手帳の秘密
同日
某時刻
みとせ寿司の隣のアパートの二階
勝島が扉を開くと、
「父ちゃん~~~」
金髪のストレート髪型の女の子が目を輝きながら、やってくる。
「おとなしくしてしたかい?」
「うん。ゲームで人を殺して待っていたの!」
「そうかそうか」
あはははっ、と笑い女の子の頭を撫でる勝島。女の子は嬉しそうに応える。
「・・・・・あの・・・・人を・・・え?」
「ああ。某ゲームですよ。ほら、豪華船に侵入してゾンビを倒していく内容」
「それ、絶対R-15ですよね?」
「そうですが、なにか?」
平然と言い放つ勝島。対して頭を抱える桜子。
「へー。面白そうだな。後で貸してくれ」
「いいよ~。まず名前を入れるから、考えてね」
「じゃ、単純に、まさり」
「こっちはこっちで仲良くなっているし」
「立ち話もなんだから、おいしいお茶を煎れましょうか」
人の気持ちを考えていない(気がする)勝島が魅せる微笑。
(似た者家族・・・・・・)
桜子は呆れた。もはや、どこから突っ込めばいいのか分からなくなった。
アパートなのに部屋は広かった。空間を有効に利用したらしい。小品は棚にしまってあり、いろんな物は余分なスペースが出ないように所狭しと詰んである。
こういった所は桜子と似ているが、明らかにこっちの方が精神的な細かさが滲み出ている。
「真面目だな・・・・・」
「そうね・・・・・」
「あはは・・・・良く言われます」
収納式のテーブルを用意してくれ、勝島が2人分のお茶を出してくれた。
「申し遅れました。自分は勝島 河内です。娘が美並です」
「私は、桜子です」
「俺、板野 正彦」
「まさり~。持ってきたよ」
勝島の娘、美並がグロいゲームを笑顔で持ってくる。それも1本2本じゃない。10本はある。
「さ。選んで!」
「・・・・・・・・・・・・」
さすがのまさりも固まる。
「勝島さん。美並に何の指導を」
「欲しい物は自分で買えと」
「いったいどうやって・・・・・」
少し世間話をしてから、勝島は咳払いして、
「結論から言おう。美並、正彦、君たち2人は異母兄妹だ」
「あ。正彦は女ですから、異母姉妹です」
「え。・・・・あ。すまん。間違えた」
「いーから、続きを」(とか言いながら、半分思考が停止している)
「へー。女?そう見えないよ」(まったく勝島の話を聞いてない)
「理由を欲しいなら、説明するが、複雑な事だからな・・・そうだな、正彦は俺の欲望で生んでしまったと言えば分かるかな?」
「勝島さん、こいつら、小4ですから」
桜子の助言で勝島は遠い目をする美並と正彦に気づく。
「あ。・・・・えーと、普通、子供はお互いに好きな人が付き合って生まれる。ここまで分かるか?」
美並とまさりは息揃って、頷く。
「その時、付き合った2人は結婚する。・・・・しかし、俺は正彦の親、笹子とは結婚してない。いや、付き合う事も無い。だた、俺が笹子に襲い、子供を生ませてしまったた。これは犯罪であり、許されないものだ」
「ん? ちょっと待て。犯罪者は牢獄に入るんだろ? なんでここに居る」
「正彦の言う通りだ。だが、自分の父親が警察の偉いさんであったことで無罪にされたんだ。反省して牢獄に入られると思ったのにな」
「笹子は? あいつなら、悪いことをされたらブン殴りに来るぞ」
「それがな・・・来なかった。当時、高校生で笹子は大会目前だった。最悪、道連れされると考えた。しかし、親の力で黙らせたのか、来なかった。その後、俺は千早と結婚して美並を育てた」
「・・・・父ちゃんは悪い?」
「う~ん。桜子。この場合、流産は出来たんだろ?」
「ええ。子ができたと気づいてからある程度過ぎたらね・・・」
「勝島、訴えられてないか?」
「ああ。一度も無い。」
まさりは首を傾げて、考えていたが、答えは浮かんでこない。
「聞いてみるか」
勝島家の電話を借りて、自宅に掛けてみる。反応は無し。母の仕事場に掛けてみようと思ったが、嫌な予感しかないのでやめた。
皆で話し合った結果、桜子のメールで聞き、返事は一斉返信にしてもらう事に。
送って、5分後。母の答えは早かった。
『ラブラブカップルの2人に邪魔をしたら悪いでしょ? 私が行った時は、正彦を生んでから、1年ぐらい経った頃。だいだい2年後。それまではいろいろあったから』
「・・・・・とりあえず、殴っていいか?」
「そうしてくれ。なんか恥ずかしくなってきた」
非力なまさりの拳が勝島に炸裂した後、こんな質問をした。
「美並の母親、千早は?」
「さっきの大将の隣に立っていた女。あれが俺の・・・・昔イチャイチャした・・・人です」
勝島、認めた。
「・・・・父ちゃん、悪い」
「ですよね」
「すまん。俺も同感」
何故か勝島責められる。
「んじゃ、みとせ寿司で何か食べてから帰るか」
「賛成です」
「それじゃ、大将に話を通しておくよ」
「ねーねー。まさり。ゲームは?」
「いらん! グロい! もっとまともなゲームを買え!!」




