act.24やり返すことは正義!
とゆー訳で前回の続きです。
この話を境に、ちょっと更新が途切れます。まあ理由は私用で出かけねばならないからですが……いらっしゃるとは思いませんがこの小説の更新楽しみにしていらっしゃるかた、申し訳ありませんです。
……いない、よね?
act.24やり返す事は正義!
結局、俺達を囲っていたのは十ではなく三十と発覚した。多いねぇ。
「ククク、お前達のお陰で俺達の進軍は失敗……魔王様にお前達を消せと言われてな」
厭らしい笑い方でこちらを挑発してきた敵兵Aはその笑顔を崩す間もなくセシアの弓に射られた。
「全く、ただでさえ戦後で疲れてるというのに……飛んで火にいる夏の虫、というやつですかね」
相当イライラしているのか、セシアの普段甘いマスクは、今ばかりは研ぎ澄まされたナイフのような印象を受ける。
「中佐! 貴様ら……よくも!」
こんな奴らでも人を敬う気はあるらしい。まあ蛇足的だけどな、今じゃ。
「邪魔。俺腹減ってんのにさ……」
突っ込んできた三名の敵兵を小蠅でも追い払う様にランスを薙ぎ払い、最後に睨みつける。
「まあ邪魔なのに変わりは無いな。よし、暴れていいぞお前ら!」
各隊長を嗾けると、各々の武器を用いて数人ずつ気絶させていく。無論、魔王軍の彼らも抵抗はするのだが……惜しい事に国王直属部隊には通じない。それぞれに悲鳴をあげて沈んでいく。
「まあお前ら、俺は火でも起こしておくから……その間にヨロシク。あ、ちょっとそこじゃま」
火を起こそうとした俺に突っ込んできた敵兵。薪を置いてあったすぐ近くにいたので、まあ適当に風と雷で追い払う。
「俺が視点中心じゃないのかぁぁぁぁ!」
訳の分からない断末魔(いや死んでないけどさ)を上げ、吹き飛んだ。俺はそれを無視して火を起こす作業を再開する。
雷でささくれを燃やしていくと意外と簡単に火がついたので専用の七輪に薪を入れていく。
「おーい終わった? こっちはもう火着いたけど」
「すまん、後二人だ」
「あ―? じゃいいよ俺がやっから。ほっ」
火を起こした体勢のままめんどくさい事を前面に押し出し右手を掲げ、下ろす。するとバチン、と音がして落雷が起きたと分かったらしい。
「さて……飯にすんぞ~」
そう言った後に視線を上げると、俺は一瞬絶句した。
「……ちょっと聞いていいかな?」
「なんでしょうイチカワ様?」
あ、そういえばイースにまだ言ってなかったな……
「これは何が起こった!? あ、ついでに俺はタクミでいいから。様はいらんよ」
「ついでなんですか、呼び名……」
冷静かつ的確にレムに突っ込まれた。ていうか後ろにいたのね。
「単に彼らを魔法で吹き飛ばしただけですよ。数名が飯を邪魔されたーなんて暴れてましたが」
……本当にコイツらは軍隊なのだろうか?
「…………とりあえず夕食にしよっか―」
向こうから食材らしきものを抱えてきた兵士達が見えたので、ちょっと逃避してみた。
今回の食事は大変おいしゅうございました。イース以外に引かれたことを除いて。やっぱり蛇を食うということは苦手らしい。あ、デフィアも食うには食ってたけどやっぱり引いてたなぁ。ちなみに途中一人の闖入者(魔王軍兵士)が野草などのスープの鍋を倒してしまい、磔にされていたのは触れないでおこう。主犯はデフィアだったが。
食事の後は、色々とミーティングで談話していた。ぶっちゃけ帰り道なのでなんの作戦報告もない。みんな仲良く雑談中。
「先生先生」
「なんだイース?」
「ええとですね、誰か後ろにいらっしゃいますが」
「は? ってうぉぉぉぉ!?」
後ろに立っていたのは緑色の服も黒色の服も着ていないおっちゃん。どっちかといえば農民っぽい服装。
「た、助け……」
そこまで言って気絶しちまった。何かあったのか!?
「お、おい! ちっ……誰か、水飲ませてやれ。それと何かの気配を感じる奴はいるか!?」
イゼフが水を飲ませながら、おずおずと発言する。
「え、ええと……向こうの方に何か肉食類の気配が幾つか……む、群れの様です」
なるほど……それに襲われたのか?
「分かった……とりあえず俺が行って来る。後……第三隊、ついてきてくれ。バックアップ頼んだぞ」
ゼルキス達を連れ、森の中へと進んでいく。すると次第に、いくつかの視線を感じるようになった。
「こりゃ……俺じゃなくエルフのレムかセシアを連れてきた方が良かったんじゃないか?」
「む……何故さ?」
「エフルは群れる狼に強いのさ……」
「なるほど、な……」
どうやら、俺達を囲っているのは狼らしい。ああ、確かに統率を崩せそうなセシア辺りなら楽だったか?
「ま、とりあえず……追い払おうかぁ」
最初に飛び出て来た狼もどき(前足にブレード状の板がついている。木々が傷ついている原因はコレか)にハッシュパピーを使い電撃を撃ち込む。失神したヤツはこちらに届かず地面に倒れ伏す。それを見てか……他の狼もどきがこちらに飛びかかるのを躊躇している。と、俺はこの状況を打破する一手を思いつく。
「ゼルキス……地面を思いっきり殴れ。魔法はいらんぞ」
「……? わかった、やってみる」
右拳を振りかぶり、思いっきり地面を叩く。地面に小さなクレーターが完成する。その威力を見た狼もどき共は、一気に闘志を失くしたようだ。一斉に退散していく。
「うむ、良くやった。こういうのは自分と相手との力量差を知らせるのが一番なんだよ」
「……ホント、何でも知ってるよな、先生は」
「そうか? こう見えても学生としては理科数学以外並み以下だったが……」
後半部分はブツブツと呟くように言った為、聞きとれはしなかったらしい。まあいいか。
「それで並み以下!? ほんと、ニホンとやらは恐ろしいな……」
「まあ魔法は無いけどな」
「なっ!? 魔法が無い!? そうか……だからそんなに……うぅむ、なるほどなるほど……」
何か一人で納得しているゼルキスを尻目に、俺は一人すたすたと歩いていく。迷子にならんよな、ゼルキス。
むぅ……駄文とはいえ更新できないというのはもどかしい……強制参加なんてキライだ!