表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/63

第十二話 発見

「……それでは、今日の部活はここまでだ。お疲れ」

「終わったあああ」

 何が悲しくて、大会が終わって自由なはずのこの時期に長距離走+筋トレ地獄を味わされなければならんのだろうか……。シーズンオフですよ? 水泳部ですよ? バカ広いこの学校の周囲(一周二キロ超)を走らんといかん理由などあるだろうか? 否、ない!

「これから部活の度にこんなことさせられてたら体が持たん!」

「おお、そこまで言うからには小倉さんに直談判してくれるのだな」

「……人生、諦めが肝心だと思うんだ」

「弱っ!」

 だって、あんな筋肉ダルマに直談判したところでメニューが変わるとは思えんし。夏は実際変わらなかったし。頭の中身まで筋トレで筋肉に変えたに違いない、あの先生は。

「まあまあ、せっかく部活も終わったことだし、帰って体を休めようではないか」

「そうだー、この前ー、面白いものを見つけたんだー」

「何を?」

「知りたいー?」

「その言い方をされたらな。気にならないって言ったら嘘になる」

「じゃあー、教えてあげようー」

「イッシー、それはどこにあるんだ?」

「帰り道の途中だよー」

 ふむ。おもしろい店でもできたのか? うまいラーメン屋とか。

「食べ物関係か?」

「おおー、三井さえてるねー。その通りだよー」

 予想通りだったのか。これじゃあ、実際に見てもあまり驚けないかもしれないな。

「さあー、一緒にそこに行ってみよー」




「着いたよー」

「はあ?」

 連れられて来てみたはいいけど、特に新しい店舗は見当たらない。しいて言えば、昔からある焼き肉の店(某飲食人気店紹介番組にも取り上げられたことあり)くらいだろう。

「おいおい、新しい店なんてないじゃないか」

「んー? 僕新しい店を見つけたなんて言ってないよー?」

「飲食関係って言ってただろ?」

「うんー。だからあそこー」

 そう言って、石井が指し示したのは……

「自販機? これのどこがおもしろいんだ?」

「しっかり見てよー」

 しっかり……?

「……っておい! なんだこの自販機!?」

「ねー、面白いでしょー?」

「この田舎都市にどうしておでん缶の自販機が!?」

「どこかの企業が設置したんでしょー?」

「購入者層がわかんねえよ!」

 ちなみにレパートリーは豊富で、おでん缶のみならずパスタ、ラーメン缶も入っている。値段は三百円、四百円である。

「……誰が買うかわかんねえよ……」

「僕は全種類買ったけどねー」

「……ちなみに味は?」

「そこそこだったなー」

「そうか……って義人!?」

「なんだよ旦那」

「いくつ買うつもりだ!?」

「たくさん」

「お前アホだろ!?」

 購入者層はこういう変人なんだろうな……と実感してしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ