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番外編:はろうぃん(挿絵あり)

時期ネタ。本日は二話投稿になります。(2/2)


ハロウィン過ぎてしまわないように、一応投稿。挿絵に色とか着けてみようとしたけど断念……。

こちらは独立したただのショートストーリーですので、読まなくても大丈夫です。


挿絵が御座いますので、見たくない方は右上の「挿絵調整」から挿絵をオフにしてください。



「“トリックオア(お菓子をくれなきゃ)トリート(いたずらするぞ)!!”」




挿絵(By みてみん)



「…………」


 昼過ぎにライムに呼ばれた場所に行ってみると、何故か仮装した三人に囲まれた。

 いや、何故かなんてものは分かるか。


 ハロウィンである。


 ログインした時点から、ファアートの街はデコレーションされ、あちらこちらにオレンジ色のパンプキンヘッドが釣り下がっているのを見ていた。

『なるほどネトゲらしいな』とは思ってはいた。


 そこにいたのはミイラ男(?)の恰好をしたマイテと、フランケンシュタインの恰好をしたアイダリン。

 それとするどいキバと表地黒の裏地赤のマントを羽織った吸血鬼のライムが居た。


「にーちゃ、“トリックオアセクハラ”」


「語呂がすごく悪いな、なにより意味がよく分からない」


「“セクハラしなきゃ(性的な)いたずらするぞ”という意味」


「とても物騒なセリフだな」


 結局、結果は同じじゃないか。


「まだヌルい。本当なら“犯○てくれなきゃ(性的な)悪戯するぞ”ぐらいはにーちゃに言いたい」


「こらっ!!」


 伏せ字にしなきゃ駄目なセリフを言っちゃいけません!

 つつしみを持て! 16歳!


「……で、お菓子なんて持ってないが、イタズラされなきゃならんのか? 僕は」


「あ、あっちの特設ショップに売ってますよ、お兄さん」


 と、マイテの指差す方向には、なにやら昨日までは無かったNPCショップが増設されていた。

 いかにも今限定です、と言わんばかりの夜店屋台のような様相をした店だ。


「師匠、あそこにハロウィングッズが売ってるんですよ。師匠もなにか仮装したらどうです?」


「馬鹿を言え」


 僕が仮装したって面白くもなんともないだろう。こういうのは女の子がやるから絵になるんじゃないか。

 それと僕がやって似合うとしたらフランケンシュタインぐらいじゃなかろうか?

 思いっきりアイダリンとカブっているぞ。


 そして、どうでもいいがアイダリン。

 おまえはわざわざ仮装しなくても、普段から魔女ルックじゃないか。そのままで良かったんじゃないか?



「まぁ、お菓子を買ってくるから待ってろ」


 ――と、特設NPCショップで買ってくる。

 なんだか色々とハロウィン限定のアイテムが売っているようだったが、とりあえずはお菓子だけを三つだ。




【ハロウィンお菓子セット】:消費アイテム


:トリックオアトリート!

:MP30回復

:戦闘中使用不可

:再使用可能時間:5分

:100E




「ほら、お菓子だぞ」


 ――と、三人にお菓子のアイテムを渡すと、ポップアップウインドウが二つ表示された。


【“ライム”は所持上限に達しているので、これ以上所持できません】

【“アイダリン”は所持上限に達しているので、これ以上所持できません】


 ……は?


「あ」

「あ」


 ……なんだこれは?


「ごめんにーちゃ。貴重なMP回復アイテムだったから、ストック限界まで買ったの忘れてた」


「私もです……」


「なら最初からねだるなよ!」


 せっかく買ったのに!

 まぁ、無駄になるものでも無さそうだが……。


「よし、お菓子をくれなかったから(性的な)イタズラをしよう」


「それはお前の落ち度だよな? 僕は悪くないよな?」


 ひどいマッチポンプだ。



「あはは……まぁ、それはともかくとしまして、おにいさん、ロロクの湖にいきませんか?」


「ん? ロロクの湖というと、ライムが血が繋がってない発言をした時のあそこ(・・・)だよな……?」


 なんか嫌な覚え方をしてしまった……。


「はい、そうですそうです。湖底の洞窟に出るウィルオウィスプが、この期間限定のアイテムを落とすんですよ」


 ほお、なるほど。


「よし、なら行くか」

「おー」



 ◇



 そしてやってきたロロクの湖。

 ゲーム内なので、夏に来た時と変わりはないはずだが、なんだか秋になってから来るとなんだか寒々しく見える。

 ただのイメージなんだろうが……。


「じゃ、へんしーん」


 女性三人がキラキラとしたエフェクトを纏い、その後には水着姿の三人が――


「おや?」


 前回と違い、各々が来ている水着が変わっていた。

 とはいっても、それぞれが着ていたものを交換しただけで、そのもの自体に見覚えはある。



 ライムは前回マイテが着ていたベビードールの様な水着。

 マイテはアイダリンが着ていたモノキニにパレオ姿。

 アイダリンはライムが着ていたビキニタイプの水着になっていた。


 服のサイズなど関係のないゲームだからこそ出来ることだと言えよう。


「にーちゃ、にーちゃ、どう?」

「おう、みんな可愛いぞ」


 まぁ男として当然の義務として、誉めておく。

 しかしまぁ……


「なんでわざわざ水着を交換したんだ?」


 別に前回のままでも良かったじゃないか。


「いや、にーちゃは前にマイテが着てたこの水着が好きでしょ?」


「ぐ……っ」


「おにいさん、けっこうチラ見してましたしね……。ちょっと恥ずかしかったです」


 ぐ、う……気付かれていたとはっ、不覚……ッ!!


「だからにーちゃ、今回は私が着てるから、チラ見じゃなくてガン見でいいよ?」


「はいそうですか、と見れるか、ばかたれ」


 くそ、男の(さが)とは言え、少しは注意するべきだったな……。


「えー? せっかくだからガン見しようよ、にーちゃ」


 残念だがね、ああいうのは恥ずかしがっているからこそ萌えるんだよ。

 おまえみたいに腰に手を当ててバーンと構えられると台無しなんだよ。




挿絵(By みてみん)





  ◇



 そして前回同様に、水中で呼吸が出来る飴玉を口に、湖底の洞窟へ。


 じっとりと湿って、カビの臭いがする洞窟を進んでゆくと、早速ウィルオウィスプが出現す――


「なんだ? あれ」

「ジャック・オ・ランタンだよ」


 この時期にはどこでも見る、顔の掘られたオレンジ色のカボチャがゆらゆらと宙を浮かんでいた。


「あれから期間限定のレアアイテムが出るんですよ、おにいさん」

「そうなのか……」


 とりあえず、さっき手渡されたサブマシンガンを構える。

 アイダリンはショットガン、ライムはハンドガン二丁、マイテは前回と同じくゴムボートの盾だ。

 こちらも前回と同じではつまらないということでシャッフルしたらしい。

 ……まぁ、マイテが変わらないのはアレだ、マイテが銃をまともに使えないから仕方ない。


「ヒャッハー!!」

「ここに来ると楽しそうだな、アイダリン……」


 ジャック・オ・ランタンを撃ってゆく。

 変わったのは外見だけで、敵そのものの強さはウィルオウィスプとまったく変わりはないようだ。

 当然、ここにはレイスも出て来るが、レイスもハロウィンの仮装のような恰好をしていた。

 ノリの良い幽鬼だ……。



 そうして、レイスたっぷりの負けイベの所まで進んでゆく。

 今回は大人しく退避ルートを進んだ。


「こっちは罠が多いんだっけか?」

「うん」


 こちらの道は迷路のようになっていた。

 前回、負けイベントをねじ伏せて進んだ道に比べ、あちらこちらに分かれ道があって、確かに面倒だ。

 前回のルートより移動距離が長い分、敵の数も多く狩れるが……。


「特に罠はなさそうだが?」

「えーっと、あ、ほら」


 と、洞窟内を歩いていくと、ぱっと視界が切り替わった。

 とはいっても、何か少し違和感があった程度で周りの風景は殆ど変わっていないが――


「……今のはなんだ?」

「うん、あれが罠で、こっちのルートのめんどっちいトコだよにーちゃ」


 先程の違和感はこのルートの最初の地点に戻されたらしい。

 洞窟内から洞窟内へのワープだったので、周囲の風景ではあまり分からなかったみたいだ。

 こちらのルートの罠というのは、このループトラップを指すのだそうな……。


「“迷いの森”タイプの罠だねにーちゃ。どの道がアタリかハズレかは、マップ作成時にランダムだから、攻略wikiも役に立たない」


 という事は、しらみつぶしに歩いていくしかないわけか――確かに面倒だな。


 ――そして再度、同じ道をてくてくと歩いてゆく。

 倒した敵も再配置されているので、ジャック・オ・ランタンを狩りたい今はちょうど良い。


「あ、出た」

「ん?」


 と、例のジャック・オ・ランタンのレアがドロップしたらしい。

 レアと言ってもサクっと出たので、ドロップ率自体は悪くないのかも知れない。


「で、どんなのが出たんだ?」



【パンプキン・ヘッド】

:DEF+41

:MDEF+45

:炎耐性(中)

:必要VIT 36



 うわー……、地味に強ぇ……。


「さあ、にーちゃ」

「……なんで僕?」

「ひとりだけ、まだ仮装してないから」

「…………」


 まぁ、妹さんに反抗しても無駄か……と、大人しくカボチャの被り物を顔の前まで持ってゆく


「って、カボチャ臭ッ!?」


 冷凍したカボチャの匂いがすげぇ!


「あ、ハズレだねソレ。ちなみに不可視にしても臭いは出る」

「どんないやがらせだよ」


 これ、最強装備だって言われても装備したくねぇよ?


「たまに臭わない新鮮カボチャもある」

「なんで差を付けちゃったかなー……」


 そしてなんでそんな物を取りに来たんだ?


「それはですね師匠。期間限定のものって、とりあえず一個は欲しくなるネットゲーマー心理ですよ」


 ……まぁ、気持ちは解らなくもないがね。


「えーっと、とりあえずもっと狩りましょうか、おにいさん」

「はいはい……」



――

 そうして人数分はパンプキン・ヘッドが取れたが、全て臭うカボチャばかりだった。

 思いのほかレアだな……臭わないヤツ。


「……で、どうするんだよコレ」


 ストレージの肥やしもいいとこだぞ?


「こう使うんですよ、おにいさん」


 マイテがパンプキン・ヘッドの中にロウソクを立てた。


 薄暗い洞窟の中がオレンジ色の光で満ちる。

 マイテは他のパンプキン・ヘッドの中にもロウソクを立てていった。


 ゆらゆら、ゆらゆら。

 ロウソクの揺れに合わせて、光も揺れる。

 ハロウィンってのは、なんだか派手な印象があるが……、元々は日本で言うとお盆みたいな意味合いのお祭りが元だったんだっけか?


「ハッピーハロウィン、にーちゃ」


「ああ、ハッピーハロウィン」


「今夜はカボチャの煮付けだよ」


「……冷凍じゃないやつを頼む」


 なんとなくまったりとした気分のまま、【帰還の晶石】を使い、僕たちは街に戻った。




 ―― …… ―― …… ―― …… ――




『あ』


 僕を含めた全員分の声が出た。


 【帰還の晶石】で戻るのは、最後に立ち寄った街の噴水広場。

 当然、そこには大勢のプレイヤーが居るわけで――


「お、おい! 早く着替えろ」

「う、うん」

「ひぇっ……は、恥ずかしい……」

「完全に盲点でしたね、師匠……」


 壁になるように女性陣の前に立つ。

 湖底の洞窟は水着装備限定マップ――つまり、あそこで【帰還の晶石】を使うと、必然的に水着で街中に出ることになる……。


 僕が女性陣のバリケードになった瞬間、『チッ……』と、いくつかの舌打ちが聞こえた。


 ……なんだかこの辺り、いつもより人が多くないか?

 おまえら絶対、コレ目当てでたむろしていただろ?


 そして僕の身体をガン見している女性プレイヤーの方もやめてください。視線が怖いです。


「……とりあえず落ちるか」


 全員、元の服装に戻った後、改めてログアウト。


「そだね。じゃ、またねみんな」

「はーい、師匠、ライムさん、ハッピーハロウィン」

「ハッピーハロウィンです、みなさん」




――【サーバーとの通信を切断しました。またのプレイをお待ちしております】――



  ――――――

 ――――

――


 暗い部屋の中で目覚める。

 少し前までは、この時間でもまだ明るかったのに、もう秋の今では部屋の中は真っ暗だ。


「ライト・オン」


 VR端末を通じて、部屋の電気を点ける。

 ――すると、僕の隣にはひどく薄着な女の子の姿が……


「……前の時のリベンジか?」

「うん」


 僕の横、ベッドによこたわる未来の姿は、今回着ていたベビードール風の水着そっくりな……まんまベビードールの下着姿だった。

 前の時は“brand-new World”内で水着を見せる前に、タイミング悪く僕に発見されたしな……、今回はそのリベンジだったのだろう。



「……服を着ろ、服を」

「にーちゃ、今夜はコレを着て()よ……?」


 おい、いくら本編よりも二ヵ月ちょっと後の設定だと言っても、いかにも今まで何回も“そういう事”があったように言うなよ。

 メタ発言だがな!


「にーちゃこそ、何言ってるの? わたしたちはもう、毎日くんずほぐれつの――くちゅんっ!」


「いいから服を着ろよ」



 ――後日、妹さんは当然のように風邪を引きました。

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