ノートの中には見つからない
僕はいつも二番だ。
クラスのただし君は、いつも算数のテストが百点。
僕はいつも九十五点。
体育が得意なひろし君は足が速い。
もちろんクラスで一番だ。
そして僕は二番。
よしかず君は給食を食べるのが一番早い。
ひとみちゃんは図書室で一番本を借りている。
まいちゃんはなわとびが一番上手。
でも、僕はいつも二番でしかない。
そんなことを考えながら、僕はある本を読んだ。
ある人の伝記だった。これもひとみちゃんは読んでいた。
「『1+1』は本当に『2』なのか」
僕はこの言葉で、ちょっとこれまでを振り返ってみた。
百点のただし君や足の速いひろし君、なわとびが上手なまいちゃんは、いつも「すごいだろう!」と自慢している。
よしかず君は食器の当たる音が大きいし、ひとみちゃんは休み時間も本を一人で読んでいる。
そう考えると、僕はどうだろう。
九十五点だけど、もう一度問題は解けるし、友達も気軽に聞いてくれる。
少しなわとびができるから、同じぐらいのレベルの人と競い合うことができる。
本は読んでいるから、ちょっとした知識もある。(言い過ぎかもしれないけど)
給食や足の速さも、一番ではなくても何かしら良いものがある気がした。
なんだか、一番になる以上のものをもらっているような、そんな気分になった。
明日はまた、どんな「1+1」に出会えるだろう。
楽しみだな。
読んでいただき、ありがとうございました。