act.18相変わらず失われた……
今回、再び飛びます。まあ何か成り行きで飛ぶことを楽しんでいる拓海がいることを気にしてはいけない。
act.18相変わらず失われた……
今日、珍しく国王からお呼び出しがかかった。嫌な予感しかしない。
中学時代だって、ボランティアとかしてもほめられたことは無いが、たった一回だけ上履きのかかとを知らず知らずの内に踏んでいて、それを指摘された時に気付かなかった、と素直に謝っただけなのに何故かキレられ、呼び出しを喰らって弁解もさせてもらえず親まで呼び出された。故に、呼び出しされると怒られるイメージしかない。
「んで、重要なことを聞くぞ?」
「なんだよ?」
「……拒否権は?」
「ないと思うぜー? それこそ拒否したらどうなるかなんて、頭が悪い俺でも想像はつくぞ」
「……やっぱりか……で、何の要件なのさ?」
「知らん。そもそも知っていたら呼び出さずに先生に伝えるぞ?」
「それもそーか……しゃあない、行くか!」
んでもってゼルキスの案内によって王とごたいめーん。
「おお、よく来てくれたな。それで、だ……」
「何でしょう?」
「ある場所が魔王軍の重要な武具倉庫になっているらしくてな、そこを叩いて欲しい」
「えーと……一応聞きますが拒否権は?」
「一応主はこの国に籍をおいとるよな?」
何だ唐突に?
「はいまあ」
「となるとこの国の法が適用されるというのは確実という訳だが……」
あ、何かいやな予感。
「王族命令拒否はこの国では王族に対する不敬罪に値するぞ?」
「喜んでやらせて頂きましょう!」
だって死にたくねーもん。ああそうさ俺はチキンさ!
「で、だ。今回二つ程隊を従えていくと良い。流石に一人ではきつかろう」
「そうですか? では……魔法具を扱う事に慣れている第一隊と第二隊をお願いしておきましょう」
「え! お、おいおい俺の隊は?」
「黙れ筋肉バカ! 貴様の隊は確かに攻撃向きだが……万が一ここに魔王軍が攻めてきた時攻撃向きの隊がいなかったらキツイだろ?」
「な、なるほど……確かにそうだ」
あーほんとにダメだこいつ……ホントよくこの国持つなぁ。
「で、何故にこんな上空にいるのです?」
いつもの軍服に身を包んだロングの赤髪のクールビューティーさんが質問してきた。
「なんでって……飛び降りっからだけど?」
「いや……俺ら飛べねーぞ!?」
「大丈夫、お前ら飛べなくてもゆっくり下りるように位はできるから」
アクトの質問にさらっと答えたが、納得してくれない御様子。
「どーゆーことです?」
「空気抵抗を増やし……ってわかんねーよな……うーん、空気を掴む翼みたいなのをつけるんだよ。そうすりゃゆっくり降りることになるから、怪我もせん」
うん、快く、ではないが納得してくれたらしい。人徳って大事。
「じゃ、テュポーン。聞いてっかー?」
「おう、聞いてる聞いてる。てか何か久しぶりだな」
「まーそうかな。で、今からやること分かるんでしょ? ナビゲートよろしく!」
「あいよ。じゃー目的地付近になったらもっかい無線送るから」
で、そんな会話を無線機で行っていたのだが。
「先生? どうしました?」
「てゆーか誰と話してたのさ?」
「え? あ、ああ。コイツは無線機つってな。まあ……こっちの世界じゃあんまし使えないがまあ……別に一人芝居じゃないから気にすんな」
あ、なんか軽蔑されてる気がする。まあ昔の人が携帯見た時、っていう仮定のテンプレ的反応。
「おっす、目的地近付いてきたぞー。視界はクリア。突風もない。少々風が強いが……まあお前に一任しよう。さて」
「あ、ちょっとまて。今回着地する場所、どんな場所か目印は?」
「崖付近だ。まあ付近だからな、落ちることはあるまい」
「そうか。じゃあ、いってこようか」
「おう、後部ハッチは?」
「今開く。さて、拓海以外の十二人、聞こえるかい?」
「おお、なんだこれは?」
「だ、誰だ!? 何処からだ!?」
「ま、それはおいといて。で、今から君達には飛んでもらうから」
「ま、お前らも覚悟決めとけ。てか慣れれば気持ち良いから」
「じゃ、後部ハッチに立て。先ず拓海、お前手本示しやがれ」
「あいよ。お前らもこい。じゃ、行くぞー」
「鳥になってこい。幸運を祈る!」
はい、続きます。しかし……最近忙しいので、確実に明日更新できるか……何卒よろしくお願いします。