第五十六話 疑惑
エロゲ規制とか日本政府はどうなっとるんですか。趣味を批判するとか意味がわからんのですよ。それより先にパチンコとか酒とかタバコとかを規制しろと(ry
教室で一人、ゆるりと過ごすのもよいものだ。いつもは喧騒の中心にいることが多いが、こうして周りの級友が各自グループを形成して笑顔を見せる姿などを観察すると、平和を実感する。たまにはこうして何もない一日を過ごすのも―――
「なおくん、ロリコンって本当なの!?」
……どうせ何か起こるとは思っていたよ、今までの経験からして。
「答えてなおくん! 高校一年でロリコンってことなら趣味は小学生!?」
「とりあえず大声をあげるのはやめてくれ、注目を浴びる」
そんな大声出されたら、ああやっぱり皆こっち見てるし。ロリコン連呼するな、ロリコンの疑惑がクラスで広がること確定じゃないかこの野郎。……女の子だから野郎ではないか。
「まさかそれ以下の年齢層!? ダメだよなおくん、ロリコンは犯罪だよ、矯正しないといけないんだよ!?」
「お願いですから黙ってください俺が変人だと思われるじゃないですか勘弁して下さい」
……ああ、俺の築いてきたイメージが音をたてて崩れているような……。
「安心しろ旦那、今このクラスで旦那を常識人だと思っている人は皆無だ」
「貴様が原因か義人!?」
「来るや否や濡れ衣だと!? おれの信頼度はそこまで低いのか!?」
「信用してるぞ、間違いなくお前が元凶なのだろうこのトラブルメーカーが」
「そんな信用いらない!」
「しかも俺が変人だと!? 誰がそんなことを言ってやがる!」
「クラスの総意だ」
ぺら、と出されたのはアンケート用紙。……なるほど、これはクラス全員がおかしいからこういう結果なんだな。間違っているのは俺じゃない、世間だ。
「そうだよなおくん、性癖を明らかにされて動揺してるのはわかるけど落ち着いて!」
「俺のタツミに対する信用度も、着々と減少中だ」
「どうして!?」
「答えは簡単、ロリコンじゃないからだ」
というかなぜタツミにこうまで疑われてるんだ?
「でも噂になってるし……」
「誰から聞いた?」
「清水君」
よし、紳士的な報復に出よう。
「うわああああああああ!!!」
「どうしたの清水ー? 周囲を引かせるほど号泣してー」
「こ……これを見てくれ」
「んー、アンケートー? 『彼氏にしたくない人ランキング』ー? 清水がダントツ一位なだけじゃんー。これがどうかしたのー?」
「今まさにお前が答えた内容が原因だよ!」
「こんなの単なる事実じゃないー」
「ちくしょおおおおおおお!!!」
「……思い知ったか清水」
「三井! なぜこんなに(俺にとって)惨いことを……」
「自分の胸に聞け」