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第十七話 適材適所

「先輩……いや先生、質問があります」

「なんだ保護者。わからんのか?」

「どうして私の心臓の鼓動が高鳴っているのでしょうか?」

「心臓に関する病気の疑いがあるな。病院行って、精密検査受けてこい」

「少しくらい構ってくれてもいいじゃないですか!」

「お前は勉強ができるんだから、むしろ他の奴らに教えてやれ。そっちの方が建設的だ」

「それじゃあ先輩が来てくれた意味がないじゃないですか!」

「そもそも、お前の学力なら十中八九北高には入れる。ケアレスミスとかさえなければ」

 そしてケアレスミスに関して言えば、俺の近くにいる義人というアホには遠く及ばないため計算に入れる必要はないだろう。……たぶん。

「じゃあケアレスミスしても受かるくらいまで、私の学力を向上させてください!」

「……ならこの問題でも解いとけ」

 このまま押し問答を続けたところで、時間の無駄になるとしか思えないので、問題を押し付けて保護者のもとを去った。他にも教えてほしい後輩などいくらでもいるはずだから、一人に時間をそんなにかけるわけにもいかんし。

「せんぱーい、ここわかんないんですけどー」

「ああ、ここはまずこっちの角度を求めてからだな……」

「なるほど!」

「そうするとこっちがこうなって、補助線入れたらもう簡単だろ?」

「わかりました! ありがとうございます!」

 うん、これだよこれ。俺が求めてたのはこんな感じ。決してコントをするためにここに来たのではない!

「さあ、わからない問題があればがんがん聞いてくれよー」

「はい先輩、ここがわかりません!」

「保護者以外で」

「教える生徒を選ぶんですか! 横暴です!」

「お前の質問には一度付き合ってやったろうが。他にはー?」

「ああ、もういいぞ直樹」

「あれ? もういいんですか先生?」

「お前がごたごたやってる間に、俺と義人であらかた質問を片付けたからな」

 衝撃の事実!

「いやー、義人は教え方がうまくて速いな。教師に向いてるぞ、うん」

「それほどでもあります」

 ……俺は、この分野においては義人よりもかなり劣っているらしい。

「先輩、人間には長所も短所もあるんですから、別にいいじゃないですか」

「間違いなくお前の相手をしてて後れをとったってのがあると思うけどな俺は!」

「生徒に責任をなすりつけるとは、見下げ果てた教師ですね。先輩は教師になったら絶対だめですよ」

「別にいいわい! どうせ教師になるつもりなんてないからな!」

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