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カミサマ 3

 気づいたら真っ白な部屋にいました。


 なんだか酷く既視感がある言葉だなぁ。これは夢か。夢に違いない。よし、寝よう。そして起きる時は、妹に優しく起こされるんだ。起こされたことないけど。起こされたとしても肘鉄でだけど。永眠するからやめてくれ。


 「二度寝しないで。あと君もう死んでるから」

 「せっかくの現実逃避を無下にするなよ」


 起こされてしまった。

 あー現実かぁ。これ現実なのか。凹むなぁ。


 「いやーまさか倒れるとは思ってなくて焦っちゃったよ。人間って大変だね」

 「とんでもない衝撃だったんだが……。いったいあれはなんだったんだ?」

 「僕達はああやって意思の疎通をするんだ」


 うわ、あれ会話なの?コミュニケーションとれるのかよ……。カミサマってやばい。


 「あれはあれで効率的というか。伝えたいことをまとめて伝えられるし、誤解も生じないからね。こうやって君と話してる方がむしろ大変なんだよ」

 「はあ、それはご苦労さまなことで」

 「他人事過ぎない?」

 「他人事だし」


 それにしてもまだ微妙に気持ち悪いんだが。頭が重くなった感じがする。きつい……。なんて考えているとボーッとしてしまいそうになってハッとする。


 「ここまで容量が足りないとはね。消してあげたいけど、下手にデリートして全部消えても困るしなぁ。自力で忘れて」

 「丸投げ感すごい」

 「まあとにかく、スキルに関しては全部教えたし、どれか選んでよ。最大3つね」

 「ええ〜少なくね?」

 「初期装備はそんなもんだよ。あとは転生してから身につけて」


 スキルを選ぶために思い出そうとすると、色んな種類のものが頭の中を駆け巡った。知らないはずの情報を思い出すことができるって変な感じがする。

 そうして悶々とひたすら考える。異世界の常識や状態を知らないからスキルが強いのか弱いのかイマイチ分からない。大方見繕ったあとカミサマに聞けばいいか。


 カミサマ曰く、生きてるうちに習得できることもあるっていうしどうしたもんかな。剣とか扱えたら地球で言う中世ヨーロッパらしいから有利だろうけど、剣術は鍛錬してれば習得できるしな。しかしそれは誰かに教えてもらう環境がないと発現する確率がとても低いようだ。

 魔法も身体強化、炎魔法、水魔法、風魔法、土魔法、天体魔法、古代魔法、呪術……。げ、まだ他にもあるな。

 グーで殴る感じだと喧嘩殺法なんてのもあったりするが、これはグレたら習得できるのか?

 うーむ、どんなスキルがいいのやら……。そもそもどんな環境で育つことになるんだろうか。それによってとるべきスキルも変わってくるが。


 「フィーネちゃんは孤児院で暮らす女の子だよ。国は豊かだし、たぶん酷い扱いは受けてないと思う。とはいえ、孤児だからね。あまり裕福な暮らしではないよ」

 「そうなのか…。じゃあほとんどのスキルはとっても腐ることはないかな。何かしらで使えそうだ」

 「ところで、さっきから殺意高いスキル気にしすぎじゃない?もうちょっと可愛らしいスキルにしようよ。料理とか裁縫とか」

 「なんでだよ。そういうのはどう考えても向いてねーよ。小中と通知表における家庭科は1か2の男だぞ俺は」

 「自慢げに言わないでよ。それにスキルさえとればできるようになっちゃうし。そして、こう、魔法でも治癒魔法とか生活魔法とかさ……」

 「なんだよ、そんなに武に頼るのはよくないのか?」


 と言った時にふと気づく。完全にファンタジー世界だと思い込んでいたが、魔物みたいな何かしらの人類の敵がいなければ魔法やら剣術やら活躍する場所がないではないか、と。


 「いや、魔物はいるよ。それを倒す人たちも存在するみたい」

 「冒険者ってやつ?」

 「うん、まあそうだね。でも君はひろいんだからね?」

 「ヒロインが冒険者になっちゃダメな道理はないだろ」

 「ないよ、ないけどさ」


 呆れたようにカミサマはそう言った。言外にもっとお淑やかなものをとれという感情が伝わってくるが、気づかないことにする。


 「気づいてんじゃん……。君、もうちょっと思いやりっていうの持った方がいいよ。カミサマからのアドバイスだ」

 「別にいいじゃねぇか。要は考えようってことだよ」

 「どういうこと?」

 「冒険者になって一旗あげるにしても、俺が俺……いや、ヒロイン?だって分からなきゃいいんだよ。やることは人々を守ることと同義だろ?それはもうプリ〇ュアじゃん」

 「!」


 息を飲む声が聞こえてきた。このカミサマほんとにカミサマなのかってくらい通じてやがる。いいよな、ニチアサ。俺はプリティもキュアキュアもしてないけど。だけど男の子だってなれるんだぜ、プリ〇ュア。


 「ど、どうしよう、衣装とか変身アイテムとか作った方がいい!?1人だとあれだし仲間とかも……妖精も……」

 「まてまてまてまて。落ち着け。どうどう。カミサマが再現したいのはなんだ?」

 「プリ〇ュア……」

 「あれぇ!?」


 予想以上にプリ〇ュアに憧れを持っているカミサマだった。

 乙ゲーのヒロインよりはプリ〇ュアのほうがやりがいはあるとは思うが、これ以上カミサマによる被害者が出ても困る。アニヲタでもなんでもない成人男性が追加として連れてこられたら目も当てられない。

 息を吸って腹に力を込める。俺は声をはりあげた。


 「カミサマ、お前は乙女ゲームをやったんだよな?純粋でピュアな恋愛模様……そこに憧れと夢を持った、違うのか!?」

 「……!その通りだ!」

 「ならば初志貫徹!プリ〇ュアは夢と希望を与える者たちだ!俺達がそれ知らないでなれるようなものではない!」

 「たしかに!」

 「ならば問おう!今すべきことは!?」

 「乙ゲーの再現です!」

 「よく言いきった!」


 会話が途切れふと我に返る。何がよく言いきった、だよ。冷静さをかいていたようだ。


 「では教官!教官が獲得するスキルは何にいたしますか!」

 「え、ああ、うん、考えないとな……」

 「え、今そういうノリだったよね?引かないでよ。テンションの落差に風邪ひくんだけど」

 「ごめんな……ちょっと恥ずかしくなっちまった……」

 「やめてよ!ノッたこっちがバカみたいじゃん!」


 カミサマが憤慨している。ぷりぷりと言わんばかりだ。いや、実際に口に出している。アホっぽい。


 「これでもカミサマなんだからアホとか言うのやめて」

 「そうか。それで、取得するスキルなんだが……」

 「うわ、スルースキル高すぎ……。ま、いいよ。どれ取りたいの?」

 「えっとな、」


 そうして俺は取りたいスキルの候補をあげていった。

こんなん書いてよかったのだろうか……。アウトかな。プリ〇ュア、初代が好きです。

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