{第八話}俺が守ってやる
「グガァ!」
と言いつつ、1体のモンスターが俺に、持っている斧を振り下ろす。だが、俺はそれを避けない。そして、あと一瞬もすれば斧が俺に当たる────。
────前に、モンスターが崩れ落ちた。
ズシィィィィン
と、モンスターの重さによって、地面に亀裂が走る。何故かと言うと、あの一瞬の間に、俺が動きモンスターの心臓を剣で貫いたからだ。その証拠に、モンスターの心臓部分に、穴が開いている。
「何だ、こいつらは。戦う気があるのか?」
と、俺は残りのモンスターを見つつ言う。
「まぁ、死ぬ気はあるようだな。」
そう言うと俺は、1体のモンスターに手のひらをかざす。そして、その手のひらから、紋章が現れる。
「そ、その紋章は!」
モンスターが何か叫ぶが、今の俺には聞こえない。そして、
「焼き尽くせ!ファオス・フログモス!!」
と、俺が魔法名を言う。すると、紋章に集まっていた光が、一点に集中すると、収束された焔を1体のモンスターに発射した。
「グガァァァァ!!」
俺が発射した魔法が当たったモンスターは、断末魔の叫びを上げながら、あまりの俺の魔法の熱量に、塵も残さず消滅した。
「フン、雑魚が。」
そう言うと、俺は残った2体のモンスターを見る。ここで、またもや俺は魔法を使用する。
「パントモルフォス、コード・バースト。」
俺がそう告げる。すると、モンスターの体が内側から膨張し、・・・爆裂した。余談だが、ここで魔法について説明しよう。まず、魔法には3つの種類がある。そのうちの1つ目は、一点集中型魔法だ。これは、例えばモンスターの1体だけを照準し、作用する魔法だ。これは、単数のモノを狙うため、比較的扱いやすい魔法だが、その分、もし自分単独対複数との戦いになった場合、他の敵から魔法硬直時間と呼ばれる、魔法を使用した後に発生する硬直時間に、隙を見られ、付け込まれやすい。まぁ、上級者になれば、その魔法硬直時間も無いに等しくなるが。そして、二つ目は場分散型魔法だ。これは、広範囲にわたって作用する魔法で、多数の敵に同時に魔法を当てることができる魔法だ。だが、その分魔法のダメージは分散するので、もしダメージが低い場合、多数の敵から反撃される、と言う危険な側面も併せ持つ。そして、3つ目は特殊魔法だ。これは、伝説の魔法や、名家に代々伝わる魔法、と言った魔法の事だ。もちろん、この世界にも名家と言ったものが存在する。そして、こういった魔法はレベル上げで習得することは、当たり前だができず、そう言った、力のある者しか習得できないのだ。そして、どんなに魔法が強くても、必ず当たるわけでは無いので、(まぁ、大体は当たるが)魔法と言っても万能ではないのだ。もちろん、MPが存在し、無限に魔法が使えるわけでは無い。まぁ、進はMPも計測不能だが。
「お、終わった?」
と、凛が先ほどモンスターに圧倒された記憶からか、恐る恐るこちらに寄ってくる。
「あぁ、大丈夫だ。」
すると、いきなり凛の目から涙が零れ落ちてきた。
「ごめん、ごめんね。」
「ど、どうした?凛。」
と、突然の事に俺は戸惑う。
「だって、また進に迷惑かけちゃったから・・・。」
と、いかにも悪そうに、凛が言う。
「大丈夫だ。」
と言いつつ、俺は凛を抱きしめる。
「・・・!」
「俺が守ってやる。もっと、俺に頼ってくれて構わない。」
そう言いながら、俺は凛の頭をなでる。凛の涙が流れ、凛に密着している俺にも、その涙が当たる。温かい涙であった。
どれほど、俺は凛を抱きしめていただろうか。
「スゥ、・・・スゥ。」
何やら凛が寝ている感じであったので、見てみると・・・やはり、寝ていた。
「全く、しょうがないな。」
俺はそうつぶやきながらも凛を馬に乗せ、俺自身も馬にまたがった。凛が乗っていた馬は、俺が引っ張ることにする。
「全く、スヤスヤと寝やがって。」
俺はそう言ったが、後ろで寝ている凛の顔は、・・・・・・とてつもなくかわいかった。
次回、キャラクターまとめです!!
おさらいです!!