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第二話 遭遇

「ぎゃああああああああ!!!!! 」

「うわああああああああ!!!!! 」

 なんだなんだ!? 至近距離で叫ばれたもんだから、反射的に大声で返しちまったじゃねえか!

「せせせ先輩!? どうして石川先輩と一緒に先輩の家から出てくるんですか!? 」

「貴様か保護者! 朝っぱらから近所迷惑な大声出してんじゃねえ! 」

「どうして!? なんで!? そうですねこれは夢なんですねおやすみなさい先輩、夢であえてよかったです若干……いやかなりの悪夢ではあったんですけど! 」

 駄目だこいつ、聞いちゃいない。

「落ち着け保護者」

「夢から目を覚ますにはやっぱり痛みですよね、ほっぺたをつねって……最近の夢は痛みを感じてしまうくらい高性能なんですね、これが現実の世界であるはずがないのに! 」

「おーい、聞こえてるかー」

「先輩が石川先輩と一夜にして大人の関係になって出てきたなんてそんなことあるはずがないのに! 」

「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえ! そんなことあるはずがなかろうが! 」

「ではやっぱり夢なんですねおやすみなさい」

「だからこれは現実だ! だがお前の考えるような事実はない! ありえない! 」

「……ありえない……」

 タツミがずーんと落ち込んでしまったようだが、それは置いておこう。今は保護者をこっちの世界に引き戻すことの方が重要だ。

「ならどうして先輩の家から石川先輩が出てくるんですか! 」

「ただ一緒に学校に行こうって、タツミが押し掛けてきたというだけだ! 断じて他意はない! 」

「どうして先輩の家を知ってるんですか、石川先輩が! 」

「……なおくんの家とは家族ぐるみの付き合いだからね……ただそれだけの話なんだよ」

 お、タツミが影を落としながらも復活した。自己回復能力があると助かるな。説明の手間が省けるし。

「……じゃあ、先輩が石川先輩を家に連れ込んでにゃんにゃんした、ってわけではないんですね? 」

「いつの時代の表現だ?にゃんにゃんて……まあ、お前の考えるようなことはなかったと保障しよう」

 ようやく理解しよったか。実に時間がかかる。



「……そうですよね」

「なにがだ? 」

「先輩にそんな甲斐性あるわけありませんよね! いやー、よくよく考えたら先輩に女性を押し倒すような度胸があったらこんな事態にはなってませんよね! 先輩は国宝級のヘたれだって言うのに! 」

 …………。

「先輩、疑ってすいませんでした、動揺してあり得ない仮定をしてしまいましたね……ってあれ? 先輩? もしかして怒ってます? 顔が怖いですよ? 」

「おいこら」

 俺は後輩にここまで侮られていたのか。なんてこったい。

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