act.6戦闘開始
第五話と切り離した本題です。だって長くなるんですもの。
act.6戦闘開始
俺はフロアの太陽から見て右側、他五人は太陽から見て左側にそれぞれ構えている。ああもう彼ら殺る気マンマンですよ。俺死なないよね?
対する俺はハッシュパピー、ナイフ、蒼鬼、そして魔法具60だ。ていうか見た目M60だ。こりゃもうあれを叫ぶしかないな。俺やるよ、こういうときは。
「それでは、始め!」
アクトの声と共に、俺はハッシュパピー片手に、そしてもう片腕に魔法具60を抱え、乱射した。そして勿論こう叫ぶ。
「エイドリアァァァァァァァァン!!!!!!!」
いやもうコレ片手でも撃てるのよ。だったらやるしかないっしょ。
片手で撃てるのは多分、魔法を発射するから火薬を使う反動が無いからだと思う。
ちなみに今俺が乱射してるのは高圧電流。いわば荷電粒子砲みたいな状況になってる。
「きゃ、きゃあ!?」
「オイオイマジか!」
「ほう……デフィア!」
「おうよ」
レムが冷静に彼を呼ぶと、彼は両腕を前に突き出し、力を入れる。
あ~……コイツ風使いか。面倒な。風の障壁だと電気通さないじゃんか。まあある程度は予想済み。
「くっ……耐え切れるか……!? お、おいイゼフ、頼む!」
「はいっ! 我に宿りし力よ……今彼に力を貸さん!」
彼女が詠唱っぽいのをするやいなや、デフィアの顔色がよくなった。なるほど防御障壁を呪文かなんかで強化したな。スクルトみたいなの使いやがって。
「うむ、面倒な……だが無駄だ!」
今度は容赦なくイゼフ目掛け一点集中で弾をばら撒いていく。すると、流石に一点集中には耐え切れずに風の障壁に穴が開いた。
「きゃあ!」
空に飛んで回避しやがった! やっぱアイツヴァンパイアか。悪魔っぽい羽根生えてますよ見事に。
「今度は私が!」
風が乱れてしまい障壁として役立たないものになってしまったのを補うべく、セシアが土の壁を創り出す。うむ、彼は土系か。今度は風で攻めるか。
俺は躊躇なくセシアがいる部分目掛けて風を圧縮した弾丸を乱射する。
「ぐぅぅぅぅぅ……! も、もう持ちませんっ!」
お、以外に脆いな。よしよしもう一息だ。
「くぅぅ……うわあぁぁぁッ!!」
土壁、大破ぁ! セシア、撃沈! 風の弾丸数発を喰らったセシアは、フロア外へと吹き飛んで行った。あれじゃこの戦いへの再起は不可能っぽいな。
「セシア、戦闘不能! 残り四人だ」
「ふむ、流石じゃのう。あれだけ弾をばら撒いて魔力が枯渇せんとは」
今度はまた横薙ぎに弾をばら撒き威嚇する。そういえば彼ら各々異なる武器持ってるな。レムは1mを軽く超える剣。だが重いタイプではなく、いわば両手剣の一種。そしてゼルキスは
手に武器をはめている。手甲というやつだ。さっき吹き飛んだセシアは弓っぽい。ただ和風のあれじゃなくアーチェリーっぽい。イゼフは1mより少し短い程度の剣を2振り、いわば片手剣
を2本。そしてデフィアは槍。所謂ランスと呼ばれる巨大なものだ。普通馬に乗った時などに使うが、彼は平常時にも軽々扱う。こええ。
球をばら撒いた時真っ先に動いたのはゼルキス。手には何も纏っていないが、先程口を微かに動かしていたので能力強化してあるはずだ。距離がある内に俺はハッシュパピーのトリガ
ーを5回引く。電撃が奔り、油断していたらしいゼルキスに直撃した。体勢を崩したところに魔法具60で風をぶちこみ、吹き飛ばす。
「ゼルキス戦闘不能! 残り三人だ」
よし、一気に畳みかける!
「ライデイーン!」
俺は天を仰ぐように叫ぶ。すると、幾本もの落雷が三人を襲う。フハハハハ、これ気持ち良いなオイ!
「ぎゃああああ!」
「くっ!」
「きゃあっ!」
あらら、結局まともに喰らったのはデフィアだけかつまらん。
「デフィア戦闘不能! 残り二人だ」
「……イゼフ、スマンが一度彼とサシで戦わせてくれ」
「へ?」
「……いいぜ、かかってきな」
うんだっていきなりな展開だけど、理由は分からないけど断ったら男じゃないっしょ。ていうか断れる雰囲気じゃない。
「わ、わかりました」
「ありがとう、タクミ。では行くぞ!」
あ~……気合入ってるなぁ。剣燃えてますよ。彼女火属性持ちか。なら俺もそれに答えよう! 風を剣に纏わせ、お互いに突進する。
ガチィン! と金属同士がぶつかり合った高い音と共に多少衝撃波が発生する。よし、飛ぶ!
「なっ!?」
風の力で空高く舞い、急降下しつつ刀を振る。受け止められ、俺はその反動を利用し空中でバク転。再び斬りかかる。今度は連続。
「くっ! だがまだだ!」
おうおう気合入ってるね。俺なんか自分の異常な身体能力に驚いてるのに。
「はぁっ!」
おお、反撃! 危なげなくかわし、着地する。よし、あれ使ってみるか。
俺は蒼鬼を振りかぶり突撃する。迎撃態勢を取るレム。刀と刀がぶつかり合い……
俺は体を捻り回転させ、斬りつける。無論峰打ち。
「龍巻閃!」
「がはあっ!?」
よし、決まった! 返し技の一つ、龍巻閃はきちんと使えば確かに強いな。フロア外に吹き飛ぶレム。
「レム、戦闘不能。残り一人だ!」
「……いきますよぉっ!」
双剣を構えるイゼフ。ああ、コイツも火属性か。
「って速!?」
俺、なんとか凌いでバックステップ。いやマジはええ。なら……能力強化だろ。
雷を全身に纏わせ、自分の反射速度その他を上昇させる。
「はあっ!」
後ろに回り込んだ。おお、自分速い! やれる、やれるぞ! そのまま斬りかかろうとしたが……俺は上に飛んだ。その直後、彼女を中心に爆発が起こる。
「おお、彼女の罠をかわすとは」
やはり、な。追いつけないふりして、か。だが科学好きな俺は粉塵が舞っているのも見逃さない! 粉塵爆破とは厄介な考えだが。しかしこれで俺は彼女の上空を取る。
左手を彼女に向け、電撃を放つ。
「ザケルッ!」
うん俺あのマンガ結構好きなんだ。
彼女はこれを難なく避けた。翼って機動力すげえなあ。
「もういっちょぉ! ザケル!」
着地と同時に再び電撃。彼女は今度は炎で消し去る。だが、その視界を塞ぐのが俺の目的。今はな。
「おおぉっ! 牙○!」
る○剣の剣○のライバル、斉藤○の得意技、牙○。俺はそれを真似てみた。
「きゃああああっ!」
まともに受け止めた彼女は数m後ろまでたたらを踏む。よし、ここでダメ押しに……
「ザケルッ!」
「く……なら!」
左の剣を逆手に持ち替え、纏わせている炎の激しさを加速させた。狙い通り大技だ。
左の剣を振りつつ、体を時計回りに捻る。一回転と同時に、今度は右手の剣を叩きつける。そのままザケルをかき消した炎が、俺に向かってきた。
「甘いな」
この展開を予想していた俺は、焦る事をしなかった。
「ザケルガァッ!」
先程までのザケルを収束させ、貫通力を高めた技。それを放つ。見事に炎の波を消し去り、彼女に直撃した。意外に近い距離だし威力は絶大。
「く……うっ!」
フロア外に吹き飛んだ。よし、俺の勝利ぃぃぃぃ!
「……イゼフ、戦闘不可能。勝者、タクミ!!」
だが……俺は気付いた。このとき負けてれば俺顧問にはならなくて済んだんじゃないだろうか、と。
はい、終わりました。ここと後一話位まではいわばプロローグ。こっから本格的に行きますよー!