48 俺のスコップは穴を掘るスコップだ!
本日は三話投稿しています。こちらは三話目になります(3/3)
本日最後。短いですが
「よしっ」
なんだか消化不良な結果となってしまったサボテンとの闘いの後――
妹さんが「むんっ」と腕まくりしたと思うと、突然ストレージからスコップを取り出し、ざっくざっくと地面を掘りだした。
いったい、何をしてるんだ? うちの妹様は……
「ライム?」
「ライムちゃーん、なーにやってるのぉー?」
妹の奇行に、マイテやキャペモも様子を覗いに来た。
みるみると膝が隠れるほどの深さになった穴の底に、ざくりとスコップを突き立てたライムは、「ふぅ」と額の汗を拭うと、二人に顔を向けた。
「あいつがログアウトした場所はここ」
ライムは、今しがた掘った穴を指差した――人差し指ではなく親指で……
つまり、サムズダウンである。闘技場では「殺っちゃえ☆」の意である。
「つまり、次にログインしたら、ここに出てくる」
「…………」
「…………」
しばしの沈黙の後、マイテとキャペモの手にはスコップが握られていた。
「深さはぁ、どのくらいー?」
「2メートルぐらいがベター。簡単に這い上がれるけど、浅くはない感じが実に屈辱的」
「中には何をいれましょう? 泥水じゃ弱いかな?」
「オーソドックスはぁー、竹槍?」
「どうせダメージは当てられない。要らないキモ素材を敷き詰めて置くのがいい」
「あ、この間のモグモグ男爵のしっぽが余ってます。うねうね動いてキモいんですよね、アレ」
――
ざっくざっくざっくざっく――
と、そうこうしているうちに男性陣も寄ってきた。
「ったく、マジなにやってんだ。コイツら」
「んム……まったく」
――――
ざっくざっくざっくざっくざっくざっく――
「コイツはオレに惚れてる。――みたいな態度がキモかった。最初はギャグかと思った。サボテンのクセに」
「なんで人が多い場所にいくほどベタベタしてくるんですか?“相棒”とか“コンビ”とか強調して言わないで下さい。他の人に誤解されたくないです!」
「胸とかぁ、おしりとかぁ、見過ぎですー。そして露出の高い装備をぉ勧めないでくださいー。下心を隠す努力をぉ少しはしてくださいー」
「通路のド真ん中に陣取って、両手剣ブンブン振り回すなってマジ。ヒトに剣ぶつけといて、舌打ちすんな、マジ」
「むか……邪魔。魔法撃てない」
――――――
ざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっく――
「頭撫でようとするな、頬に手を添えようとするな。やりたかったらにーちゃになってから来い」
「自慢話つまんないです。しかも盛ってるって分かる話を聞き続けるのは苦痛です。しかもその話、もう前に五回ぐらい聞きました」
「そもそもぉー、エディットで顔変えすぎなんですよねー。笑う瞬間に不気味の谷るからぁ、生理的に無理ですぅー」
「マジ、なんでオレ主体のパーティ! みたいな雰囲気を出しちゃってんの? 勝手にPOPする外様プレイヤーなのに、マジ」
「むむか……ちび扱いするな。上げ底」
おおう……五人の猛士がすごい勢いで穴を掘っているぞ……?
しっかし、サボテンのヘイト値が凄い。いや、凄いっていうか酷い。
一度、自分の身を振り返った方がいいぞ……サボテン。
「深さはこんなもんでいいか、マジ」
「それじゃーみなさーん、中身を入れましょうねぇー」
「モグしっぽポーイ、です」
「ゲンゴロウの羽根とかいいかも、ぽいぽい」
「んう……オオリクガメの生き血」
「お、ジャイアントバットの羽根があったわ、マジ」
「サラマンドラの炭焼きとかぁー、どこで拾ったっけぇー? ぽいちょ」
うん、β時代から貯まっていただろう不要素材が、ぽこぽこと穴の中には投げ入れられている。
その様相は、まるで老魔女の鍋の様だ。
こいつらときたら全く……
「おーいライム、大ガエルからドロップした『ヌメヌメ体液』っての、入れちゃっていいのかー?」
きっとヘチマサボテンの良い養分になるだろう。うん。




