過去の理由
日が傾き出した夕方。
3人はまだ湖畔にいた。
アリスと女王は遊び疲れて眠ってしまっている。
そんな二人を見て、ビルとチェシャ猫は話していた。
「水は……大丈夫になったのですか?」
「ああ。アリスのお陰で少しはね」
「……そうですか」
いつもの事ながら、話しは続かない。
少しの間があってからビルが続けた。
「そういえば、チェシャ猫とアリスってどこで知り合ったんです?」
「きっと君らが城に閉じ込められて間もなくだよ。僕は親を失ってね、路地裏で小さくなっていた僕をアリスが拾ってくれたんだ……」
「……そうだったんですか」
「ビル、いつも気になっていたんだけど……何で君はいつも敬語なんだい?」
「私はそうゆう身分なんですよ」
特に表情を変えないまま、二人の会話は続く。
「どうゆう身分なんだい?」
「私の両親は…この国の反乱者なんですよ。私は二人に捨てられました。反乱に反対する、言うことを聞かない役立たずとして。そして、城に拾われたんです」
「城の人間は、その事を知っていたのかい?」
「いえ。陛下以外には言っていませんよ。陛下に止められました。言ったら追い出されるだろうと」
「それは、賢明な判断だったと思うよ。あの女王にしては。でもビル、女王は君の事情を知っているんだろう?なら別に気にする事ないじゃないか」
「私が嫌なんです。陛下にそんな下げ染むような扱いをしたくはありません」
「君らは恋人なんじゃないのかい?」
「え?そうですけど、でも……」
「君は良くても女王はどうなんだい?僕は君に敬語ではあまり話されたくないと思っているよ」
「……そうですか」
「もう僕らは共犯者だろう?仲間なんだから、別にこだわらなくてもいいと思うよ」
「分かったよ。これからはなるべく敬語は使わない事とするよ……ただ」
「ただ?」
「陛下にそうするのは難しいかもしれないな」
それからしばらくした後、アリスが目を覚ました。
日はもうすっかり暮れていた。
「おはよー…」
アリスか目を擦りながら起き上がる。
「もう夜だよ、アリス。家に帰ろう」
「うん。行こう、チェシャ猫。あれ?女王様はまだ寝てるの?」
「そうですね、先に行っていて下さい」
「うん。分かった」
二人が去ってから少しして、ビルは女王の横に腰を下ろした。
「出来るわけ、ないですよ」
「敬語の話?別に私は嫌ではないけれど、何で私にだけ駄目なの?」
すぐ隣から、当たり前の様に女王の声がした。
「陛下?起きていたんですか?」
「えぇ。随分と前から。猫にあの事言ったでしょう?」
「………そんなに前から起きてたんですか」
「猫がアリスに拾われた辺りからね。で、何で私には敬語なの?」
「……昔、町に出て、城に戻された時の事、覚えていますか?」
「ええ」
「あの時、私は陛下に敬語を使っていませんでした。それを聞かれてしまって、私はしばらく陛下に会えなくなりました。……あの頃から、陛下が好きだったんですよ。陛下に会えないのがどうしても嫌で、日頃から敬語を使う様にしてきました。だから、ですか。敬語を使わないと陛下を失ってしまう様な気がして……嫌なんです」
女王は微笑みながらビルの顔を見た。
「馬鹿ね」
「そうですね」
女王は起き上がるとビルの肩に頭を預けた。
「私なんて、もっと前からビルが好きだったのよ?出会った時からね。」
「そうだったんですか?」
「馬鹿…でしょう?」
「いえ、嬉しいですよ」
「でも、今はそれ以上に好き」
「………陛下?ひょっとして、寝惚けてますか?」
「さぁ?どうでしょうね」
愛する人ができました。
でも、なかなか会う事ができません。
会いたいです。
でも、会おうと思って会えるような相手ではありません。
あとがきにこんな事を書くはめになるとは…
なんとなく、誰かに聞いて貰いたいんです。
私はまた懲りもせず吹奏楽部員です。
ちなみに副部長なんてやっちゃってます(笑)
で、ここで問題が発生しました。
「楽譜を中学校から借りてこい」
そう先生、先輩に言われました。
でも、ですね。
私の好きだった後輩はまだそこにいます。
色んな情報が私の耳に届きます。
あの人は、
私を笑いの種にしているようです。
私には今、好きな人がいます。
名前も、高校も分かりません。
…今回はもう長いので、次にまた、読んで貰えますか?