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修羅場の後清秋と



「 どうなっているんだ。お前達は」 

なんとか泣き止んだ私を向いの縁台から見下ろして、清秋様が言われた。

「 仲良くやってたんじゃなかったのか」 

私はかぶりを振った。

「 何故だ。近頃またよく来ていただろう?」 

今度は頷いた。しかし清秋様はなぜ知っているのだろうか。

矢野様がおっしゃっていたように見張られていたのだろうか。

過保護が過ぎると思う。

「 見てたの?」 

「 どうやって見るんだ。一日中寺の外に立っているのか?」 

「 そうだよね・・・」 

「 寺に来る年寄りの情報があるからな」

まあ、ここを通る人達は大体お寺に行くからね・・・。

普段自分の悩みを人に話したりする気にはならないのだが、この時は自然と口に出た。

もう泣いてしまったし、清秋様なら良いかと無意識に頭が判断したのだろう。

「自分の気持ちに気付くのが遅かったみたい」 

「 なんだと?」 

清秋様が怪訝な顔で聞き返された。

「だから、矢野様のお気持ちはもう私にはないみたい。いらして下さってたのは私が余計な心配をしないようにだと思うわ。お優しいから」 

「 ・・・・・そうか。まあお前がそれで納得できるのなら何も言わんが」

私は肩を落とした。

「 納得・・・。納得ってなんだろう。あーあ。せっかく好きな方が出来たと思ったらあっという間に終わっちゃった。サエに報告する間もなかったわ」

「お前、相手が自分を好いていないからと言ってすぐに諦められるのか」 

「 そんなわけないでしょう・・・。諦めなきゃと思って努力してるの」 

腕を組んだ清秋様があきれたような顔でおっしゃった。

「 何処に努力してまで諦める必要があるんだ。向こうはもう来ないと言っている。お前が勝手に思っていようと向こうの迷惑にも為り得ないだろう?」  

思いも寄らないことを言われて驚いた。でも、確かに勝手に思っているだけなら誰の迷惑にもならないだろう。

「 ええ。そうね・・・。そっか無理に諦めなくてもいいのね」 

「 相手に何も求めず、思うだけなら勝手だ」 

清秋様が私を見ておっしゃった。これは清秋様の決意表明でもあるのだろうか。

「 う、うん。でも過保護はちょっとこまるよ・・・」  

「 それは別の話だ。そちらは兄としての俺の務めだからな」 

「 ・・・・そうですか」 


相手に何も求めずか。こちらを見て欲しいとも、私を思って欲しいとも望まず、会いたいとさえ言えないのだ。

そんな辛い恋が私に出来るだろうか。

「 清秋様。・・・・切ないね」 

「 ・・・・そういうものだろう」 



「 そう言えば、お前俺の所為であの男が来ないと泣いていただろう?あれは、どうなったんだ」 

「 ああ、あれは・・・。清秋様と一緒にいたのがお嫌だったのかしらと思ったのだけど、言い訳しようにも気にしていらっしゃらないみたいだったし・・・」

「 そうか?ここで寝ていた時のことだろう?あの男も俺がいるのは相当不快そうにしていたがな」 

清秋様も間違いなく不快だったのだろう。でもやっぱり、あの時現れた清秋様が恨めしかった。まあ、引き入れたのは私だけど。

「 やっぱりそうだったの?もしかしてあれで愛想を尽かされたんじゃないかしら・・・。結局清秋様の所為じゃないのよ・・・」 

「 愛想を尽かしたか。そうは見えなかったがな・・・。お前はそう感じるのか?」 

「 全然さっぱりわかりません!でも前みたいにお話出来ないし。そうとしか思えない・・・・」 

膝に突っ伏した私に清秋様がおっしゃった。

「 お前も自分が思う相手のことは冷静には見られないのだな。まあ、真実あの男のことを好いているということか。何故あのひ弱な男なのかは理解に苦しむが」

最後の台詞は無視して、顔を伏せたまま尋ねた。

「 清秋様も・・・冷静に見られないなんてことがあるの?」 

私を、という言葉はさすがに言い辛かったが、分かってくれたようだ。

「ああ、子供の頃はそういうこともあった。俺の場合は長すぎて嫌でも分かってしまったというところだな」

「 そう・・・。ねえ清秋様。ずっと守ってきてくれてありがとうね」

顔を上げてそう言うと、清秋様は穏やかな表情でおっしゃった。 

「 ああ、これからも守ってやる。お前は良い子だ。悪いようにはならない」 

何か含んだものを感じて首を傾げると、清秋様が続けられた。

「そろそろ行かねばな。お前明日には、俺とあの男を二股かけていることになるぞ」 

「 はあ?何それ?」 

「 人の噂とはそう言うものだ」  

 









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