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序章

・・・闇・・・

彼の世界は、常に闇の中にあった。彼、カイト・グレイスターが生まれ付き持ち合わせていなかった"視力"の代償は余りにも大きかった。故に彼の世界は闇に束縛されたままにある。幸い、機能していないのは視力だけであり、他の機能に以上はなかった。しかし、視力を伴わないそれらは一体如何なるものなのか。

何が発したか解らぬ音、何を口にしたか解らぬ味、何が漂わせているか解らぬ匂い、何に触れられたか解らぬ温もり・・・。

だが、自らの世界を闇に侵されても、彼は命を断とうとは思わなかった。彼の世界は未だ始まってはいない。幕を開けてもいないステージに、幕を降ろす事など出来るのであろうか?

否、彼はステージにすら立っていない。

彼を取り巻く物語も、彼を支える出演者も何一つとして無い。

だが、未だ定まらぬ開演時刻を待ち侘び、一早く席に着いたものがあった。

それは全の世界。一の世界を見る全の世界。

全の世界は一の世界を創り、一の世界は全の世界を創る。全無くて一は無く、一無くて全は無い。彼の世界を取り込んでいない全の世界は、未だ未完の状態にある。彼の世界が始まり、彼の世界が終わりを告げるまで全の世界は完成しない。総ては幕が開けてから、総ては彼が己が眼で自分の世界を観てからである。

「さぁ、観せてくれ・・・。君の世界をッ!」

一の世界の開演を待ち焦がれた全の世界が、何処か叫んだ・・・。

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