act.5いやなんでこうなってんのマジで
この話……ぶっちゃけツマランかもです。だって次話への繋ぎ何ですもん……それでも構わないというお方、ぜひにお付き合いくださいませ。
act.5いやなんでこうなってんのよマジで
俺はアクトの案内で、城の中庭に通された。その中庭は、中央に一辺20m位の正方形の石でできているらしいフロア、そしてまわりは草木に覆われているなかなかいい環境の中庭だ。
で、そのフロアの上に5人の人物が立っている。俺とアクトはその前まで歩いて行ったのだ。
「彼が拓海だ」
「この男がか。一見だけでは強そうには見えないが……まあ見た目ではそんなもの分かりはしないがな」
なるほど、この方女性なのね。赤いロングの髪と血のように赤い瞳、鋭い目つき。いわばクールビューティーってやつだ。あと軍服は全員黒だ。
で、彼女の言うとおり俺はなんの特徴もない容姿だ。せいぜい服をキッチリ着る位で、あ、ちなみに俺制服なんて着崩そうとすら思ったことないよ。で、イケメンでも強面でもない俺。しかも性格だって至ってフツウだから彼女どころか親友と呼べる存在なんてほとんどいなかった。友達は多かったけどな。
「私はレム。種族はエルフだ。国王直属部隊第二隊隊長を務めている」
なるほど、ナンバーツーか。ていうかこの人ほんとクールなのね。
「宜しくお願いします」
「で、俺は国王直属部隊第三隊隊長のゼルキスだ。種族はビースト。アンタの噂は聞いてるよ、よろしくな」
薄い、金色に近い茶色の髪と瞳を持ったがたいの良い男だ。きっと体育会系なんだろうな。
「私は第四隊隊長のセシアです。第二隊隊長の彼女と同じくエルフです。よろしくお願いしますね」
笑顔が爽やか、礼儀正しい好青年な彼。淡い緑のレイヤーがかかった髪と瞳はほんと憎いくらい爽やかだコンチクショー。
「わ、私は第五隊隊長のイゼフです。ヴァ、ヴァンプです。よろしくお願いします」
白銀の髪が目にかかってるほどな彼女はどうやら内気なようだ。ていうかヴァンプて何? まさかヴァンパイア!?
「……第六隊隊長のデフィアだ。まあ個性がある奴らが多いが……よろしくな。俺はビーストだ」
群青色の髪と瞳は落ち着いた印象を持たせる。それと常識人っぽい。いや常識を逸脱してる奴は流石にいないけど。
「えと、市川 拓海です。よろしくお願いします」
軽くお辞儀をする俺日本人。この世界では黒い髪と目は珍しいと聞く。俺からすれば逆に色つきの目や髪が珍しいが。
「で、タクミには何をさせるつもり?」
レムがアクトに質問を投げかけた。まあごもっともだ。俺も良くわからん!」
「彼には俺達王国軍の軍隊全体顧問をしてもらうことになった」
「は!?」
それ確定なの!?
「まて、それは本当か? 見ず知らずの者に教わるというのか?」
「ですよねですよね! 俺も予想してませんでした!」
ここぞとばかりに自分には意思は無いとアピール。
「国王の決定だ」
「うぅむ……」
「なら、一つ提案がある」
あれぇ……俺ってスルーされてねえか?
「なんだデフィア」
「俺らが彼と戦ってみて、納得すれば顧問に、というのでどうだ」
「ふむ、別にかまわんぞ」
あら、聞いたことのある声。
「こ、国王様!」
「うむ、それならよかろう。どうだ、タクミ?」
俺拒否権なくね? 泣いていい?
「は、はぁ。まあ国王様の許可があるとならば」
「うむ。では、審判はアクトに務めてもらおう」
「はっ。では形式だが……彼対隊長全員一斉だ」
「は!?」
「うむ、よかろう。皆はどうじゃ?」
「私は構いません」
「俺も構いません」
「ええ、もちろん」
「え、ええ。大丈夫ですっ!」
「国王様のご意向ならば」
「うむ。タクミ殿は?」
「……構いましぇん……」
という訳でこうなっちゃいました。んー……どうしよ。
「さて、ではタクミ、お前が持ってる装備は?」
「蒼鬼とハンドガン、あとナイフです」
「ほう、それだけで第一隊を……」
「いえ、正確には蒼鬼は使われませんでした」
「ほう、なおさら興味が出てきたのう」
「だが、私達五人一斉だろう。少しハンデが大きくないか?」
「確かにのう。よし、おい、そこの! 魔法具60を持ってまいれ」
「ハッ!」
「魔法具60?」
「うむ。この大陸には魔法を動力源とする武器があり、私たちは主に魔法具と呼ぶ。その後の数字はいわばタイプなどを直接表すのだよ」
ふむ、こっちでいうとMとかFとかそんな感じか。把握した。
「で、60というのは魔法力を連射するタイプのものだ。かなり魔力を必要とするが、相応の威力を誇るぞ」
それはこっちのM60と考えていいのか。たまたま連動してんのかな?
「ふむ……あ、スミマセン、ちょっとトイレ借りれます?」
「おお。おい、この方を案内して差し上げろ」
「ハッ!」
で、ここはトイレの個室、いわば大をする方。
「おい、ゼウス。魔法具についてなんだが」
「おう、何でもこい」
「これって俺の力も対応してんの?」
「あたぼうよ。むしろお前のは無尽蔵な魔力に概念としては近い」
「なるほど、サンキュ」
簡潔に終わらせた俺は、即座に中庭に戻った。いやもう腹括りますよこうなったら!
いよいよ次から本格的戦闘です。よろしくお願いしますね。