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act.44対魔王、最終決戦!

 ようやく魔王と最終決戦。いやまあ、ありきたりな気もしないでもない……という悲しい現実が……

act.44対魔王、最終決戦!

「さーて、久しぶりだな? 魔王さんよ」

「ぬぅ……力を取り戻した矢先に貴様が来ようとはな。現実はとかく厳しいものだ」

「の、割に顔が笑ってるぜ?」

「フフフ、貴様と再び相まみえたことは厳しくも嬉しき事よ。なんせ、この世界で唯一力が及ばぬ者がいるのだからな! 魔王と国王……対立するならまだしも向こうからは仕掛けてこない。となると、実質この土地では我が最強に近い。ジュイスも良い線であったが我には敵わなんだ。そこに、貴様だ」

「なるほど、な。さて、そろそろおしゃべりはしまいにしようか?」

 と、いいつつもこの会話の間にお互いに構えはとっている。前回と同じく、俺は体に隠すように、そして魔王は柄に左手を添え、柄の中央には返した右手。

 今回は最初から光と闇が使用されるだろう。なんせお互いの切り札である光と闇は既に知られている。ならば、如何にそれをうまく使うかだ。


 何の合図も無かったが、うち合わせたかのように互い同時に走り出す。

 ぶつかり合う刀と剣。細身の日本刀と、質実剛健な剣がぶつかり合い、光と闇と火花を散らす。

 互いに一歩も譲らず、最終的に相打ち。両者共剣を持っていない左手で地面を掴むように後ろに滑る。

 直後、俺は雷を体に纏わせ、雷と同等の速度で魔王の真横、左の視界にスレスレ入る距離に飛ぶ。

「ソコかっ!」

 魔王に向かって地を蹴った俺に気付き、剣を振う。だが、わざと視界に入った俺にとってそれは予想していた出来事。

 再び雷速で今度は後ろへと跳ぶ。つばぜり合いの後に取ったのと同じ姿勢で勢いを殺し、闇のマントごと貫くべく刺突を開始する。

 光を収束し、勢いを全て刃先に乗せたその突きは、ギリギリで感づいた魔王に剣で防がれる。

「チィッ!」

「その速さ、脅威だな……!」

 しばらく互いの体勢はそのままだったが、次に動いたのは俺。雷で移動した、と見せかけて風で上空に飛びあがる。ほんの少しの電撃は魔王の後ろに回り込み、それを捉えた魔王は即座に後ろを剣で薙ぎ払う。

「ヌッ!?」

 しかし、それはデコイ。本物はもちろん上空ここにいる。

「おぉぉぉッ!」

 上空からの斬撃。咄嗟に斬撃を防ごうと掲げた魔王の剣とぶつかり合い、再び光と闇と火花が散る。


 今回、お互いの剣は原型を保っている。魔法での能力強化はしてあるが、より高密度にするためだ。つまり、俺達は今回で本当に決着ケリをつけるつもりだ。

「うぉぉらぁぁぁぁ!」

「むぅぅぅぅぅぅん!」

 嵐が如くぶつかり合う二つの刀と剣。それは止まる事を知らず、二人の間を、周りを、駆け巡る。


 幾度目かもわからない激突。互いの息は乱れ、肩で呼吸をしている。それでもなお、互いの目から闘志は消えていない。

 両者の武器は既に刃こぼれをおこしており、それを魔法で強引に補っている状態だ。

「くっ……そろそろ、終わらせてやんよ!」

 左腕を引き、右手を突き出し、親指と人差し指の間に切っ先を構える。いわば再び牙突の体勢だ。

「いいだろう、貴様の死を持って終わらせてくれよう!」

 独特な構えを取り直し、力を籠め始めたのがわかる。次の一撃に全てをかけるつもりだろうか。

「ぬぅぉぉぉおお!!」

「ふぅぅぅぅぅん!!」

 飛び出し、腰を捻りつきだした切っ先を思いっきり叩き込む。それを迎撃すべく横薙ぎに剣を振る。

 ぶつかり合う渾身の一撃。甲高い音を奏で、それまでよりも激しく火花が散る。無論、光と闇も散り、二人の顔を一瞬だけ照らす。

「甘い……! 牙突……零式!!」

 一瞬で左腕を引き、左足も同時に引く。グッ、と音が聞こえそうなほど筋肉が収縮し、それを開放する。

「クッ!?」

 もくろみに気付き、慌てて剣の腹をこちらに向け盾にする。だが、無駄だ。

 ゼロ距離で放たれるその刺突は、容赦なくその剣を砕く。粉砕された音がいやに大きく聞こえ、その切っ先が魔王に到達したのはその直後だった。

「が……ッ!」

 鉄をも砕くその刺突の威力は、人一人位いとも容易く吹き飛ばす。多分にもれず吹き飛ばされた魔王は、数m先にある壁にぶち当たって床に崩れる。その下には微かに紅の水たまりができている。

「はぁ……はぁ……流石に、つええ……だが、終わりだ。これで王国に平和は戻る! アンタの命、無駄にはならんぜ」

 もとより奪う命は選定する主義だ。動植物関わらず、無駄に散るべき命は存在しない。ならば、そこで命を落とす魔王も等しい。奪った命は絶対に活用する。それが俺の主義であり、この世界で悩んだ末に確立した主義でもあった。

「く……無念……」

 最期の言葉を遺し、魔王は完全に力尽きた。後ろを向けば、敵兵を全てなぎ倒したらしい国王と直属部隊。俺は彼らに向かって歩み出した。



「が…………ッ!?」

 右肺を貫く痛みと熱さ。それが、何かに刺された為に生まれた物だと気付いたのは直後だった。何故なら、俺は何かを感じ取った。そして咄嗟に後ろを向いたところに衝撃、痛み、熱が襲い、視界には不敵な笑みと苦悶の表情を混ぜた魔王。その魔王が伸ばした右腕から伸びるのは一直線の影。

 油断した。奴は、まだ命を失いきっていなかったのだ。ヤバイ、今回ばかりは流石にまずい。が……好機でもある。

「バー……カ。チェックメイトだ」

 漆黒の闇の刃を伝っていく自分の血液が描く忌々しい模様を見ながら、俺は魔王に光を使用して拘束の為のリングを巻いた。無論魔法であるためいきなり現れる訳だが。

「今だ……撃てぇぇぇぇ!」

 その叫びに反応したのは国王。元々、ここに来た時に伝えていたのはある作戦……いや、作戦とも言い難い打ち合わせ。


『もし俺が奴に敵わなくても……何とか隙を作りだします。そこを、頭部目がけて光の魔法で狙撃して下さい。そうすれば、せめて奴は苦しまず死ねます』

『だが……それではお主が……』

『大丈夫ですよ。国王様はとにかく奴を狙撃することだけに心を傾けて下さい』


 そして、一筋の光が狙い通り魔王の頭部を貫き……今度こそ絶命する。証拠に、俺に突き刺さっていた闇が消え去ったのだ。

 が……まあ流石に肺を刺されて無事な奴はいない。曲がりなりにも俺を立たせていた闇の刃が消えた事で、俺は地面に倒れ伏した。数秒で意識を失い……最期に見たのは魔王の死体だった。

 フィナーレまであと少し。よろしければ、最後までお付き合い下さいませ。

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