表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/45

act.29王都への凱旋

 今回筆者がひねり出した厨二すぎるネームが主人公(てか拓海)につきます。書いてて恥ずかしかった……

act.29王都への凱旋

「なあ、ちょっと聞いていいか」

「何でしょう?」

「……この盛大かつ過剰なステキ仕様のパレードは何だ!?」

 そう、今俺の乗っている馬車もどきを囲むように、盛大なパレードが行われている。

「そりゃあ……魔王の本気の侵攻からこの街を救ったんですから」

「……俺は騒がれるのは好まない平和主義者なんだけど……」




 遡ること一日と数時間前。

「おーいお前ら! 撤退するぞ!!」

 魔王を逃してしまった俺は、魔王との戦いの場になっていた部屋の前で激戦を繰り広げていた仲間達に声をかけた。

「じゃ、じゃあ魔王は……!」

「……すまん、逃げられた……とにかく一回王都へ戻るぞ! ってか邪魔だ魔王軍残党共!」

 容赦なく雷で制裁を加え、何事も無かったかのように一階への階段を目指し始めた。他の者もついてくるが……道を阻む残党たちはあえなく散って行ったことは言うまでもなかろう。

 その後も幾数名かの敵残党を見かけたが……全員一分たりとも持たずして散っている。

 何事もなく魔王のいた城を抜け、来た時より割かしゆっくりと、しかし報告を待つ皆の為にのんびりという程ではない速度で帰還したのだ。


 それが、だ……

「騒がれる原因を作ったのも先生ですけども」

「……それは否定しないがな。俺は密かに行動しているつもりだぞ?」

「風評というのは……時にプロより速く正確に情報を掴むものですよ」

「……まさかとは思うがセシア、原因はお前じゃなかろうな?」

「え!? い、いえいえ何を仰います唐突にっ!?」

「……セシア、貴様はどうやら中庭を百周程したいらしいな、あぁん!?」

「うぅ…………」

 馬車もどき内外の熱気の差はとんでもなく開いており……それでもなお外のものは中の熱気のなさに気付くことは無かった。


 と、ふと外を見るとどうやらこの馬車は城に向かっているらしい。当然な気もするが……とにもかくにも、このまま外に降りるのと多少は慣れた城で降りること……どちらが良いか等


考えるまでもなく明白であった。



「で、何でお前らがいるの?」

 俺の前に立っているのはこの街の守りを託した直属部隊の隊長達。

「いや何って……先生が国王に称号を貰う儀式が始まるから待っているだけだが?」

「……何ぃ!?」

「先生ほどの人物がいままで称号を持ってない方がおかしいんだぜ? 部隊の隊長クラスなら大抵称号を持っているしな」

 そうか、この世界の称号というのは王に与えられるものなのか……ってそんなのはどうでもいい。

「…………俺は嫌な予感しかしないがね……」




 結局拒否権は例によって例の如くゴミ箱にポイどころか初めから存在していないので国王様とごたいめーん。

「おお、よくやってくれたタクミ殿! おかげでこの国も縮小せず済みましたぞ!」

「それは良かったです。最も……魔王は逃がしてしまいましたが……」

「いいのだよ。別にこちらから攻める事もない。守りきって諦めさせればいいのだよ」

「お優しいのですな」

「民には負担をかけてしまうがな……まあそれも理解して貰ったうえでの方針ではあるのだが」

 なるほど……やっぱりこの国は日本なんかより政治が健全だ。見習わせてぇよホントに……


「で、だ。この度の功績だけではなく、貴殿の様々な功績を称え、称号を授ける」

 そのセリフを聞いて、俺は跪き(勿論事前に教わっているのだ)、一言も発さない。ただ心の中は……

(いやー! キター!!! やだやだやだ厨二チックすぎるよ称号なんてぇぇぇぇぇぇ! 止めろぉぉぉ恥ずかしさで憤死するぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!)

 と、こんなふうになっているが。

「伝説的兵士であり、そしてトップの軍隊の教官。かなりの知識。そして無尽蔵の魔力から繰り出される雷と風! それらを内に秘めし貴殿に……」

 一瞬の静寂が起こり、皆が唾を飲む。ただし、俺のみ理由は例外。

「伝説の首領ボス……伝説的首領ザボス オブレジェンドの称号を授ける!」

(ぎゃぁぁぁぁぁぁなんだその厨二を通り越してネーミングセンスゼロの奇怪な称号はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)

「あ、ありがたき幸せ……感謝いたします」

 一応礼義は一通り……わびさびの日本人なめんな。

 周りからは俺の感情を一切無視した歓声が沸き起こる。おい粛清な場で騒いでいいのか貴様ら!?




「良かったなぁ先生! 称号を貰えるのってピンキリなんだけど……あれはかなりいいもんだぜ?」

「そ、そうですよ。で、伝説とかのワードが入るのは、あ、あまりいませんから」

 イゼフの口調を今聞くと……しどろもどろに喋っている感じしかしない……実際は違うんだろうけどさ。

「しかしまあ……これで称号を貰ってないのはイースだけか?」

「……? いえ、私は既に頂戴しておりますが」

「な、何ぃ!? い、一体どんなのだ?」

「静寂なる純白ですが」

 なるほど、全部横文字ってわけじゃないんだね。


 その後も直属部隊長の全ての称号が発覚した。

 アクトは絶対なる狩人、レムは静寂サイレント火炎フレイム、ゼルキスは剛腕ストロング巨兵ジャイアント、セシアは柔軟なる先駆者、イゼフは漆黒の癒し、最後にデフィアが疾風の狙撃手……らしい。とことん厨二チック。いやもうむずがゆい。

 しかも、最悪なことに俺には街で噂になる時の通り名的なものが最近あったらしい。その名も「真実トゥルー探究者シーカー」だそうだ。なんじゃそりゃ!

 はい、厨二ですね。もう絶対物語登場させたくない!

 あ、ちなみに拓海の称号……ザ・ボス・オブ・レジェンドが正式な読み方になります。どうでもいいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ