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act.35魔王再臨

 閑話休題シリーズその3位ですかね、サブタイトルみたいのあったら。読み飛ばしても特に弊害が無い……


 ユニークが五千を突破しました! 本当にありがとうございます!

act.35魔王再臨

 悪い知らせが入ってきた。何と、もう魔王は力を取り戻し、魔王軍の指揮に当たり始めたらしい。

「そ、そんな……いくらなんでも速すぎます!」

 セシアが珍しく叫ぶ。彼の情報網にもかからなかったとは……余程秘密裏に復活していたらしいな。

「うむ、たった今偵察に向かっていた者から通信があった……彼らの情報によれば、この大陸の最北西に位置する雪山、マノウスンテ・アリエ……そこで力を蓄えていた形跡があったらしい」

 雪山、か。普通なら寒気に覆われて体力を奪われやすい所なんて最悪の復帰場所だ。しかし……あいつはあいつで常識はずれなようだな。

「では、こちらも早めに対策を練った方が良いですね。今回の訓練、組み手のみにしてくれ。俺は布陣を見直さねばならん」

 直属部隊の隊長達にそう告げると、俺は国王に一礼して部屋を出ていく。多少無礼かもしれないが、今は急を要する。そんなこと言っている場合じゃない。




「……よし、これで大丈夫だろう」

 ここ、王城の図書室は異常に広い。もはやスポーツができそうだ。やったら怒られるし本が邪魔だけど。

 そんな王城の図書室で俺は独り地図と睨めっこをしていた。古びたセピア調な地図ではあるが、魔法でもかかっているのかしらないが文字や線はキレイである。

「そういや……なんでこの世界の言語分かるんだろ、俺……あとでゼウスにでも聞いてみるか」

 最近あまり連絡をとれていない神を二人、もとい二体思い出す。しばしなつかしむが……ここにきている理由を思い出して、俺は出口目掛けて早足に歩き出した。だってお前……流石に図書館系で走ったら、この世界でも怒られるんだぜ!?




 少しだけ歩けば、そこはすぐ訓練の場。俺は土手で息子の野球を見る親父のような心境になり……いや、俺に息子はいないし野球もやったことないな。とにかく、俺は彼らの訓練をしばらく見てみることにした。

 組み手は基本隊同士で行い、近接戦闘のみで組み合う。また、隊長同士で必ず組み、他は一戦毎に相手を変える。流石に、隊長と他の隊員では差が開いているからだ。

「ほぉ、上手くなったもんだな。状況次第でちゃんと適切な行動をとれてる……よし、そろそろ行くか」

 少し歩いて、彼らが訓練している中庭に到着する。こちらに気付いた数名が他の隊員に知らせ、全員が整列し終えた。ここら辺はやはり流石軍隊というべきか。

「訓練の中断、申し訳ない。今度もし魔王軍が襲撃してきたときの布陣。それがある程度固まったんでな、それを知らせようと思う」

「襲撃……ですか?」

「ああ。あながちないとは言えない。おや、各隊長から聞いていないか?」

 第五隊の一人が全く状況を知らないといった感じで聞いてきたことに疑問を持ち、俺はそれを各隊長に告げる。

「はい、訓練後に伝える予定でしたので」

「あちゃあ……そっか、すまんすまん。まあ、今日は訓練をここまでにしてほしい。何でかって言えば、まあ理由はさっき言ったから良いとしようか」


「で、どうするんだ?」

「ああ。作戦の盗み聞きがあるとアレだから、一度しか言わんぞ、良いか?」

 そうことわりをいれ、俺は話し出す。

「まず、第一、三隊はここの岩地で待ち伏せ。最前線だから一番大変になるだろうが……期待しているぞ。次に第二、四隊は岩地の裏にある小高い丘……ここから頃合いを見て奇襲をかけてもらう。挟み撃ちにして陣形を乱すんだ。そんで、第五隊。この隊は半分に分けて、それぞれ他の隊のサポートにまわってもらう。誰がどちらへ行くかは任せるぞ。で、第六と七は俺と別行動。この岩山から少し北に移動したところで待機だ。質問は?」

「この場所には特に何もありませんが……何故先生達はここへ?」

 事情を知らないセシア達の困惑はもっともだ。

「まあ、ここにはある設備がある。お前らをここからでも援護できる程のな。まあ期待してくれてかまわん」

 そうとだけ告げると、俺は地図をしまい、細かい部分を伝え始める。


 伝えたことと言えばせいぜいその場所に陣取らせた目的と、主な行動。その他は今回隊長に任せようと思う。いざとなったらデフィアに頼んで遠くに声送ってもらえばいいし。





 その日の夜。夕食を終え、俺は部屋に戻って寝る直前だった。だが、昼前に考えていた事を実行に移そうと、俺は手を伸ばした。

「お、ゼウスか?」

「どうした、拓海。何か用か?」

 俺が手を伸ばしたのは無線機。そう、あれを聞いておこうとおもったのだ。しょーもない気もするけど。

「なあなあ、気になった事が一つあるんだけど」

「おう、何だ? 答えられる範囲で答えるぞ?」

「俺さ、この世界の文字とか言語とか全く知らんかったはずだけど……最初から話せたし文字も読み書きできたよな。何で?」

「あー……そういやそうだな。俺もそこら辺は考えてなかったわ。テュポンじゃねえの?」

「そうか……テュポンに聞いてみるよ。じゃあな」

 ゼウスとの無線を切断し、テュポンにつなぎ直す。しばらくすると、テュポンが応答した。

「……呼んだ?」

「えらく不機嫌だな……まあ呼んだけど?」

「えー……俺いま忙しいー」

「……その部屋のBGMは常にア○ラの勝利の雄叫びか? あ? とっとと一時中断しやがれ」

「ちぇっ……で、何?」

「ああ、なるべく手短に済ませるから。俺ってこの世界の言語知らないのに最初から使えたよな。何で?」

「今さらだなぁ……単に俺の力だよ。何かと不便かと思って。あれだ、ホラ。青いタヌキロボットの何とかコンニャク」

「あー、あんな感じかぁ……納得したよ。ありがとさん」

「おう。またゲームしてる時以外はいつでもかけてきてくれ」

「……分かった」

 プツリ、と無線の切断される音を聞き、俺はため息をついた。多分顔はにやけていて気持ち悪いことになってるだろう。

 俺は無線を置き、ベッドに体を沈める。いい感じに疲れていた俺の脳は、すぐに眠りを受け入れていった。

 そろそろ襲撃でも起きれば……と考えております。

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