第五十四話 黒
「子供のころって戦隊ヒーローにあこがれるよな、旦那!」
「俺はウル○ラセブンとかタロウとかの方が好きだったから、じゃ」
「今面倒だと思って無理やり話を打ち切っただろ!?」
だって義人から俺を巻き込もうとするオーラが出まくってるから。これは乗らない手しかないだろう。
「中学の文化祭でも保護者ちゃん達がやってたじゃん! ブームなんだよブーム! 時代の流れに取り残されてもいいのか!」
「むしろ逆行してるだろうが。お前の精神年齢は小学生並みだとは思っていたが、保育園児並みだったとは驚きだ」
「男とは時に子供のような熱意を持つことがある馬鹿な生き物なんだよ」
「達観したセリフは、一度でも年相応な行動を取ってから言うんだな」
「ねーねー旦那、御託はいいから戦隊ヒーローごっこやろうぜー」
やっぱ巻き込む気だったんじゃねえか。……否定してなかったし当然と言えば当然か。
「だから断ると……」
「旦那だってオーレ○ジャーとかカクレンジャ○とか好きだっただろ?」
「誰がさとう珠○やケイン○スギが出てた戦隊物を好きだったと?」
「よく知ってるじゃないか」
ちっ、ガキの頃の話じゃ仕方なかろう。好きなものは好きだったんだ。
「じゃー俺が冷静沈着で聡明なブラックだな」
「分不相応にもほどがあるだろ」
ケイ○コスギに謝れ。
「さあ旦那は不良少年の役をやるんだ」
「敵は魔物とか世界征服をたくらむ悪役ですらないのかよ……」
「へっへっへ、学校をさぼっての一服は最高だぜ」
「待てーい!」
「な、何だてめえは!?」
「ありとあらゆるものが黒! キタブラック!」
「一体何の用だ!?」
「未成年の分際でタバコなんか吸うんじゃない!」
「俺の勝手だろうが」
「手遅れになる前に止めるんだ、後悔することになるぞ……俺のように」
「?」
「肺もブラック、キタブラック!」
いやヒーローとして駄目だろそれは。
「まあ貴様のことなんてどうでもいいんだけどね、仕事でやってるだけだから」
最低だこいつ!
「腹もブラック、キタブラック!」
いちいち鬱陶しいなおい。
「(スッ)」
「なんだそれは?」
「PSPだ」
「それがどうした?」
「PSPのカラーもブラック、キタブラック!」
何の関係もねえ! てか趣味の段階じゃねえかそれ!
「……冷静沈着はどこへ消えた」
「らきすたで好きなのは黒井な○こ先生、キタブラック!」
「もういいから」