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act.25始まりは唐突に・アゲイン

 やっと話が進展します。

act.25始まりは唐突に・アゲイン

 さて……結局、あの貴族らしきおっさんは本当に貴族だったらしく、馬車(やっぱり馬は馬じゃないが)で保護しつつ帰還する事になった。

「で……おたくの名前は?」

「アーグリオ・ノザルスです。伯爵の地位についておりまして、ノザルス家の現当主を務めております」

 ノザルス……か。この世界に来て初めて聞く名前だな。伯爵って言うと結構偉い筈なんだけど。

「ノザルス家と言えばかなりの名家ですよね。それが何故あのような場所に?」

 そういえばそうだよなぁ。あの森はアリフェレフォス・アリエよりも数段危険な場所で、普通の貴族は近付くことすらしないはず……?

「いえ、私の家は代々所謂行動派ですからね。国王様からの直々のご依頼でして」

 行動派?

「ああ、そういえばそうでした。これは失礼しました……それで、どんな依頼で? そもそも終了しました?」

 いやだから行動派って何? え? この世界の政治とかってどうなってんの?

「ええ、あの森で何やら動物達に異常が起こっているらしくて……一部は調査が終わりましたが肝心の最深部に近付く前に……」

「最深部……? 待ってくれ、どういう事だ?」

「森の中央部辺り……あそこを中心に凶暴化が激しくなっているのです。その地帯は……確か……」

「大魔法樹の支幹がありますね……」

「大魔法樹? 支幹?」

「ええ、この王国の中心地から南東に5km程にエラージス・クレイという広大な魔力を湛えた湖があって……その中心にある巨大な魔法樹はこの大陸中に根を宿す程巨大な物でして、その根からもかなりの数の幹が出てくるのです。

 魔法樹自体が魔力を持っていて……その周囲は魔力に満ちているので私たちにとって大変有益な場所です。例えば傷の治りが速くなったり、魔力の減りが軽減され回復も速くなり、魔法自体も強力になることが分かっています」

「丁重な説明ありがとうイース。で、その大魔法樹の支幹が何かしらの異常を起こしているかもしれないと?」

「多分、ですが」

 そうか……またフラグを立ててしまった(墓穴を掘った)のか……

「で、それってもしかして俺らが行った方が良いのか?」

「お願いします」

 即答ですよ。最初にゼウスに異世界に飛ばされた時の否定をバッサリ却下された時みたいだよ……




 で、結局。俺達はノザルスの頼みで森の最深部を目指して進んできた訳で。途中、さっきの狼もどきや、他にもライオンもどきやウサギもどき、果てはドラゴンみたいのも出て散々だったが、セシアの隊とイゼフの隊(こちらは半分)以外を総出で連れてきているので、誰も怪我無く辿り着いた。

 森の中心部は普段なら多少開けた土地になっており、大変美しい場所らしい。大魔法樹の支幹がある場所は大抵良い環境らしい。

「で、だ。その美しいと噂の中心地に来た訳だ……が!」

「フム……貴様ら、王国軍か。では……消えてもらわねば困るな」

 その美しい土地の大魔法樹の支幹らしきものの近くに立っていた黒いローブを着た男性だ。その危なっかしいセリフから簡単かつ単純に魔王軍だと分かる。

 左手をこちらにむけ、何やら炎が渦巻いている。

「塵すらも燃え散るが良い! ヘルフレイム!」

 なんか物騒だなぁ……っちゅうわけで。

「邪魔だおっさん。消えろぉぉ! 滅びの……爆裂疾風弾バーストストリーム!!」

 もの凄い勢いで圧縮した風を放つ。ぶっちゃけ語感だけです本当にありがとうございました。

 圧縮された風に炎が敵う訳もなく、荒れ狂う風圧は容赦なくその男を吹き飛ばし、気絶に追いやった。

「はぁ……はぁ……」

 大魔法樹に当たらなくて良かったが……少なからず森は大変なことになった。直径1mほどで放ったが……軌道上にあった物は全て『滅んだ』ようだ。どっかの誰かさんがハマるというのも頷ける超威力。

「無茶苦茶だ……」

「普通あんなの一人じゃ撃てませんよ……?」

「……もう何があっても驚かないと思ったが……」

「な、何が起こったんだ……?」

「……非常識な……」

 あー……もう慣れたよ? いい加減……ただ、ただ、ね。流石に自分でもやりすぎたなーって思う訳ですよ。

「……敵に情けをかける性格じゃあ無いんだが……大丈夫か?」

「ぐ……」

 駄目だ……気絶してる。


「お、おい、拓海。聞こえっか?」

 いきなり目の前に現れた金髪男。なんだ……珍しいな。

「うぉぉっ!? な、なんだゼウスか。どうした?」

 普段無線機で会話するだけだが……今目の前にいるということは余程急ぎなのか?

「マズイことになった。魔王軍が力を蓄え始めた。既に魔王のいる城に戦力を集結させているらしい。他の重点的な施設にも大分集まっているな。残念だが……敵さんは本格的に攻め込んでくると思うぞ」

「ちっ……」

「ちょ、ちょっと待て。誰だお前!?」

 あ、しまった。アクト達知らないじゃんゼウスのこと。そりゃそう聞かれるわなぁ。

「この前飛び降りた時の声の主とは違うのか?」

「その片割れだ。で、どうすりゃいい?」

「先手を打つしかなかろう……と、いいたいところだが。既に先手を打つ余裕は少ないぜ?」

「……帰還しよう。森は後回しだ。急ぐぞ!」


 やばいなぁ……このまま攻められた場合、かなり危険な状態になるらしい。ここから王国に帰還し、伝えるにしても、最低でも二日はかかってしまう……それでは間に合わない。

「チッ……よし、第二、四、五、六隊は俺と、それ以外は王国に帰還し国王に事態を伝えてくれ。そんで万が一に備えてお前達は防衛線準備、指揮は各隊長が行ってくれ」

 そう指示を出し、俺達は西へ、他は東へと走り出した。ゼウス曰く、集結が完了するまで約一日、出撃には半日。ならば俺達で先に奇襲を仕掛ければ集結されたとしても出撃前には間に合うらしい……ならば二手に分かれた方が得策という事だ。

 さあ、最終決戦だな……

2011/5/1 連れていく隊に何故か脱字(第六隊)があったので修正しました……

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