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93 俺たちの戦いはこれからだっ!

・前回のあらすじ

 メンテ後に追加された“ワールド・クエスト”を、早速プレイする事にした主人公と妹。

 その途中、マルタをパーティに入れてワールド・クエストを開始する。

 そして付いてきたNPCのペネローザ。

 だが、NPCはNPCでしかなかった。

 そして僕たちは、ペネローザを連れて屋敷の外まで出た。


 ……どうやら、NPCはNPCとして扱ったほうが良いらしい。

 AIの出来がイマイチで、まともに相手をしても徒労に終わってしまうことが普通なそうな。

 VRだから、まるで人間のような錯覚をおこしがちだが、まぁ、NPCはNPCだということだ。



 屋敷の外に出ると、そこにはまだ大勢のプレイヤーが並んでいた。

 その脇を通り抜け、屋敷の敷地の外に出ようとした時――


「あれぇ? このあいだの魔法剣士さんだ」


「うん?」


 見るからに魔法使いの恰好をした女性と視線が合う。

 ええと、彼女は確か……


「ああ、おはようございます。みかっぱさん」


 それは、この間の野良パーティで一緒になった“黒魔道士”のみかっぱさん。

 ……ミア宛のメールを、間違えて僕に送ってきた人だ。


「あ、やっぱり新クエしに来たんだ?」

「ええ、はい」


 みかっぱさんの向こうには、剣士ケンケン他、パーティーメンバーと一緒に来ている様子。

 みかっぱさんも僕たちと同じく、このワールド・クエストというのを受けに来たんだろう。



「にーちゃ?」


 ライムの眉がぴくりと上がる。


 ……いや、みかっぱさんとは別になんともないから。そもそもフレンド登録すら交わしてないからな?


「あの時はゴメンねー? あの後どうだった?」


 彼女は、間違えて僕にメールを送ってしまったことに気付いてないのだろう。

 ……まぁ、それは黙っておこう。言っても気まずくなるだけだろうし。


「なんとか地下二十階までは行って、“慈愛の杖”は取れましたよ」

「おおー」


 と、大仰に驚いてみせるみかっぱさん。


「にーちゃ、その人は?」


 と――我慢できなくなったようで、ライムが僕の前に身を乗り出してきた。


「ああ……、この人は、一昨日の野良で一緒になったみかっぱさんだよ」

「みかっぱです。こんにちわー」

「こんにちは」


 警戒しているのか、硬い表情のライム。

 妹よ、そんなに睨まなくとも、みかっぱさんとは何も無いって……。


「おーい、みかっぱ。もう列が進むぞー」


 剣士ケンケンさんの声に、みかっぱさんが呼び戻される。

 ケンケンさんは僕のことをよく覚えてなさそうだな。

 ……まぁ僕も、彼と道端でばったり合っても、思い出せないだろうけど。


「はーい。じゃ、また何か機会があったらよろしくねー」


 そうしてみかっぱさんはパーティメンバーの下に戻ってゆく。

 ……良かった。みかっぱさんが余計なことを口にするんじゃないかって、内心ひやひやしていたんだが――――



「あれ? みかっぱ。さっきのって、あのミアってヒーラーの娘に入れ込んでた――」


 ケンケンさぁぁぁぁんッ!?


 思わぬ伏兵だった。

 ケンケンさんのその一言に、ライムの眼がギラギラと光り出す。


「にぃーちゃぁ? ヒーラーの娘って?」

「……いや、その野良の時に一緒になっただけの娘だよ。それだけだって」


 うん、なにも間違ったことは言っていない……はずだ。


「にぃーちゃぁ? その“ミア”って娘の名前が出た時……「やっべッ」って顔しなかった?」


「シ……シテナイゾー?」


 あ、だめだ。

 自分で、今の日本語がマルタより下手だったって判った。


「さっきのオンナの人と、フレンド登録した?」


「……いや、してない」


「そのヒーラーの娘とは?」


「……したけど?」


有罪(ギルティ)


「なにゆえッ!?」


 フレンド登録しただけだよ!? ごくごく普通のことだろっ!?


「にーちゃ、吐け」


「……はい」


 洗いざらい、すべてを吐かされました。




  ◇



「ふぅむ……“ミミア”とそっくりな娘か」

「はい、その通りです」


 話したんだから、正座を崩しても良いですか? ダメ? あ、そうですか……。


 なんというか、こう――上着のポケットから、キャバクラの名刺が発見された旦那さんって、こんな感じなのでしょうか?

 上司のお付き合いで飲みに行っただけで、女の子には指一本触れてないよ! って言葉は信じてもらえないものなのでしょうか?



「“ミミア”か――なんて厄介なのが出てきたんだろ」


 あの、妹殿下? VRだから足が痺れたりはしないけども……

 ここ、往来だからね? というか、今一番ホットな場所のすぐ近くだからね?

 さっきからずっとクスクス笑われているし、すごく恥ずかしいんですけど……。

 あの、もう勘弁してもらえませんか?


 と、正座させられる僕(そんなもの)には目もくれず、ライムは何かをぶつぶつと呟いていた。


「良し!」と、なにやら決意を込めた目で、ライムを顔を上げる。



「決めたっ! にーちゃ!」

「な、なんだ?」


引退し(やめ)よう、このゲーム!」

「おいこら待て」


 どうしてその結論に至った? どんな極論だよ。




------------


★ご愛顧ありがとうございました。

 “brand-new World”運営による次回作にご期待ください。


------------



 …………


「……おい、なんだ今のは?」


「Oh、アソコらへんの人の誰かが、メッセージツールで出シタみたいデスネ」


 と、マルタが行列に並ぶ人達を、その太い指で差す。


「他のプレイヤーに遊ばれてんじゃねーかッ!!」


 くっそ、流石にこんな所で正座していたら、嫌でも目立つかーーッ!


「オーウ、お二人サンが引退してしまうと、拙僧ベリーベリー悲しいデス……」


「ライム、何を心配しているのか解らんが、少し神経質になりすぎじゃないか? 昔の仲間の――それもただのソックリさんだぞ?」


 本当に気にしすぎだって。


「むぅ……、わかった。それじゃしばらく様子を見る……」


 と、渋々妹さんが了解を示したので、ほっと一息。




------------


★最終回じゃないぞよ、

 もうちびっとだけ続くんじゃ。


------------



「だから誰だよッ!! さっきからあぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

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