湖畔にて
「そういえば、夏と言えば毎年近くの湖に行ってたよね!」
初夏。まだ涼しさの残る朝。
彼らは今日の予定を立てていた。
「そういえばそうだったわね!ねぇ、今日行ってみましょうよ!」
「そうですね。たまにはそうゆうのもいいかもしれません」
皆が行く気になっている中、一人、チェシャ猫だけあまり乗り気ではなさそうだった。
そんなチェシャ猫に気付き、アリスが声を掛ける。
「どうしたの?チェシャ猫」
「アリス、湖に行くのかい?」
「うん。そうしようと思ってるけど…チェシャ猫は嫌?」
「…………。」
「まさか……泳げない、とかじゃないでしょうね?」
女王のその言葉にチェシャ猫は声を張った。
「そんな訳ないじゃないか」
「チェシャ猫?無理しなくてもいいんだよ?」
「大丈夫だよ、アリス」
そう言ったチェシャ猫の顔は少しこわばっていた。
「で?どこが大丈夫なのよ?」
そこは美しい湖でした。
水は透き通っていて、蒼く染まっています。
その水の中から遠ざかる様に、一人、チェシャ猫が3人を眺めていました。
「僕はね、泳げるけど水は苦手なんだよ」
「なによ、その屁理屈」
「本当に猫みたいですね、水が苦手なんて」
「えー?そうなら先に言ってくれればよかったのに」
「アリスがここへ来たかったんだろう?僕はアリスが望むのならどこへでもついて行くよ?」
「……ありがとう…」
そんな二人を見ていた女王は…
「なんか……ちょっと悔しいわね」
「…何がですか?」
「猫なんかにアリスを取られたって気分よ」
「……陛下」
「何?ビル」
「私も、ですよ。アリスに陛下を取られた気分です」
「え?いや、でもそれは……」
「陛下。もうアリスにはやきもちを妬かないで下さい」
「な!そんな事を言われても……」
「それに、陛下には私がいます。私では不服ですか?」
「…そんな訳ないじゃない」
「では、もう彼らの事は放っておきましょう」
「いや、でも……」
その瞬間、二人の距離が急激に縮んだ。
「ビル!今、キ…///」
「あんまり私を甘く見ないで下さいね、陛下」
「〜っ//ビルの馬鹿!」
何か?
だって今日は雨が降ったのに会えなかったんですもん。
そりゃ、こっちにも走りたくなります。
私は所詮、妄想の中でしか生きられない女ですよ!
そこ!ずっと男だと思ってたって!?!?
別にいいもん〜!
逆に口説いちゃうから♪
執事じゃないけどね(笑)
え?
気にしたら負け、ですよ。