第二十四話 勇者ミツイの冒険〜離脱編〜
旅は順調に進み、俺たち勇者一向は、魔王退治のためレベルを上げようと必死で努力していた。俺のレベルが十二、ヨシトのレベルが十五、イシイのレベルが十四であり、まだまだ魔王に挑むには力が足りない。俺たち三人は勇者として困った人を助けながら……。
「っておい! 一人足りない気がするぞ!?」
「旦那のレベルが一番低いことには触れないんだな」
「うるさいわ!」
くっ、人には誰にでも触れられたくないものがあるというのに、空気読めよ。スルーしろよ。俺の名誉を保たせろよ。
「大丈夫だ旦那。旦那のプライドなんて塵に等しいから」
「無礼この上ないこと言ってんじゃねえ! 経験値だけ稼いでほとんど戦わなかったお前らのレベルが高いなんて詐欺だろ!」
「人生なんてー、そんなもんだよー。要領よく立ち振る舞った方が勝ちって言うかー」
……ちくしょう。かなりムカつくな、このシステム。
「それはさておいてだ! ケンゾー(最強の遊び人)はどこに消えた!?」
いつの間にいなくなってたんだ!?
「ああー、ケンゾーならー、「職場環境が悪いので辞めさせていただきます」とだけ言い残してー、帰ってったよー」
「そんな簡単にパーティって抜けられるものなのか!?」
衝撃の事実である。俺に何の相談もなしにパーティから抜けられるとは。そんなにカリスマ性がないのか、俺。そしてバイト感覚だったのか、健三さん。
「勇者一向への勧誘の文章は〈世界のためになる、やりがいのある職場です〉とかだったからな」
「ずいぶん怪しい勧誘だなあ、おい!」
怪しすぎて、そんなとこ普通の感性ではいこうなんて思わないだろ! 文章考えたやつ、どうかしてるっての!
「〈自分の実力が上がっていくのが実感できます〉とも」
「そりゃあレベルが数字として表れるからね!」
事実ではあるが、魅力が感じられん。
「でもー、このまま三人でパーティを組むのもおかしな話だよねー。四人で組んだ方が楽だしー」
「勇者と遊び人三人っていう今までのパーティも十分おかしかったけどな!」
「なら、次の街で新たなメンバーを探すことにするか。それでいいか、旦那?」
「次の街への道中で、レベル上げも兼ねてな」
「一番レベル低いのはミツイだけどねー」
「それを言うな!」
しつこい奴め。
「いいんだよ! これから俺はガンガンレベルを上げてやるから!」
「一緒に行動している以上、俺たちのレベルも上がるわけだが」
「しかもー、このままのペースなら僕たちの方がずっと早くレベルが上昇するしねー」
「……遊び人のくせに」
久しぶりの投稿です。一ヶ月も更新なしですいません。なぜか今さらフェ○トやリトルバ○ターズEXにはまっていたもので……。恨むならゲームを貸してきた友人二人を恨んでください。
……いや本当にすいません。