第二十八話 作戦会議
とある秋の昼下がり。女子数名で騒がしい机周辺にて。
「辰美ってさー、三井君のことが好きなんだよねー?」
「……うん、まあ、そうだけど……」
「それにしてはアプローチが弱いと思うんだよね、押しが足りないよ押しが」
「そうそう、よく言うでしょ? 押しが駄目ならもっと押せって」
「そこは引こうよ、ね?」
「その結果、現在に至ってるんだからね?」
「それを言われると弱いんだけど……」
「だいたい三井君もあれだ、こんな可愛い子が消極的ながら迫ってるのに、付き合おうとしないなんて……やっぱり杉田君との噂は事実なのかな?」
「それはないよ! たぶん……」
「まあよく聞かれてるけど、断固として認めないからねー」
「……その言い方だと、なおくん×杉田君は確定事項なんだね……。認めてないからって……」
「それはそうでしょう! でも杉田君×三井君かもしれないけど」
「いやいやそこは……はっ!?」
「どうしたの? ここから議論が始まろうかというところで……」
「待って! これは罠よ! 私たちは今何をしようとしていたの!?」
「何って、受け攻めの議論を」
「そこがおかしいのよ! そもそも私たちは辰美を三井君とくっつけようと集まったんじゃないの!?」
「……そこは盲点だったわ……」
「……あの、ただ雑談してただけで、私となおくんが付き合うとかそういう話し合いでは始めからなかったような……」
「恐ろしい罠ね……こうやって魅力的なネタをちらつかせておくことで、第三者の深い介入を防ごうとしていたんだわ……」
「敵ながら巧妙な手口ね。感服するわ」
「……いつの間になおくんが敵に……?」
「だけどその程度の罠に引っ掛かる私たちじゃないわ!」
「自分で勝手に罠を作って掛かってる感じが否めないんだけど……」
「……だけど、三井君はどんな子が好きなんだろう?」
「そうね、辰美は何か知らない? 好みのタイプ」
「……そんなこと恥ずかしくて聞けないよ……」
「ピュアだなあ辰美は。日常会話……むしろあいさつで聞けるレベルだよ?」
「そんなことどうやって……?」
「「おはよう三井君、杉田君とはどっちが受けなの?」って感じで」
「質問内容変わってる!」
「おっといけない、また罠にかかるところだった」
「まあそれはともかく、簡単だって。聞いてきなよ」
「今すぐ!?」
「善は急げって言うでしょ?」
「でもでも、心の準備が」
「大丈夫だって! 性癖まで聞けとは言わないから!」
「もともとのハードルが高いよ!?」
「だから聞かなくていいって」
「あーもう、もどかしい! 私が言って聞いてくる!」
「ああ、ちょっとー……。辰美の練習にもなったのに……」
「……そんな直接的な質問、もしぜんぜん違う……美人なお姉さんが好きだったら立ち直れなくなるよ……」
「心当たりでも?」
「……なおくんのお姉さんがそんな感じなんだよ」
「シスコンじゃなけりゃ大丈夫だって……お、帰ってきた」
「聞いてきたよー」
「で、詳細は?」
「「俺はホモでもバイセクシャルでもねえ!」だって」
「また質問内容変わってるよ!」
明日明後日と二日続けてプレゼン発表。忙しい時に限って書くのはアホですね。我ながらよくわかりません。