【01/02:2044年・207年2月】
奄美の弟子達は殆どが女性だ。
エルフ貴族の子女のエルフ魔導院卒業生の正規魔術師だった、現在の2年生見習いのエクセラ。
人間の女治癒師、ガンゲイル王国の魔導院を卒業した正規魔術師のエレティーナも現在の2年生見習いだ。
人間の女魔法使い、ガンゲイル王国の魔導院を卒業した正規魔術師のマリエム、他と同じように2年生見習いだ。
ヴィエラの女魔法使いのネモ、とある師の元で修業した、特に称号のない野良の魔法使いだった1年生見習い。
バードマンの女魔法使いのメアミー、とある師の元で修業した、特に称号のない野良魔法使い、1年生見習いだ。
ドワーフの女魔法使いのロミフェル、ドワーフの魔導院で卒業した正規魔術師、現在の1年セス見習いだ。
この6名の女魔法使い達に来栖銀河、カルストの二人の男性魔法使い。
来栖銀河は、奄美の直弟子で、日本で魔力を得て奄美に師事をした日本育ちの魔法使いだ。奄美の弟子の中で唯一上位正規魔術師の称号を持つが、研究が上手く行かず正規魔術師ぐらいの研究成果しかない。
カルストは人間の魔法使いで、魔導院を卒業した正規魔術師、現在の2年生見習い。
こんな者たちは来栖を除いて平日は、第2日本都の都庁兼町役場の魔法部で働く。
来栖は都庁兼町役場の土木課だ。
町役場は頼りにされ、市民が困ったらひとまず役場に行くのが当たり前だ。
特に治癒師のエレティーナは、その凄腕から陸自でも呼ばれるために忙しい。
他にも、人間の言葉のがゲイル語、日本人の言葉の日本語、ヴィエラ語、フェルパー語、バードマン語、エルフ語、ドワーフ語の7カ国が話せれるのが当たり前の魔法部は通訳の仕事も頼まれるためにトラブルが起こると直ぐに呼ばれるか、トラブルを起こした者がこちらに仲裁の申し出に来る。
裁判所も警察もない為にその忙しさは超多忙だ。
ちなみに放送局を作ろうという意見があったが、最低でも7か国語の翻訳がいるので挫折した過去がある。
こんな町の共通語は日本語だ。しかし、日本語の難解さからまだ完ぺきとは言えず、生活の中で覚えていくしかない、もしくは魔法ギルトか外務省の語学教育サービスを受けるしかないのだ。
しかもこの魔法部は兵器に関する事案も取り扱い、当然の様に試験官でもあり、谷口の社員や周防&戸村の社員からは非常に恐れられている、何せ中々合格を出さないので相当数が没になった過去があるからだ。
しかし、合格すれば大ヒット作になるという、過去からの歴史もあるために、嫌われはしない。
基本的に週給2日の為に、土日は休暇だ。
この為に役所の仕事は割のいいと言うが、多忙という事も有るのだが、休日があるので文句はなく、土日には自分の事が出来るのが喜ばれる。
この週休2日は役所、総務省、外務省、魔法ギルド、陸自の公式な場所のみだ。
谷口、周防&戸村などの民間企業では週給1日だ。
魔法研究所、防衛研究所分室の2つは、研究好きなために休みがあるはずなのだが、休んだ者を知る者はいない言う、矛盾のある仕事場だ。
余りに多忙な役所の為に緊急措置として臨時雇用者、所謂アルバイトの者を雇うことになる。
ただ市民のイメージ
役所=義勇兵
この構図があるためになかなか集まらなかった。しかも間違いではないために集まらなかったので、魔法ギルドの見習い達にアルバイトしませんかという申し出をする。
奄美達は魔法ギルドで教鞭をとることも多々あったので、生徒たちも臨時ならと申し出を受けた。
魔法ギルドの見習いは400名以上いるのでアルバイトの面接、試験を受けて合格した者がなった。
主に3年生見習いが合格していった。
役所では語学の研修、運転の研修、整備の研修が義務付けられる。
また地元の子供の為に奄美達が魔法の講義なども行う。
将来の動乱に巻き込まれて戦う必要が出来たら、役に立つという意味が強い。
そんな2月も直ぐに終わり、駆け足で春が来る。
3月は昇進や降格に左遷と言った人生の色々な意味でジェットコースターだ。
第16旅団、通称西田旅団にも追加人員が来る。
旅団というモノの連隊程度の人数しかいない、しかし、美人んなエルフの嫁さんを貰った独身男性や、獣ナーの女性自衛官などが旦那を見付けたなど、羨むような趣味の人なら喜んでここに赴任しに来る。日本人以外ダメだとか、既婚者は来ない。
そんな事も有るが、戦争を何度も行ってきた実戦経験バリバリの第16旅団は人気がある、しかし今年は陸自1000名の追加人員で、やっとのこと旅団規模に達した。
陸自2000名(旅団最低人員)
新しく海上自衛隊の第5護衛隊群第16護衛隊の発足前の下準備に追加された
海上自衛隊では、特技(特定技能)の制度がある。これらの術科教育は術科学校等で行われる。
攻撃要員
運用員 - ボースンともよばれ、甲板作業全般を担当する。
射撃員 - 速射砲、揚弾機等の整備を担当する。
射撃管制員 - 射撃管制装置の操作と整備を行なう。
魚雷員 - 魚雷および魚雷発射管の操作と整備を行なう。
水測員 - ソナー及び関連機器の操作と整備を行なう。
掃海員 - 掃海艦艇などで掃海具等を取り扱い、機雷の敷設・除去作業などを行う。
船務航海科要員[編集]
電測員 - CICでレーダーやESMの操作を行なう。
電子整備員 - レーダーや通信装置などの整備を行なう。略号ET:electronics technician
航海員 - 艦が航行する際に必要な海図の作成や、操舵、気流・手旗・発光などの視覚による通信なども担う。
通信員 - 暗号通信の解読、隊内電報の接受、基地内通信システムの構築、整備などを行う。
気象海洋員 - 気象・海洋観測、天気図などの作成、気象・海洋関係の情報の伝達などを行う。
機関科要員
機械員 - 蒸気員(ボイラー員・汽機員)、ガスタービン員、ディーゼル員などに分類され、機関の操作、整備などの業務を行うほか、応急班員として機関室等の浸水・火災対処も担う。
電機員 - 発電機の保守管理及び電機機器全般の整備を担当する。蛍光灯や電池までも受け持っている。
応急工作員 - ダメージコントロールとよばれ、攻撃を受けた際の艦体の被害極限を担当しており、応急班員の分掌指揮を行うほか、工作作業(金属加工・木工加工・溶接作業など)や真水の管理も担っている。
艦上救難員 - 艦上での航空機運用時における事故対処を主任務とする。基地勤務時は地上救難員とよばれる。選抜により、航空士として搭乗員配置がある。
航空要員
操縦士 - 航空機の操縦を行なう。
戦術航空士 - 固定翼哨戒機に搭乗し、戦術全般の指揮統制を行なう。
航空士 - 海航空機に搭乗する飛行要員。主に一般隊員(海曹士)から選抜される。
航空管制員 - 航空機の離着陸などに関する業務を行う。陸上基地のほか、ヘリ搭載艦での配置もある。
航空機整備員 - 航空機体整備員 航空発動機整備員 航空電機計器整備員 航空電子整備員 航空武器整備員から成り立つ。選抜により、航空士として搭乗員配置がある。
航空基地要員 - 消防、警備など航空基地を運用する任務を行なう。
経理補給衛生要員
経理 - 任務において必要な経費などに関する業務を行う。
補給 - 部隊において必要な補給物品の請求・管理に関する業務を行う。
衛生 - 准看護師、救急救命士などの資格を持ち、部隊における隊員の健康管理・怪我等の応急処置等を行うほか、救難機の機上救護員としての勤務もある。
給養 - 部隊の隊員に対し給食を行う。調理師免許も取得可能。
その他陸上要員等
施設 - 主に各基地設備の維持管理を行なう。滑走路の応急修理や除雪作業を専門的に請け負う機動施設隊も存在する。
情報 - 情報資料の収集、処理及び情報の配布、秘密保全、映像技術及び関連器材整備などに関する業務を行う。
潜水 - 職種には関係なくスクーバ課程を修業したものには潜水の副特技が付与される。潜水士免許取得も可能である。
警備 - 各地方隊の警備隊の陸警隊に所属する隊員を対象とした副特技。教育隊等の陸上警備教育を担当する教官も取得している。
特別警備 - 主に特別警備隊員が取得する。副特技だが、近年では主特技として持つ者もいる。
体育 - 教育隊や術科学校などで隊員の体育指導に当たる。副特技。
車両 - 各基地業務隊などの車両科に所属し、主に車両(トラック・大中型バス)による部隊間の輸送を行う。副特技だが、近年のアウトソーシング化により民間人の起用が増え、今後は徐々に消えていくものと思われる。
音楽 - 部隊の士気高揚や儀式・式典、および広報のために音楽の演奏を行う。資格は吹奏楽の技能を持つ者に限られていたが、近年ではピアノ奏者を技術海曹として受け入れるなど、多様化が進んでいる。
これらを含めて約50種類ある。
女性自衛官の職域[編集]
現在、機雷掃海、潜水艦を除く全ての職域に勤務できる。
ちなみに陸自では少ない人数で運営するしかなく、戦争の相手は万など当たり前だったために、運転技能、車両整備技能、歩兵技能の3種類は必至だ。
また航空機を扱う者は操縦技能と整備技能の両立を行う、無茶苦茶の様だがそうするしかない少ない人数だったためだ。
この為に飛行隊の面々は車両運転技能、車両整備技能、航空機操縦技能、航空機整備技能を持つ者が当たり前で、こんな高いスキルを持つために義勇兵にもこのやり方が伝わり、車両運転技能、車両整備技能、航空機操縦技能、航空機整備技能の内、車両の運転・整備技能は誰もが持つ、航空機操縦・整備技能は担当する者だけだ。
専門家もいるのだが、いつもは別の仕事があるために結果として誰もが整備技能などを持つにいたる。
そんな3月の慌ただしい時間が過ぎる
陸士訓練生課程を卒業した地元の者も陸上自衛隊に入隊する。
そんな訳で陸上自衛隊の陸士、陸曹がやっとのこと余裕が生まれる。
この余裕が出来たために陸尉への昇格なども起き、また退役も認められる。
この入隊・退役、昇格などが起き、陸上自衛隊の人数が2200名に増加した。
退役自衛官は予備役となり、自衛官の関係する仕事につく、主に士官学校など、技能取得などの教育関係だ。
司令部・付隊
第16旅団旅団長:西田冬樹陸将捕
副団長:江戸川平蔵1等陸佐
普通科連隊:口田東輝1等陸佐(幕僚長)
→普通科中隊
→中隊本部
→小銃小隊
→対戦車小隊
→迫撃砲小隊
→重迫撃砲中隊
→HHC:本部・本部班管理中隊
→中隊本部班
→連隊本部班
→通信
→衛生
→情報
→施設
戦車中隊中隊長:3等陸佐:長谷川一軸
特科隊:3等陸佐:戸崎茂
高射特科中隊:3等陸佐:呉越月郎
施設中隊:3等陸佐:淳美守
飛行隊:3等陸佐:穂村恵南、佐藤雄一郎
後方支援隊:3等陸佐:遠藤凱史
通信中隊:3等陸佐:竜童誠一郎
偵察隊:3等陸佐:尊夕波
◆
西暦2044年&207年、上半期装備更新及び調達計画
44式6・8mm突撃銃(上級突撃銃、騎兵銃の2タイプ)
上級突撃銃(アサルトライフルの精度向上銃、連射性能を犠牲に精度・射程向上)
最大射程:800m、有効射程:600m、連射性能:500発/毎分。
折り曲げ銃床式:600mm、固定:900mm、重量3kg(弾倉なし)
弾倉:40(箱型弾倉)/80(ドラム弾倉)銃口初速:980m/秒
作動方式:紋章レール機構
騎兵銃(アサルトライフルのコンパクト版、取り扱いが難しい)
最大射程:700m、有効射程:550m、連射性能:600発/毎分。
折り曲げ銃床式:560mm、固定:840mm、重量2・8kg(弾倉なし)
弾倉:40(箱型弾倉)/80(ドラム弾倉)銃口初速:912m/秒
作動方式:紋章レール機構
オプション(上級突撃銃、騎兵銃)
→44式300mm多目的銃剣
44式小銃照準補助具
44式12倍光学スコープ
44式2倍暗視スコープ
44式40mm2連装取り付け型擲弾発射筒
44式12ゲージ取り付け型散弾銃
44式6・8mmPDW
最大射程:500m、有効射程:300m、連射性能:400発/毎分。
折り曲げ銃床式:500mm、固定:800mm、重量2・5kg(弾倉なし)
弾倉:40(箱型弾倉)/80(ドラム弾倉)銃口初速711m/秒
作動方式:紋章レール機構
44式6・8mm狙撃銃
最大射程:1000m、有効射程:800m、連射性能:60発/毎分。
折り曲げ銃床式:650mm、固定:950mm、重量3・2kg(弾倉なし)
弾倉:40(箱型弾倉)銃口初速:1000m/秒
作動方式:紋章レールセミオート機構
→44式12倍光学スコープ
44式2倍暗視スコープ
比較対象
89式小銃有効射程:500m、銃口初速:920m/秒、発射速度:650-850発/分
口径5・56mm、銃身長420mm、ライフリング6条右転
装弾数20発/30発(箱型弾倉)
作動方式:ガス圧利用(ロングストロークピストン式)、ロータリーボルト式
全長:916mm(固定銃床式)916mm/670mm(折曲銃床式)
重量:3,500g(弾倉を除く)
◆本編再開
4月の初日。
役所には臨時の職員が働き、本職の職員は少ないが、主に部、課、係の主な役職に昇格し、日々書類仕事、昼休みの食事と技能習得時間、魔法部では魔法の講義も行われる。
この為に休み時間は3時間取られ、午後3時から仕事再開で、午後7時で終了だ。
必然的に仕事帰りに来ることができるので、市民には人気だ。
しかし、2週間に1度の、第2・第4土曜日には演習がある。
ちなみに映像などを集めて不味い部分は編集し、町の映像として貸し出される。
軍が好きなものにはたまらない演習映像だ。
退役軍人などもみる様なモノでもある。
2月に二回、4月には上半期初めての演習が始まる。
義勇兵に関しては人数も集まり、今では魔法兵、歩兵、戦車、後方支援、飛行隊の5個小隊を持つ。
すでに谷口より提供された義勇兵専用装備の運用熟練や操縦・整備熟練なども行っていた。
提供された物の中には陸自、海自、鉄道で採用予定の44式突撃銃(上級突撃銃タイプ)、44式PDWを小隊小火器としている。
また魔法兵に関しては魔法研究所より44式上級騎兵銃(アサルトライフル、アサルトカービンの中間、高価な銃器の一つ。ハイカービンとも呼ばれる)44式多目的銃剣、44式10mm拳銃+拳銃銃剣、44式高熱刀身軍刀などもそろえられ、個人用に調整される。
4月13日第2土曜日。
演習地の鳥取、別に地球にある日本の鳥取ではない、スピーア他精査バイクの変われない地域を鳥取と名付け、鳥取砂丘のあだ名で兵士から親しまれる土地だ。
シャルクク町義勇兵中隊の中隊野戦陣地。
歩く火力という魔法使いを集めた義勇魔法兵小隊、人員輸送のトラックに揺られて停止すると降りる。
今回は谷口と、周防&戸村と、防衛研究所と、魔法研究所の合作になる44式M.G.P.S.(魔法巨大強化外骨格)の実践テストだ。
日本の企業では魔法技術の採用が今や急務ともいわれるほどに流行しつつある。
43式衛生兵用パワードスーツに使用された簡易型治癒魔法の簡易システム。
魔法の使えない者に魔法を使わす画期的な医療システムで、谷口では生産が間に合わないというほどに販売数が伸びたものだ。
この為に魔法兵への支援と交換でデータを集める。
魔法兵が多いのなら車両、機体、航空機のデータも集めたいが魔法兵になる魔法使いそのものが非常に少ないのだ。後3年、4年もすれば育つとしてもそれまで待ってくれるわけがないのが戦争だ。
「おう音符」
初期の頃から居るパワードスーツの研究者兼技術者だ。
赤毛のストレート、核弾頭並みの胸、細い腰、程々に大きいお尻など、非常に女性的な魅力に優れる。しかも歩兵技能、車両運転・整備技能、航空機整備技能の持ち主で、日本語・英語・ガンゲイル語の他に5種族語が話せる才媛だ。
魔法使いではないが紋章機械工学の専門家でもある。
竜胆・フィリス・音符、どこかの国の母親の血が濃いらしい。
「はいは~い♪音符さんの素晴らしい作品、こちらなんと驚き」
「ストップ、谷口のセールはいいから」
「社員教育で学ぶの、まあそれは置いて」
M.G.P.Sのコックピットを叩く。
全高2・5m、重量1t、機体中央にあるハッチの内部の装着室で装着し、各部分の接続と内部調整を行う、また個人データリンクがあり魔法兵は少数なのでこのまま個人用にチェーンしていく予定。
元々のコンセプトは2月の演習で使われた対魔法兵用G.P.Sの戦果があんまり高くなかった。そこで谷口は発想を転換し、魔法兵その物に使わすことで性能向上と、技術の蓄積をもくろむ。
元々研究していた竜胆が最高責任者になり急ピッチで開発した代物だ。
これには各所から協力の申し出があり、完成に次いですぐに生産が始まる。
たった二か月で設計段階から完成させて15機の生産を行うという離れ業を可能としたわけだ。
「十分すげえよ」
「なんだけどね。専用装備の方がまだなの」
野営準備の音が遠くに感じる。
「だから、こんなものを用意しました♪」
スタッフが台座のシートを落とす。
現れたのは2mはある巨大な大太刀だ。野太刀というべきものだ。
「なんと驚き高熱刀身軍刀の巨大版、その名前も44式大太刀2000mm高熱刀」
頭が激しく痛くなる中、何やらスタッフは視線を外す、どうやらわかってやっている様だ。
「音符、この鈍器で何をするのだ」
「殴る」
「確か12・7mm対物狙撃銃の有効射程距離は1・8kmだ」
「欺瞞魔法と分身魔法でGO♪」
「そんな高度な魔法を使って殴る!?」
まるでミサイルで近付いてパイルアンカーでどつくように不思議な戦い方だ。
欺瞞魔法は水系統の魔法で可視光線を透過させる幕を作ることで光学迷彩と同じ効果を生み出す、分身魔法はいくつかあるが、主な物は光熱系統で熱を調整して生み出す幻影魔法とも呼ばれるものだ。
どちらも奄美の弟子たちと、シャルクク一家のエマと5姉弟しか知らない、つまり義勇魔法兵しか知らない魔法なのだ。
「格闘性能を測るためよう♪」
「そういう事なら早く言え!」
いつもは冷静な奄美でも、竜胆の調子を狂わす独特の雰囲気にのまれていた。
優秀な、非常に優秀な技術者なのだが、この為に奄美の弟子たちからは、非常に恐れられる人なのだ。理由は意外に怖い性格でもあるからだ。魔法使いたちからは魔力さえあればと惜しまれるだけの頭脳も持ち合わせる。
「後々、こんな物も」
次にシートが外されたのは、誰もが理解できないモノだった。
銃でもない、砲でもない、ロケットでもない、刀剣でもない、槍でもない。
「その名前も44式ハンマー、振り回してアタック」
集まっていた魔法兵達の気が遠退く。
刀剣なら固定されているので安心して欺瞞魔法や分身魔法が使える。
それ以前に魔法使いがチェーンの付いたハンマーを振り回して攻撃するなど、誰もが想像だにしない、むしろ自衛隊のG.P.S.乗りが使う様な武器だ。
当然の様に却下だった。
◆
今回より指揮車両は大幅に強化された指揮車両・改が使用される。
指揮車両・改、整備車両・改の大幅改良型の2車両、輸送車両はいつも通り。
44式機動戦闘車・改は105mm滑空砲×1、20mm機関砲×1、12・7mm機銃×1、60mm迫撃砲×2、多目的ランチャーという日本の試験的な段階の16式機動戦闘車の後継車両を上回る重武装ぶりだ。
またハニカム複合装甲を元に、紋章材料学による分子単位の紋章強化構造を持つ、この世界でしか作れない特殊な構造の装甲を採用し、10式の120mm滑空砲の直撃を受けても平気で動く、新たに10式後継車両の45式が考案されるも、戦車の活用が難しくなる一方の為に、装輪戦車へと変わりつつあるのも事実だ。
その他にも陸自の第16旅団には10式現代改修型があり、非常に高い性能があるが、燃料の問題からお蔵入りだ。
この世界の車両の動力は紋章機関という、蒸気機関の魔法装置化した電子制御の期間を使う。その為に石油が要らず、大量の電力もいらないために、非常に環境よく、また湧水の魔法つが使えの魔法使いがいれば直ぐにでも補給できる。
この非常に優れた燃料の汎用性の為に、この辺りでは当たり前に使われるものだ。
こんな44式機動戦闘車の群れにいる戦車小隊長の緋村瞳子は、総務省のこの世界での最高責任者ではあるが、新卒でこの世界に来たために実績を積み上げてきた女性官僚だ。
しかも戦争が多いこの世界ではなかなか来る官僚がいないので、役所や関係者との協議の中で色々と手伝ってもらうことが当たり前となる。
日本の中央ではない事だと言われるが恐らくそうだろう。
また将来の夫になる来栖の事も有り、生まれる子供の事も考える
(銀河との結婚かあ、引退して本格的なコンビニ経営?)
義勇兵の小隊員からしても幸せそうな女性官僚に、多くを言う事はなかった。
また義勇兵の騎兵隊とも呼ばれる飛行隊には、44式多目的戦術ヘリ・改かある。
この44式多目的戦術ヘリはローターヘッド部はグラスファイバーとエポキシ樹脂の複合材によるヒンジレス・ベアリングレス・ローターハブとなり、運動性能は従来とは比べものにならない程に向上している。フライトエンベロープはAH-1Wより80%増加、部品数は全間接ローターヘッドに比べ75%少なくなっている。テイルローターもチタン複合材によるヒンジレス・ベアリングレス・ローターハブで、AH-1Wとは反対側に移っている。
ヒンジレス・ベアリングレス・ローターハブはローターのねじれによって角度の変化を実現し、部品点数が従来の4分の1に減少している。
ローターブレードは44式多目的ヘリNと同じ先端が非対称となった複合材製4枚羽ブレードが採用された。艦載を前提としているため、ブレードの途中から半自動で折り畳みが可能。洋上での運用を前提に設計されているので、湿度の高い気候や海上の大気中に塩分の多い状況を想定した防蝕仕様である。ただ、全天候性能ではAH-64Dに一歩劣ると言われている。
胴体部はアルミニウムと複合材で構成され、キャノピーはガラスの半分の重さで17倍の強度を持つプレキシグラスというアクリル樹脂で作られている。防弾性能はメインおよびテイルローターが23mm弾の直撃に耐え、その他の部分は12.7mm弾に耐えられる。コックピット周辺は衝撃吸収構造が施され、生存性が高められた。燃料タンクはセルフシーリング加工によって耐火性が高められている。ギアボックスのオイルが全て消失しても30分は飛行が可能。
エンジンはターボシャフトエンジンのジェネラル・エレクトリック社製T700-GE-401Cに変更され、出力が大幅に向上した。 さらに、ペイロードが約2倍になり、航続距離が約20%延長された。
ローターブレード以外にもUH-1Yとの共通性が高く、ヒンジレス/ベアリングレスの主ローターヘッド、尾部ローター、テールブーム、トランスミッション系統、油圧系統、操縦系統、アビオニクス、電気系統など、全体の85%が共通となっている。また低ライフサイクルコストも重視され、複合材ローターシステムは定期修理が不要で寿命が約10,000時間あり、運用費用は44式多目的戦術ヘリNの約40%に抑えられ、時間辺りの運用費用は44式多目的戦術ヘリNの3分の1になる。極めて高いエンジン出力があるので物資の輸送もある程度は可能という、だが吊り下げることにはなる。
偵察・観測
軍用ドローン、早期警戒機機能、光学偵察機能、暗視機能、音響感知機能、様々な感知機能が搭載された攻撃能力は一切ないが、1機で広範囲に渡ってカバーする、この世界では反則的な無人偵察・観測機だ。
自力での飛行も可能ではあるが速度がない為にこの多目的戦術ヘリが輸送する、戦場に開放し、このまま4機を搭載可能ではあるものの、そうするとヘリその物の自衛能力がなくなるので実質的には2機が限界だ。
これは遠隔より悠木双葉が制御するために、パイロット・ガンナーには特に負担にはならない、また海上・陸上での遭難者の探索には非常に役に立つものだ。
武装
固定兵装として機首ターレットに44式20mm機関砲を装備。ターレットは固定モード、HMSDモード、TSSモードの三つのモードを選択可能。
HMSDモードではヘルメット表示照準システムの動きを感知し、ガンナーが向いた方向にターレットが連動する。TSSモードではTSSによりロックオンした目標の動き、距離、速度、温度、風などのデータを元に自動的に計算し、最適な照準を行う。弾薬としては44式20mm焼夷榴弾、44式20mm半徹甲焼夷弾などが使用可能で、44式20mm焼夷榴弾を使用した場合初速1,040m/sと、AH-64のチェーンガンより3割ほど上回るため、空対空戦闘でも有効。
スタブウィングが大型化され、TOWまたはヘルファイア対戦車ミサイルを最大16発搭載可能となった。ハイドラ70FFAR19発×4基も装備可能である。
ロケット弾の射撃モードはCCIP(弾着地点連続計算)とCCRP(投下地点連続計算)の二つのモードがある。CCIPではHMSDにロケットの弾着予想地点が表示され、目標と重なるように発射することで命中する。CCRPモードではあらかじめTSSにより目標をロックオンし、FCSの指示するように飛ぶ事で自動的に射撃する。
使用可能な弾頭としてはM151・M229破片榴弾、M261多目的HE子弾内蔵弾頭、M255A1フレシェット弾、M262照明弾、M264煙幕弾などがある。対ヘリ戦闘任務を偵察ヘリに任せている事はなく、用兵思想では攻撃ヘリ自身が空対空戦闘も行うので空対空戦闘能力が高く、AIM-9 サイドワインダー空対空ミサイルやAIM-92 スティンガー空対空ミサイルが装備可能。
飛行隊長の若宮は満足げにスペックなどを見た。
同じ機体ら乗る浅間雄真、僚機に乗る周防真、戸村仄、だった四人だけのパイロットだが、陸自の型遅れとよくペイント弾の空中戦をする仲だ。
整備兵の者も居るが、ペイント弾の44式20mm機関ペイント砲弾、ハイドラ70ペイント19×2、44式マーカー19×2を搭載している。
「若宮」
「何だ浅間」
「なんかすげえ嫌な予感がするぜ」
「何だ危険か?」
「いや違う、違うだが、とてつもない面倒が来そうだ」
「まさか音符か」
「それもあるが違うんだ」
科学的にも魔法的にも解明されない浅間の優れた予感や直感、特に危機察知能力はずば抜けており、兎とも呼ばれる。
そこに嫌な予感が現れた。
190cmに届く若宮より、大きい巨体。
「おーい」
巨大な人から聞こえる声には覚えがある。
「奄美?」
「ちょっと頼みがある」
若宮、浅間は嫌な予感しかしないために聞きたくないが聞くしかなかった。
「運んでくれ、吊り下げて運んでくれ」
「浅間、もっと早く言え」
「悪ぃ」
ペイロードは1・65t、M.G.P.Sの重量は1t、余裕はあるがまともな対地攻撃、対空攻撃は諦めたほうがいいと素早く計算するしかなかった。
しかも一機ではなく15機も並んでいた。
さすがに周防&戸村の両機の護衛は必要不可欠なのは常識的だ。
だが偵察・観測・戦闘・物資輸送の多目的戦術ヘリは、敵地のど真ん中にM.G.P.Sを投下する機体輸送、敵地侵入の二つの難解な任務をこなすことになる。
これには開発者たちも盲点だったために面白がって手伝う。
しかも機体の装着者達は魔法使いなので、武器が要らないのだ。
この為に重量が非常に軽量で済む利点がある、他では真似出来ない物だ。
この為に新しい軍用ヘリが誕生するきっかけとなる。
「準備はOKよ♪ユウくんも元気そうで何より♪」
浅間からすれば頭の痛くなる話だ。
若宮からはうらやむべきなのか、それとも現実逃避を辞めるべきなのか悩んだ。
機体には奄美の機体がワイヤーが吊り下げられる仕組みだ。
当然の様に想定していないためにどんなバランスになるのかも頭が痛すぎる。
(しかもワイヤーを爆薬で吹き飛ばすとかどんな乱暴な)
機関砲、ミサイル、ロケットをばらまく空の騎兵は荷運びの為にドンキーとなる。
(だが、かなり有効だな、陸自の穂村、佐藤が驚くぜ)
この小隊のライバルには陸自の穂村・佐藤コンビの旅団飛行隊隊長機も居たりする。
「もし名付けるとしたら強襲輸送ヘリ」
この名前と設計思想での開発も始まる。
敵地のど真ん中まで侵入し、機体を投下、後に離脱し、ある程度の自衛能力を有し、航続距離とペイロードは多い方が良く、その為にエンジンの出力向上、燃料効率向上は必要不可欠だ。
44式多目的戦闘ヘリを設計しした悠木双葉も吃驚だ。
同時にヘリによる輸送、M.G.P.Sの空挺版も開発されることを意味する。
必然的に若宮・浅間の二人の任務はここで決まる。




