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act.33休暇

 いわゆる日常編です。

act.33休暇

 連れ帰ったジュイスは最初こそ処刑が下される立場であり、極刑すらあり得る立場だった。しかし、彼の経歴や魔王に対する無忠誠をコッソリ報告してみたらあら不思議、国王直属部隊第四隊に入隊が決定しちゃいました。

「ククク、セシア。お前頑張らないとジュイスに隊長の座をとられちまうかもな」

「う……本当にそうなりそうなんですから止めて下さいよ……」

 ゼルキスのからかいに本気で肩を落とすセシア。訓練後の和やかな時間はこうして雑談で過ごす事も多い直属部隊。ホント、仲が良い軍隊だこと。

「いやいや、隊長になるには戦闘能力だけではなく情報力、生活力、何より精神力があってこそ。まあジュイスはそこにも既に光るものがあるけどな」

 アクトの正論を聞きそうだ、と言わんばかりに顔を明るくしたセシアだが……より深い絶望の淵に落ちたようだ。まあ、なんだかんだでセシアは運が悪い。とことん運が悪い。以前だって財布を落としていたし、食事中にいきなり食器が真っ二つに割れたり、街で集中的に犬(みたいな動物……尻尾五本って冗談だろ?)に、それも凶暴な犬に襲われていた。それも隊員全員がいたにもかかわらず、だ。ちなみに隊員は隊長を見捨てて逃げたらしい。

「まあセシアの運の悪さは置いておくとして……久しぶりの休暇、皆遊びすぎるのではないぞ?」

 会話を打ち切り、隊員に注意を促したレム。前半は聞かなかったことにしよう。


 そう、俺達は休暇を貰えたのだ! 軍隊である俺達は基本的に休日は無い。無論、出撃が無い日もなくはないが、そんな今日のような日は滅多にない。一年に十回あれば奇跡的なレベルだと聞いた事もある。

 休暇といえど、本日もそうであるように午前は訓練がある。が、午後丸々フリーになるのはとんでもなく貴重なのだ。繰り返す。とんでもなく貴重なのだ!

 理由としては魔王の敗北、撤退により襲撃が限りなくゼロに近くなったから。

「先生は今回初めて休暇だったよな。どうするつもりだ?」

「んー……とりあえず街をぶらぶら歩いてみようかなって。街を歩いたのなんて作戦で街を守っていたりした時位だからな」

「ぬ、私と決着はつけないというのか!?」

「うぉっ!? なんだ、ジュイスか……脅かすなっての。それに今お前は俺に敗北を喫したばかりだろうがっ!」

「あんな訓練で真の実力が出せるものか! 遠距離魔法禁止など、制約が多すぎる!」

「あれ? で、でも確か昨日は先生に負けて……」

「……認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというのは」

「まーもうちょい強くなってからかかってこい。さて、と。とりあえず昼飯でも食いに出かけるかな」

 何故か知らんが、その直後にそこからか! とツッコミが飛んできたのだが気にしない事としよう。きっと異世界による文化の違いだ。




 さて、ここは王国でも比較的静かな商店街。ちなみに同行者にレムとセシア、イゼフとデフィアがいると付け加えておこう。何か知らんが彼らも街をぶらぶらと散歩する予定だったらしい。詳しくは知らん。セシアは情報係で強制連行ということもつけ足しておこう。主犯は俺とレムとデフィア。つまりイゼフ以外。セシアもセシアで特に予定は無いというフラグ確定


発言を直前にしたのが悪い…………決して俺達の行動の正当化じゃない。


「さて。どこの店が良いかな……っと。お、あそこでいいか」

 歩くことしばし、静かながらも上品すぎでも庶民向けすぎでもない、カフェテリアのようなレストランらしきものが目に入る。イタリアンレストランのイメージが強いな。

「へぇ……こんなところにこんな店があったんですね」

「ふむ、確かここは数年前に開業したレストラン兼カフェだったと思います」

「き、キレーですね、その割には」

「ほう、ここならゼルキスがいなくて良かったと素直に思うよ」

「……さり気なくヒドい事言うねデフィア君? ま、いいか」

 店に入ると、外見に違わず静かな時間が流れている。所謂大人な雰囲気ってやつだろうか。そういえば地球の方の我が家の近所の喫茶店もこんな感じだったなぁ。こっちは木造だけどね。おお、紅茶の良い香り。


 しばらくすると、白地のシャツに黒い上着(ここら辺は地球のウェイターと同じらしい)がやってきた。

「いらっしゃいませ、お客様。ご注文はお決まりですか?」

 柔らかい笑顔でたずねられ、各々がメニューを注文していく。俺もこの世界に来て幾数カ月、ここの料理にもだいぶ慣れてきた。米みたいな日本食は少ないが、刺身やもつ煮に似たメニューはこの世界でも存在するので、それだけは助かった。

 おや、話がそれたな。結局、俺は(本日のオススメらしい)野菜とベーコンのサラダ、野菜と魚類のサンドウィッチ(この世界ではこの組み合わせがウマイ)、紅茶のセットだ。ついでに紅茶はおかわりフリー。コーヒー<紅茶である俺にはありがたい店だ。しかし、流石にサンドウィッチとサラダだけでは腹は満たせない。そんな疑問は街をぶらぶらすることが今回のメインという事を思い出してもらう事で回答をするとしよう。まあ……ぶっちゃけ食べ歩きするつもりだ。

 そういえば俺以外の四人は、多少内容は変われどサラダ、サンドウィッチ、紅茶のセットに変わりは無い。ちなみにデフィアは追加でサンドウィッチもう一皿頼んでいる。



 サンドウィッチだった為そうそう時間はかからず完食(デフィアも何故か同等の時間)し、しばし食後の茶を楽しむ。その間気分良く飲めたのもこの店の雰囲気ありきだろう。

 数十分の滞在を終え、いよいよ本題である街歩きへと繰り出す。ちなみに今は平服(提案はイゼフ)なので軍人とばれることは無いと思う。俺? タキシードな訳ないだろう流石に。アクトから拝借しました。白いシャツ(これは自前)に淡い水色が映える薄めの上着、それとベージュのジーンズ(やっぱり近しい、というレベルであるが)である。





 街歩きはなんというか、純粋に楽しかった。露店が出ていて活気にあふれる、というわけではないがほとんどの店が地球の八百屋のように店内に入らないといけない、というわけでもないので寄り易かったのが原因であろう。

 俺が購入したのはほぼ全て食料品。カットフルーツ(パインみたいな感じ。ただし甘酸っぱいというより酸っぱかった。でもウマイ)、イカ(?)バター焼き、焼きトリ(トリかすら不明だが)、20cmほどの魚の塩焼き、カップスープ…エトセトラ、エトセトラ。ちなみにデフィアは俺の1.5倍ほど購入していた。食い終わるのは俺より速かったが。

 他に買った物といえばせいぜいライター位。シルバーの本体に青い王国のシンボルが映える品物で、日本円換算で五百円位だったと思う。

「うむ、もう夕方か。そろそろ帰るか?」

 デフィアが気付けば空はすっかり茜色、夕食間近である。全員ちょっと焦り気味に城に戻ったのは言うまでもないだろう。

 いやぁ、今日は楽しかった。こんな日もたまにはいいもんだ。

 すいません、この小説、act.30をぬかしておりました。修正しましたので、今まで疑問に思った方、申し訳ありませんでした。他にも何か御座いましたら、感想共よろしくお願いします。

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