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act.4城ってデッカイねぇ

 はい、もうお決まりパターンです。「おお勇者よ」パターン。

act.4城ってデッカイねぇ

 俺は今、とんでもない驚愕に包まれている。

「デカ……」

「そうだろう。何せこの国の国王は国民から信頼を得た者のみが代々選ばれる。故に国民も協力的なのだ」

「同じ方式であるはずの日本とだいぶ違うな。見習わせてぇ」

 汚職と解雇要求ばっかりの日本にまじで。

「っと、ちょっと失礼!」

 いきなり無線から呼び出しかかりやがった。くそ、テュポンかゼウスか知らんが……


「おっす、さっきは見事だったねぇ」

「てめぇテュポンか! 何てタイミングでかけてきやがる!」

「うんまあ素直に謝る。ゴメン。で、さっきのCQCだけど」

「おう」

「よく咄嗟に使おうと思ったね。まだ使えるようにしたって教えてないのに」

「あ、そうなの? ていうか早めに教えろよ」

「あははは、ゴメンゴメン。まあそういうことだから、君はCQCをマスターしたことになってる」

「おお、そうか。そりゃあ楽しそうだ」

「君この世界じゃチート級に強いからね、攻撃力は。あ、そうそう君に渡したハッシュパピー」

「おう、どうかしたか?」

「それね、君の雷や風も撃てるように改造してあるから」

「それも早く言えっての」

「いやあ、ゼウスに言われて初めて気がついたのよ、スマンスマン」

「で、じゃあなんで麻酔弾入ってんの?」

「そっちの方が拘束長いからね。あ、でも麻酔の撃ち込みすぎはヘタすると死んじゃうから気をつけて」

「了解した」

「じゃ、いってら~」

 プツン。

 そうかそうか。俺はチートキャラか。楽しそうだなこりゃ。


 俺はアクト達の元へと走って戻る。

「どうしたんです?」

「ちょっとトイレに……って何故に敬語?」

「一応拓海様には負けたので」

「あー……別に敬語いらんよ? 俺もタメで話すけど」

「そうか……ではそうしよう」

 おお話が分かる人っていいなぁ。

「アクトだ、今戻った」

 城門前にいた門番らしき人物に話しかける。ああ……その長大な槍はきっと5人は貫通するな。

「ハッ……ところでその男は?」

「今回の事件の張本人だ。俺らの部隊がものの1分と持たなかった。しかも無殺傷でだ」

「な、なんと……では、その方をやはり?」

「うむ。まあ信頼に関しては俺が保障しよう」

「ハッ。では、どうぞ」

 門番が上空に向かい手を挙げる。すると、それが合図だったのか門が開いた。

 ズズズズズズ、と地響きにも似た音が門から響く。おおすげえ迫力。


 で、俺はめでたく王との対面を果たす事になった。


「おお、そなたが噂の……」

「どのような噂かは存じませぬが……市川 拓海と申します」

「そうか、タクミよ、お主に一つ頼みがあるのだ」

 王から直々の頼みか……まあ神に依頼を受けた身だ、なんか驚きが少ないけどな。

「お主に魔王軍との戦いに参加して欲しい」

 ……は!? ちょっとまて、心当たりがあるぞ。

「……もしかして、その魔王軍とやらの本拠地ってデルビ・アリエっていうところだったりします?」

「おお、よく知っておられる。まさにそこ、デルビ・アリエが敵本拠地になっており、我々は最終的にそこを叩くことになる」

「……まこと好都合に、私もそれが目的の様です」

 まわり―――王含む―――からおお、と声が上がる。ていうかこの50坪はある部屋に10人程しかいないってすげえな。流石王。

「では、力を貸していただきたい! 無論、こちらもできる限り協力はさせていただく!」

「ええ、ぜひともよろしくお願い致します」

 今度は先ほどよりも長い声が上がる。ウン俺にそんな期待されても困るんだが。


「してアクト、このお方の実力はいかほどか?」

「ええ、我らの隊が1分と持たず敗北を喫したなど初めてでございます」

「なんと……!」

「ついでに、あのバナンサ草原の大猪をたった数秒で葬ったようです」

「なんと……! 本当か!」

「ええ、この蒼鬼という刀で斬りました。突進してきたので……しかたなく」

「……しかたなく?」

 あれ、地雷踏んだ?

「え、ええ。なにもこちらに危害が加わるような事が無ければ、別に無駄に命を狩る必要はありませんから」

「おお……そなたはワシと同じ考えを持っておるようじゃ。ぜひに、我が軍事顧問としてお雇いしたいのだが……」

「そ、そんな高い職は私には似合いませんよ」

 俺しがない高校生だぜ?

「ほう? して、お主はこの大陸に来る前にはどんな職に? その立派な考え、さぞ高い職に……」

「い、いえ、ただの学生でしたが……」

「なんと、学生!? ふむ、そなたの国は我らにはかり得ぬ素晴らしさがある様じゃ」

 うーむ、この人今の日本見たらどんな反応するか見てみたくなってきたぞ。

「よし、ではアクトよ。この方を部屋にご案内してくれ」

「はっ」




 で、俺はそのアクトに案内されて部屋に来た訳だが。

「広……」

「一応、これでも最高級レベルだ。客人扱いで申し訳ないが……高位兵の部屋を借りることができればいいのだが」

「え……これより上あんの!? ていうか広すぎて俺の身の丈には合わんのだが……」

「む、珍しい程無欲なんだな。どうする、一応部屋一覧はこうなっているが」

 写真―――っぽいもの―――つきの一枚のパンフレットみたいなのを渡された。うん、この中じゃこれが丁度いいな。

「俺このルダブ……って部屋でいいや、日本暮らしだと狭い部屋に慣れちゃってね」

「ほう、そうなのか……では早速案内しよう」


 おお……落ち着くこの狭さ! これこそ身の丈に合った生活だよね。うん。

「本当にこんなんでいいのか?」

「おう全然オッケー。ベッドと机があれば日本じゃ標準レベルさ」

「なんと……貧しい訳ではないだろう、ニホンとやらは」

「まあな。で、俺どうすりゃいいの?」

「とりあえずこの後各軍団長とあいさつだろうな。もう彼らに情報は伝わっているだろう、中庭にいる筈だから案内する」



 はあ……しかしどうなのよこの国、裕福で王様も良い人で。日本にいるよりずっと心地よさそうというのがビンビン伝わるんだけど。いっそ永住してやろうかな。ゼウスの奴送れるけど帰ってこれない的なこと言ってたし。うんでもまあ、俺はやっぱりこの後後悔するんだわな、お決まりで。何でおれはこう不幸体質なんだ?

 はい、いいとこで切ることができません。どうしたらいいのやら……

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