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絵のない字本

アライグマさんと うみ

作者: 添牙いろは

もりに アライグマのおとこのこが すんでいました。

でも おとこのこは ふるさとのうみのまちに かえりたくなっていました。

ふゆがすぎて はるになったら うみにかえろう。

アライグマのおとこのこは きめました。


もりに アライグマのおんなのこが すんでいました。

おとこのこが うみにかえってしまうと とてもさびしくなってしまいます。

そこで おとこのこが うみがこいしくならないようなプレゼントを おくることにしました。


おんなのこは おとこのこにマフラーを あむことにしました。

うみのような あおいマフラーです。

それがあれば うみがなくても げんきでいられるはずです。

ですが あおいだけでは うみだときづいてもらえないかもしれません。

うみをみたことのないアライグマのおんなのこは うみがどんなものか

あまりよくしりませんでした。


どうすれば うみらしくなるか アライグマのおんなのこは

ものしりなリスのおじいさんに うみについてたずねてみました。

「うみには おふねがうかんでいるんだよ」

おんなのこは あおいマフラーにカヌーをうかべてみました。

すこし うみらしくなったようにおもえました。


もっと うみらしくするために 

こんどは うみのまちからきたというイノシシさんに うみについてたずねてみました。

「うみには しろいすなはまがあって パラソルがささっているんだよ」

おんなのこは うみに しろいおやまをうかべて てっぺんに きいろいあまがさを さしてみました。

なんだか ちがうようなきがしてきました。


ふあんになったおんなのこは

りょこうずきなハトさんに うみについてたずねてみました。

「うみにうかぶおつきさまは とてもきれいなんだよ」

おんなのこは あおいマフラーに まるくてきいろいおつきさまを くわえてみました。

さっきよりは うみにちかづいたようにみえました。


ねんのために うみにしりあいがいるという

クマさんにも うみについてたずねてみました。

「うみにはこおりがうかんでいて そこにシロクマさんがすんでいるんだよ」

おんなのこは うみに もうひとつしろいおやまをふやして

てっぺんに しろいクマさんを のせてみました。

うみにクマさんは とてもあわないようにおもえました。


できあがったあおいマフラーは ふしぎなもようでいっぱいでした。

それをみて おんなのこは こわくなってきました。

「いったい うみって どんなところなのでしょう!」

おんなのこは もりをでて じぶんで うみをみにいくことにしました。


あかいでんしゃにゆられて アライグマのおんなのこは うまれてはじめて うみにやってきました。

おふねは うかんでいませんでした。

しろいすなも ありませんでした。

つきもうかんでいませんし しろいクマさんもいませんでした。

ゴツゴツしたくろいいわに しろいみずしぶきがあがっていました。

このマフラーとは ぜんぜんちがいます。

アライグマのおんなのこは こまってしまいました。


うみにちかづいてみると もりをながれるかわとはちがう

ふしぎなにおいのみずでいっぱいでした。

おんなのこは これがうみなのかもしれないとおもいました。

ためしに マフラーをうみのみずであらってみました。

ゴシゴシとこすってみると けいとのいろがまざって このうみに にてきました。

おんなのこは これをおとこのこにプレゼントすることにしました。



ふゆがあけて はるがきました。

アライグマのおとこのこは まだ もりにすんでいました。

おんなのこは おとこのこに プレゼントのおれいがしたい と おうちにおよばれしました。

おとこのこは おんなのこのために おいしいおなべを つくってくれました。

きのこと おやさいのおなべでしたが ふしぎなことに うみのにおいがしました。

「このなべしきをつかうと ふるさとのおなべをたべているような きもちになれるんだ」

うみにぬれて ちぢんでしまった おんなのこのマフラーは

おなべのしたに しかれていました!

「ほんとうにありがとう! ボク これからも このもりで がんばっていけそうだよ!」

おとこのこが もりにのこることになって おんなのこは とてもよろこびました。

でも つぎは うみのたべものをプレゼントしたほうがよいかしら と おもいました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アンデルセン童話っぽい内容だなと思ったら、この童話はシリーズもので、タイトルは絵のない字本。 明らかにアンデルセン童話の絵のない絵本のオマジュだとわかりました。 童話の雰囲気はよく、最後に…
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