇者に敵う戦力が一人もいません……せめて前王がいれば話は別なのですが……」

「そうだ……しかしないものを欲しても仕方があるまい。ここは勇者に穏便に帰ってもらう事を優先しよう」


我らは部屋に戻る。

丁度勇者が風呂から上がって来たところだった。

素っ裸で……。


「お、お前!?な、なんて格好を!?」

「貴様!魔王様にそんなものを見せるな!」


アルガー・セルルカ……セルルが俺の目を隠し、勇者に反抗している。


「うるさいなぁ〜……それより……魔王も早くお風呂に入って来てよ……」


最初来た時とはとは比べ物にならないほど塩らしくなっていた。


「というか、なぜ我も入らなければいけないのだ?」

「いいから!!」


何故だかわからんがここは大人しく聞かないと次は殺されるかもしれない。


「すまない、少し待っていてくれ」

「わかりました。お着替えはお持ちしておきます」


我は風呂へと向い、疑問に思いながらも体を洗い、水で流し、風呂に入る。


「あいつら何もしてもせんように……」


ぽつりと呟き、何も起きてない事を願ってしまう。

気になったらそれ以降気になってしまうものである。


「早く行かなくちゃな……」


我は風呂を早めに出て魔王の座に戻る。

行きたくないし、このまま風呂に浸かっていたいなんて考えてしまうのは魔王失格だろうか?


「な、何が起きたんだ!?」


戻って来た時には四天王は全滅。部屋は赤い血で満たされていた。


「ごめんね、魔王……やっぱりこんな奴らがいるところに魔王はいちゃいけないよ……」

「何を言って……お前がまたやったのか?」

「あ、ごめんね……また汚れちゃった」


我はこいつがわからない!何が目的なんだ!?


「魔王……アルっ!ここから抜け出そう!」

「何を────




我の意識はそこで途絶えた。





────」

「ここは?」

「私の家だよ?」


目が覚めると見知らぬ場所に我はいた。

いや、ここは勇者の家……という事である。


「なぜ勇者は我をここに?」

「勇者じゃないから」

「何を言っている?貴様は勇者だろ?」

「私はユリステッド・ヘルゲーデンって言う名前あるから」

「それはすまなかった……えっと……」

「ユリス……親しい人はそう呼んでくれるわ」


親しい呼び方か……勇者、いやユリスは別に我を敵だと思ってはいないらしい。

さてと、ここからどうやって抜け出そう。


「それで……ユリス、我に一体なんのようだ?」

「あ、初めにお父さんに電話していい?」

「え?あ、はい」


なぜここで先代勇者に連絡を?


「あ、お父さん……うん………そう…うん……じゃあよろしく……はい」


ユリスは魔道具……電話を我に渡して来た。


『おぉ、我が息子よ』

「父上!?」


電話から聞こえて来たのは旅行に行っていたはずの父上だった。


『お前に言い忘れたことがあってだな、実は──』


嫌な予感はしていた。


『そこにいる勇者の嬢ちゃん、お前の許嫁だから』

「……」

『やぁ、君がアルディライト君だね。娘をよろしく頼むよ?』


…………。


我はそっとユリスの方を見る。


「これからよろしくお願いします……アルっ!」


我の意識は再び飛びそうになった……。

評価などおながいしまふ

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