第五十七話 真実
「さあ、吐け! 貴様が元凶であることはすでに聞き取り調査済みだ、清水!」
「だ、だが待ってくれ刑事さん! 俺は決して根も葉もない憶測を言ったわけでは……」
「……ふう、こんなところで素直に罪を認めないお前を見たら、お袋さんはどう言うだろうな……」
「な……! お袋は関係ねえだろ!」
「ふふふ……お前がこのまま否認を続けるようなら、家に報告せざるを得んな。……子が嘘をついていると知った家族の悲哀……。俺も見るには堪えんが是非もあるまい……」
「お袋……俺はお袋に嘘なんか吐きたくはないんだ! 中学時代……いや今だって苦労をかけてるのにこれ以上は!」
「ならわかるだろう……? 君のなすべき行動が……」
「くっ卑劣な……」
「さあ吐け! この私をロリコン呼ばわりしたその理由を!」
「り……理由は三井がもてるのが羨ましくて悔しかったから……」
「俺のどこがもてるって? はは、冗談はよしてふぐっ」
「…………なおくんのバカ」
「お、俺がいったい何を言ったと……」
「知らないっ!」
「……ど畜生があ! いっとるそばから何ラブコメしてるんだよクソッたれ!」
「清水ー、ここは泣いてもいいと思うよー」
「うっ、うっ」
「なんか俺が悪いみたいな流れに……」
「反論はできんな、旦那」
「……まあいいが、結局それで根も葉もない噂をばら撒いたのか?」
「うっうっ……根も葉もないわけじゃない……」
「なんだと!?」
「杉田が……三井はロリコンだって言ってた」
「やはり貴様か義人―――!!!」
「待て待て、俺はそんなこと言ってないぞ?」
「そんなことはない! 確かに「旦那は小さい子が好きだ」と―――」
「義人、返答の次第によっては今後不自由な生活を余儀なくされるが異論はないな?」
「ありまくりだよ! てか清水俺のその発言はあれだ、「旦那は小さい仔が好きだ」ってことだ!」
「同じじゃねーか」
「子と仔の違いだ! 旦那がそこの林から出てきたイタチ抱いて頬を緩ませてたから!」
「…………」
「…………」
「紛らわしい発言するんじゃねえよ!!!」
「……わ、私は初めからなおくんを信じてたけどね?」
「嘘だっ!!」
数日後。
「旦那ー、また旦那がロリコンっていう噂が広まってるぞ」
「この前の発言が後を引いてるのか……厄介な」
「いやいや、それとは別に……」
「三井が図書館で中学生口説いてたって噂がー」
「……オボエテナイヨ、タダノウワサジャアリマセンカ」
「動揺しすぎだろ」
「わかりやすいねー」
「……ふん、だ」
地の文が面倒くさかった……なんてことはアリマセンヨ?