第六十一話 スタバ
晴れた日の昼下がり、私たち三人―――私、ルリ、石川先輩はスターバック○の店内で話し合いをしていました。
「……ここに呼び出した理由、わかるかな? 瑠璃ちゃん?」
若干の寒気がするのは、室内の温度が低いだけではないでしょう。……具体的に言うと怖気のようなものでしょう。おそらくルリはこの空気になることを予期していたと思われます。そうでなくては「石川先輩とお茶しに行くから一緒に来ない? なんなら奢るよ?」とまで言って私を連れてきた意味がありません。そうでなくても私とルリは、四六時中一緒にいるのですから。あまり石川先輩のことを知らない私を連れてくることで、態度を軟化させようとしたのでしょう。効果が上がっているとは考え難いのがつらいところですが。
「その様子ですと、知ってしまったようですね……先輩の誕生日を」
…………。先輩……というと、三井先輩のことでしょうか……? 先日……その……私に……「可愛い」などと言った……。
「その様子だと、忘れてた、ってことじゃあないみたいだね?」
「この私が先輩の誕生日を忘れるとでも?」
……そうですか……三井先輩の誕生日……。
「教えてくれてもよかったんじゃないかな?」
「聞かれませんでしたからね。少なくとも先輩を争うという点での敵に、わざわざ塩を送るメリットはありませんので」
……別に、私が日ごろの感謝をこめてプレゼントを渡しても、不自然ではありませんよね……?
「まあ、別ルートで知ることができたからいいんだけどね? ここだけの話、なおくん女性からプレゼントもらったらしいよ?」
「なっ……!? どこのどいつですか!? 先輩を狙う女狐は!?」
……でも、男の人が貰って喜ぶようなプレゼントとは、どのようなものでしょう……? ……好感をもたれるような……。
「ふふふ、瑠璃ちゃんも黙ってたでしょ? だからこれでおあいこ」
「くぅ……気になります……」
……三井先輩も読書家とのことですから、本はどうでしょうか? しかし持っている本を渡されても困るでしょうし……。
「で、瑠璃ちゃんは何あげるの?」
「……杉田先輩にお菓子の指導を受けているので、ケーキをあげようかと」
本人に聞くというのは? しかしそのことで気を遣わせても……。
「ああ、それいいね! 私も何かお菓子をあげようかな?」
「石川先輩がそれをするのはやめた方がいいと思いますよ? 被るからというだけで他意はありませんが」
……男性に物を渡すなど、あの父親以外経験がないのが悔やまれます。
「ああごめん、岬ちゃん無視して二人で話してたね」
「岬、どうかしましたか?」
「……男性にプレゼント、何をさしあげればいいのでしょうか? ……好感をもたれるようなものというと……」
「えっ!?」
「はい!?」
……この二人はなぜそんなに驚いているのでしょうか。
なぜ俺は
テスト期間に
書いている