表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/160

27 忍び寄る影

「おい、ライミーって英国人の蔑称だってよ」

「の゛!?」

「ライム野郎という意味らしい。詳しくはググれ」

「……サボテンを笑えなくなっちゃったよ、にーちゃ……しくしく……」

「単純にアナグラムで付けたのが仇になっちゃったな……」

「いや! これはメシがアレな国だからこそ! もっとおいしいごはんをにーちゃに食べさせろという神の啓示! わたしがんばるよ、にーちゃ!」

「いや、大丈夫だから……」



 ……ということで、感想で指摘させて知った馬鹿な筆者。

『ライミー』から『ライム』に全面修正しました。

 和名なら有名人とカブってないかググったりするんだけどなぁ……


※ブラックリストの仕様を

『拒否レベル最大で声は聞こえなくなる』と変えました。姿は双方見えます。

さらにレベルによって、『メールの送信』『同パーティへの参加』『スクリーンショット及び動画の撮影』が不可能です。


さらに『双方のフレンド登録の解除』『各種サーチ機能ヘ非表示』『双方の接触が不可能(透過)』を追加。


それとブラックリストに入れたプレイヤーが近くに居る時。

入れた側のキャラクターの頭上に赤文字で『×カクトゥス』のような文字が浮かび上がる設定にいたしました。

なお、ストーリー自体に特に変更は御座いません。

「アイダリンは魔法を使うんだよな?」


「はい! まじゅちゅし、まぢゅちし……まじゅ……、――す~、は~……ま、じゅ、つ、し、ですっ!」


「……ジョブの欄、書き換えたら?」



 ――と、いうことで“魔術師”改め“ウィザード”のアイダリンがパーティに加わった。


「と、なると前衛は僕だけか。まぁ、まずは適当に合わせてみよう」


「そだね、にーちゃ。今までは私がバフしてただけだしね」


 そうこう話しているうちに、モンスターがPOPする。



「犬2の熊1の猪1か……猪突課長ってやつは初だが、他は大丈夫だな」


 “プロボークステップ”を発動させ、敵陣に突っ込む。レッサーコボルトとクレセントベアーの攻撃を誘発させ、後方に流れて行かぬ様、その場に留まらせる。


「にーちゃ、猪突課長を引き付けたら、突進攻撃の延長線上に後衛が来ないように立ち回って!」


「あいよっ!」


 猪突課長は大きな下牙を持つ猪型のモンスター。大きさは体長2メートルちょっと、高さは僕の肩ぐらいか? 黒というか濃紺色の毛皮をしているが、それが背広に似た模様をしているかどうかは、腹が下になっているので確認は出来ない。……まぁどうでもいいけど。

 なかなかに凶悪な面構えで、もしかしたらボツになったオークの顔を流用しているのかもしれない。


 その猪突課長が土を掻いたと思ったら、僕を狙って一直線に突撃してきた。


『ぶもぉーー!』


「っと」


 突進してくる猪突課長の上を、跳び箱の要領で回避。

 猪突課長は、そのまま10メートルぐらい先まで走り抜けてで行った。

 なるほど、突進を身体で止められない場合、後ろのパーティメンバーに突っ込んで行っちゃうわけか。


「す、凄い避け方ですね」

「にーちゃだしね」


 猪突課長が戻って来る前に、レッサーコボルド一匹を蹴り飛ばし、ライムの目の前に転がす。一匹はそのままイモ剣の錆に。



「アイダリン! 猪が突進したら、移動の終わり際に魔法を頼む!」


 クレセントベアーの引っ掻きを剣でいなし、顔を盾で殴り飛ばしながら指示を出す。

 その直後に猪突課長が突っ込んできた。


『部長ぉぉぉーー!』

「人違いだっ!?」


 何コイツ? 部長を亡き者にして、自分がその地位に収まろうとか思ってんの? そも人違いだ! 僕は部長じゃない!


 らんらんと目を輝かせて突進してくる猪突課長を、今度は横に躱し、後はアイダリンの魔法に任せる。


 ちなみに本物の猪は小回り効くからね? 横に避けても普通に吹っ飛ばされるよ。

 猪突猛進っていうのは、猟師から逃げる時の猪の様子らしい。最短距離で逃げるんだね。猪突猛進というより、猪突猛退だよね。


『ファイアボム!』


 そうしてクレセントベアーの首を跳ねた時、アイダリンの魔法が炸裂し背後から爆音が響いた。

 その余波が生んだ空気の振動が、ピリピリと肌を撫でる。



「……浅いな」


 だが、僕の予測した猪突課長の位置と、爆発の振動の発生源が微妙にズレている。

 僕はその場で反転すると、剣を構え、もうもうと立つ土煙の中に突っ込んでいく。


「いた、やはりか」


 土煙の中に薄っすらと見えた猪突課長。

 ダメージは入ったのだろうが、まだ倒し切れてはいない。

 僕に気付き、こちらに突進を始めた猪突課長の額に、走り込んだ勢いのまま剣を突き立てる。


『ぶもぉぉぉおおお!』


 ずぶり、と剣は剣身の半分ほど突き刺さった。

 剣は額に突き立てたが、身体に残った慣性は抜けない。


 そのまま勢いを殺す為に、猪突課長の背中の上をゴロゴロと転が――


「いてっ!」


 ――ろうとしたら、その途中で猪突課長が粒子になって消滅してしまったので、僕はあえなく地面に叩きつけられてしまった。


「うわぁ、かっこわる……」


 むくりと立ち上がり、その場に転がるイモ剣を拾うと、鞘に納める。

 まぁ、みっともない終わり方だったが、あの二人には、土煙が邪魔で見えなかっただろう……


「終わったよ」


 戦闘を終え、僕は二人の元に戻ると、アイダリンがキラキラした眼で僕を見上げてきた。



 この眼は――アレか? アレをまたやっちゃうのか? ネット小説で定番のアレか?


「す、凄いです! まるでアクション映画みたいな動きでしたっ! 剣はイモで盾は亀ですけど」


 ほっとけや。イモでも亀でもいいじゃないか。


「さすあに」


 お前はお前でやる気なさそうだな、妹よ。


「……ま、次行くか」


 得も言われぬしょんぼり感を抱き、僕は先に進むのだった。





 ―― …… ―― …… ―― …… ――





 森での戦闘はそれなりに順調に進んだ。アイダリンの魔法は猪突課長に使わせるより、他の敵の殲滅に使ったほうが良かったようだ。そうすれば基本的には僕が猪突課長に専念すれば良い。


 ちなみに猪突課長はタンクが突進を止めるのが定石らしい。

 すげーなタンク。流石タンクだ、ビクともしないぜ。


 セルシンだったらどうだろうなぁ? 猪の突進ぐらいなら簡単に止められるか。マンティコアも止めてたしな。

 猪程度なら、盾で殴(シールドバッシュ)って、殺すまであるな。

 よくよく化け物揃いだったな、あの仲間たち。



「もうすこし進むと洞窟があるよ、にーちゃ。そこからはインスタンスダンジョンだよ」


 話によると、そのインスタンスダンジョンを進んでいくと、次の街へ行くための門番となるボスモンスターが出るのだそうだ。

 インスタンスダンジョンならば、他のパーティがボスを倒した後に通り抜けるという手は使えない。


「なるほど、だからクリア出来ないと次の街に行けないのか」


「次の街さえ行けば、そこまで悪評は広まってないと思うのですが……」


 華の街ファアートでパーティ募集をしているということは、基本的にはまだ次の街ロロクには行けない人ばかりだということ。

 別に手配書が出回っているわけでもあるまいし、ロロクに行けばきっと大丈夫だろう。


 まったく、アイダリンはごくまともな子なのに、馬鹿に付き纏われた所為で可哀想なモンだな……



「さっさとブラックリストしちゃえば良かったのに、アイダリン」


「はい、えー……っと、最初は偶然一緒になってるのかなぁ? とか思ってて、ちょっと経ってやっぱり変だなって思っても、ブラックリスト入りはちょっと気が引けるな……とか思っちゃって……気が付けば私まで爪弾き者に……」


 不憫やね……アイダリン。

 ブラックリストは便利な機能ではあるが、こういう気の弱い子にはなかなか使いどころが難しいみたいだ。



 ――と、そこに、どこかで聞いたことのある声が森の中を駆け抜けた。


「あ! てめぇ! 今度はアイダリンまでちょっかい出してんのかっ! テメー!!」


 あれ? あれれ? この展開……覚えがあるぞぉ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ